NFTでチケット転売がなくなる
コロナ禍3年目に入り音楽業界もいよいよ先行きが怪しくなってきた中、アーティストとそのファンにとって久しぶりに明るいニュースが流れた。
2022年3月1日にジャニーズ事務所が、ブロックチェーン技術を駆使した新しいチケットサービスの実証実験を行うことを発表したのだ。
実証実験は、5月3日から6月5日まで開催される「JOHNNYS' Experience」公演で実施される予定だ。
今回導入する新しいチケット管理システムは、チケットの流動を入場までジャニーズ事務所が一括管理することができ、それによってチケット購入者はチケットを家族や知人に譲渡することもできるという。
こういった、NFT(非代替性トークン)の普及によって、コンサートやスポーツ観戦のチケット転売がなくなるという記事や報道をみかけるようになった。
どのようなシステムで転売がなくなるかというとこうだ。
もし、あなたが嵐のコンサートチケットを転売ヤーから購入したとする。すると、チケット所有の流れとチケットの値段推移は下記のようになることが分かる。
販売元A(アーティスト)→B(転売ヤー)→C(チケット購入者)
販売元A(1万円で販売)→B(1万円で購入し3万円で販売)→C(3万円で購入)
本来1万円の価値としてアーティストが売っている商品を転売ヤーがファンより先に横取りし、値段をつり上げてファンに販売することで中間マージン(利益)を得ている仕組みである。
転売ヤーが横行するとチケットの値段は高騰し、ファンはアーティストに払うはずだったお金を転売ヤーに余分に払うことになり損をする。その結果、ファンは離れ(もしくはグッズなどのアーティストが販売している他の商品を購入する金銭的余裕を失い)アーティストも損をする。
しかし、チケットをNFT化して販売すると「チケットの転売・所有の流れ」を販売元が把握・管理することができるのだ。
すると、そのチケットが転売されるたびに転売で発生した利益の一部がアーティスト(販売元)に「ロイヤリティ」として自動的に行くように販売元が設定できるのだ。
アーティストが1万円でNFT化したチケットを販売し、転売ヤーがそれを購入、3万円で転売したとする。すると、転売ヤーが設けた利益2万円のうち、あらかじめ設定していた○○%が自動的にアーティストに行くのだ。
こうして、転売ヤーは転売で利益を得ることができなくなり衰退していくという未来がNFTの力を借りてもうすぐそこまで来ている。
2021年3月から電子チケット販売サービス運営の「ZAIKO」は電子チケットのNFTを発行・販売できるサービス「Digitama」を開始。現在、チケットのNFT化をしたいアーティストを募集中とのことだ。
こういったチケットサービスがもっと普及されれば「NFTでチケット転売がなくなる」日が訪れることもあるだろう。
NFTは「転売を禁止させよう」という試みなのではなく、むしろ「全然転売してもいいですよ」と運営が言えるような環境をつくったことに価値があると言える。
本記事を読んだライブファンやアーティストファンの諸君、NFTチケットという言葉を覚えておくと、この先あなたの役に立つかもしれない。