分かっていても
分かっていても、行動できない時がある。
行き先は新宿。
いつもより少し早い時間に電車に乗る。
途中、急行に乗り換える必要がある経路だ。
ただ、今日はいつもより早い。
そして、席に座ることができた。
このまま各停で行っても、遅刻の心配はない。
満員電車を肩身狭い思いしなくても、優雅に本を読むなり、寝るなりして、新宿にたどり着くことができる。
そんなことを思い、僕は両耳にイヤホンをはめ、各停電車で新宿まで行くことを選んだ。
いつもの乗り換え駅に着くと、少しお腹が緩くなった気がした。
きっと気のせいだ。
ちょっと我慢すれば落ち着く。
せっかく座れた電車、わざわざ降りて出ませんでしたの空振りで終わり、再び満員電車を立つことになっては浮かばれない。
第1、今日は寝たいんだ。
昨日長く昼寝をしてしまったせいで昨晩は寝付けなかった。
おまけに早朝には地震で一瞬目が覚めた。
そんなことを思い、いつもの乗り換え駅を通過した。
ただ、一駅一駅進むごとに確実に上から下へと降りていく感覚があった。
これは新宿までは間に合わないだろう…。
数駅先の急行が止まる駅に下車した。
トイレにダッシュする。
その駅のトイレは個室トイレが3つ。
全部埋まってた。
幸い、列は最前列である。
1つさえ空けば、すぐ入れる。
ただ、なかなか出てこない。
僕からはアイツが出ようとしてくる。
どっちが先か…
両耳からは菅田将暉の「まちがいさがし」が流れ始める。
窮地に立たされている僕に、この歌はチカラを与えてくれるだろうか?
Aメロが流れる。
まちがいさがしの間違いの方に
生まれてきたような気でいたけど
そうだ、僕はどこで間違えてしまったのか?
経験則で分かってたはずだろ。
どうせ途中で降りることになるんだから、わざわざこんなギリギリな選択をせず、素直に1つ目の乗換駅で降りていれば良かったんだ。
まちがいさがしの正解の方じゃ
きっと出会えなかったと思う
正解の方が良かった!
こんな危機一髪とは会いたくなかったよ…
そして、曲はサビに突入。
僕はベルトを緩め、突入体制に入る。
君の手が触れていた 指を重ね合わせ
間違いか正解かだなんてどうでもよかった
いや、間違いだと困る!
漏らしたら、ここから動けなくなるだろ…
瞬く間に落っこちた 淡い靄の中で
漏らしたら、靄どころじゃない空間に落っこちちゃうよ…
君じゃなきゃいけないと ただ強く思うだけ
漏らしたくないと、ただ強く思う…!
「まちがいさがし」は僕にとって応援歌になりました。