234冊目:ペリリュー ー楽園のゲルニカー/武田一義・平塚柾緒
こんばんは、Umenogummiです。
今日は第二次世界大戦下のペリリュー島を描いた作品です。
ペリリュー ー楽園のゲルニカー/武田一義 作・平塚柾緒 原案協力
あらすじ
昭和19年、22歳の田丸均一等兵は、パラオ諸島のペリリュー島で洞窟堀りの仕事に勤しんでいました。時折くる米兵機の爆撃をかわしながら、サンゴでできた島の固い地面を掘っていました。
ある日、田丸は所属する第2小隊の小隊長・島田少尉に呼び出され、功績係という職務に就くことになります。田丸は漫画家を志しており、故郷にいたころ一度雑誌に掲載された実績をもっているため、その性質を見込んでの任命でした。
その仕事とは、死んだ隊員の親族に送る手紙に書く、隊員の最後の雄姿を作文するというものでした。
一方で、サイパン、テアニン、グアムは玉砕し、アメリカの第3艦隊およそ4万兵が、1万人の日本兵が守備するペリリュー島へと迫ってきていました。
感想
戦争ものなので、内容に関してはお察しください。(内容はペリリュー島の戦いを踏襲しているものの、フィクションです)
可愛い絵柄なのに、内容はかなり悲惨です。エグいです。日本兵も米兵もガンガン死にます。主人公である田丸は「故郷へ戻って漫画を描く」という思いで、同期である吉敷上等兵と力を合わせて過酷な戦場を生き抜いていきます。
人の生死の是非という倫理観が失われていく中で、田丸ののほほんとした性格に救われる場面も多々あります。
執拗に日本兵を狩る米兵に、もうやめて―と目を瞑りたくなります。でも、現実はもっと凄惨だったのでしょう。
戦争は辛くて悲しいです。どうあっても、もう二度とこんな悲劇を繰り返してはいけないと、こういう作品に触れるたびに思います。
戦争で命を落とした方々、戦争を経験した方々には、尊敬の念に堪えません。
そしてこんなふうに、戦争という、経験し得ないことをさまざまな形で世に知らしめてくれる人たちに、感謝します。
リンク
武田氏の制作風景を追ったドキュメンタリー
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