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橋を架ける
更年期のお年頃のわたくしの一週間に一度のお楽しみは、ヨガタイム。ヨガといってもいろいろあるけれど、わたくしが憩いの場所としているヨガ教室は、同じような…更年期前後と思われる昼さがりの主婦たちが集う、近所の体育施設で行われている。
通い始めて4,5年たつと思うが、ずっと同じ先生のクラスに通っている。最初はリフレッシュヨガみたいな簡単なものだったけど、二年ほど前に、「あなた、上のクラスにいらっしゃいよ、あなたならできるから」とスカウトされて、現在「チャレンジヨガ」のクラスにいる。
まあ、チャレンジって言っても、更年期のおばちゃんのチャレンジだからたいしたことない。SNSの広告に出てくるような、へそ出し、小尻、美脚を披露するため?みたいなアクロバッティックなヨガではないことは想像つくであろう。
それでも、毎回チャレンジである。わたくしは、先生の指示通り動くことで精いっぱいであるが、昨年に比べると、さらには一昨年前に比べると、ずいぶんいろんなことができるようになったし、柔らかくなった。っていうか、以前が固すぎた。
「痛いところ凝り固まった部分に呼吸を流しましょ~」という先生は言う。ダウンドックのふくらはぎ、キャットアンドカウの時の背中も、開脚した脚のスジにも、吐く息とともに呼吸を送る。そういう小さな深まりの連続が今日につながっているのだと思う。
と書くと、すごいことができるようになったんじゃないかと、読む方は錯覚するかもしれないけど…
昨日は
「ウルドゥワダヌーラアーサナ」上向きの弓のポーズ
に挑むことになった。
とても上級感漂うお名前であるが、子供頃に組体操の時にやった、いわゆる「ブリッジ」のことである。
「セツバンダーサナ」橋のポーズは日ごろやっているのだけれど、今度は、頭を腕で持ち上げて気持ちよくブリッジをしてみよう!という試みであった。
「懐かしい!あれね!」できて当たり前、みたいな感じでみんな一斉に挑んだ。もちろん!わたくしも下の子が生まれる前、十数年前は簡単にできていたので…えいや!っとやってみた。
ところが不思議なことに、美しい弧を描くはずが…頭をぜんぜん持ち上げられないのである。美しいブリッジにならない…
めちゃめちゃくやしい、子供の頃は、あんなに簡単にできたのに、腕の力が落ちたのだろうか、体重が増えたからだろうか…
と一人で悶々としていたら、20人くらいの中で成功者はたった二名だけだった。
先生曰く、ブリッジは足の踏ん張り、腕の力、肩の可動域、胸の柔らかさ、背中の柔らかさ、いろんな要素が必要になっているから、更年期のお年頃のみなさんには難易度が高い、とのこと。
とはいえ、みんな一斉に、「きっとできるはず!」と信じて?チャレンジした姿は、まるで子供に戻ったみたいだった。キラキラ目が輝いていて、めちゃくちゃ楽しそうだった。と先生は絶賛していた。
そう、ほんとに、ほんとに✨✨
小学校の体育の授業にタイムスリップしたみたいな、若々しいエネルギーを、周りからも感じた、確かに感じた✨✨」
そんなわけで、更年期なお年頃のみなさまの新たなチャレンジがはじまることとなった。
「ウルドゥワダヌーラアーサナ」上向きの弓のポーズ、
いつになったら美しい橋がかかるのだろうか…
そして、いつになったら、この名前が覚えられるだろうか…
クラスの後、サイモンとガーファンクルの明日に架ける橋が頭の中で流れ続けていた…