アフリカの縫製工場を巡る旅:日本企業の委託先となりうる国は?
私はアフリカで、紡績・テキスタイル工場や縫製工場をかなりの数訪問しています。日本企業から、中国やバングラデシュの次の委託先を探したいという要望が多いこともありますし、それ以外にも自主的に多くの工場を訪問してきました。アフリカにとって、軽工業や輸出産業は、経済発展に非常に重要だからです。
以前、これまで訪問した工場数を数えたら、余裕で100を超えていました。欧州のハイブランドのドレス(工程が多い)を作っているような工場もあれば、あまりよい環境とはいえないなかで生産している家族企業もありました。
最近発刊された「ユニクロ(日経BP社)」には、ファーストリテイリング社がSPAを開始するいちばん最初に、下之園さんが1日平均5軒、香港の縫製工場をしらみつぶしに訪問したシーンがでてきました。私がアフリカでやっていることと同じで思わず共感してしまいました。
アフリカの縫製工場がどのような水準かというと、そこで描写されていた1987年の香港の縫製工場よりは良い水準かと思います。90年代以降のアフリカの縫製工場は、国内市場向けというより米国を中心とした輸出向けが基盤となっており、インドやバングラデシュ、スリランカ、中国、トルコといった国ですでに米国向けに輸出している縫製企業がアフリカに進出してきた例も多いです。
日本企業では、かつて東レやユニチカもアフリカに工場を持っていました。その後2010年代にエチオピアやマダガスカルで縫製を行う企業が生まれ、モロッコの工場に委託するアパレル業界のトップ企業も存在しています。具体的な企業名は、(ようやく)2024年9月に発行予定の「アフリカビジネスに関する日本企業リスト」に掲載いたします。
(なお、「アフリカビジネスに関する日本企業リスト」はまずは週刊アフリカビジネスのご購読企業に共有した後、こちらのページでみなさまに公開いたします。早くご覧になりたい方は週刊アフリカビジネスにお申し込みください。)
日本企業にとって、綿花の加工、紡績、テキスタイル生産、縫製のいずれかで、事業可能性があるアフリカの国を挙げると、以下にある地図のようになります。
北アフリカの3カ国(エジプト、チュニジア、モロッコ)は、欧州に向けた輸出拠点として、かなり高度な縫製を行っています。マルセイユまでもすぐという立地の利点もあります。エジプトのように綿の産地もありますね。
北アフリカ以外では、東アフリカ・南部アフリカが強い。20年以上輸出を行ってきた企業があるのはこのエリアです。よく知られているように、特に米国向けにAGOAという特恵関税を使って輸出してきました。西アフリカは綿花の産地が多いこともあり、かつては紡績・縫製がさかんでした。一度崩壊したあと、この数年また復活を遂げてきています。
国によって何ができるか、工場の水準、人件費や物流費、輸出に必要な日数、外貨入手の容易さ、適用可能な免税制度はさまざまです。ご関心がある方は最後に記した連絡先からお問い合わせください。
アフリカの縫製産業における事業対象国
このうちエチオピアは、2010年代にアフリカの縫製の中心地になるのではないかと期待を集めたのですが、コロナ以降の外貨不足や内戦勃発により後退してしまいました。エチオピアに進出していたPVHも撤退しています。
世界のアパレルがエチオピアに次々進出していたころもあったのですが・・・↓
しかしそのエチオピアも、経済の再建が進められており、さっそく中国やインドの企業は積極的な進出を再開しています。日本企業の再開も期待しています。
以下は、弊社がご支援し、2016年にエチオピアでTシャツの委託生産を開始したときの記事です。
サムネイルの写真は、エジプトでハンガーシステムを取り入れている工場の写真(ABP撮影)。ミシンはJUKIですね。エジプトは縫製工場の集積地で、今年も新たな進出が何社もありました。
国にもよりますが、アフリカの国々でもコロナや米国の金利高からくる不況を今年あたりから乗り越え、成長基調に入った国が増えてきています。
アフリカの縫製産業についての情報提供や委託先の選定について、ご相談にのっております。こちらからお問い合わせください。
東レやユニチカがアフリカに縫製工場をもっていた頃について、こちらで少し言及しています。90年代以降のアフリカの縫製工場が輸出向けを基盤としてきた背景にもなります。
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