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8月の風景 ~記憶~
南信州の実家に里帰りしている
ご近所さんにみつからないように
こそこそ隠れて帰ってきてたけど
久しぶりに堂々と
お隣さんにや近所のおばあちゃんに
「こんにちは」の挨拶ができるのは気持ちが良い
扇風機の風に乗って漂ってくる
お盆の迎え火とか
お墓参りのお線香とか
蚊取り線香の煙たい香り
雨が降りそうで降らない
灰色の空
脳梗塞で体が不自由になり
介護が必要になった父の
「お~い。お~い」と
母を呼ぶ声
…………………
父の記憶はぼんやりした記憶だけど
昔の記憶はしっかりしている
父が口にした女の子の名前は
私の高校時代のクラスメイト
保育園の頃から
小学校も中学校も高校まで一緒だったのに
何十年も会っていないし
ここ数年は思い出すことすらなかった
友人の名前…
![](https://assets.st-note.com/img/1660459925290-Oc5Y902B6S.png?width=1200)
高校生の頃とか
ちょっとひねくれたところがあって
友達なんていらないって思っていた。
女の子同士のじめじめした話し
「好きな人」の話とか聞くのが大嫌いで
男の子と好きな音楽の話とかしているほうが
気楽で楽しかったな…
友達ってなんだろうね。
母が聞いているラジオから
あの頃、だれかが教えてくれた曲のフレーズが
流れて来た。
Winter, spring, summer or fall, all you have to do is call,
And I’ll be there, yes I will,
you’ve got a friend
冬でも春でも夏でも秋でもいつだって僕の名前を呼んで!
君の元にいくからね。必ず。
だって、僕は君の友達だから…
蝉の声がぎれとぎれに…記憶の彼方から…