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資格取得に向けた学習の効用

最近、MOS(マイクロソフト・オフィス・スペシャリスト) 365の一般レベルを念頭に置いて、Excelの学習を始めた。Excelを使う機会は、学生だった頃から就職した後まで、何度もあったのであるが、正直なところ苦手に思っていた。これまでも、Excelに対する苦手意識は少しでも解消したいと思っていたのであるが、単にExcelの参考書を読むだけではモチベーションを保てないという状態だった。そんな中、MOSという資格があることを知り、「せっかくなので、MOSの受験を想定して、学習してみよう」と考えたのである。

学習を始めてみると、手引きとなるものの豊富さに驚かされる。昔の自分なら、まずは本屋に行き、参考書を物色したであろう。しかし現在においては、インターネットで「MOS 365 Excel」と検索すれば、試験の出題内容について解説しているブログなどが瞬時に見つかる。私は具体的な操作の様子を見ながら学習したいと思っていたので、Youtubeにアップロードされている解説動画を視聴しながら学習する、という方法を選んだ。

解説動画を見ながら、実際にExcelを操作していくと、だんだんと面白くなってくる。一つの内容についての解説を見終えると、次の解説の視聴に移る。そして気付いた時には、5時間近くある解説動画を最後まで見終えていた。これは、Excelで何ができるのか具体的に理解できることと、Youtubeの動画にある一種の依存性――しばしば時間の浪費という文脈において言及されているものであるが――とが組み合わさった結果なのだろう。もちろん、動画を一度視聴しただけでは、スラスラとExcelを操作できるレベルにはならないだろうから、操作の練習を繰り返すつもりである。

ある資格の取得に向けた学習を始める時、その資格の将来性を考慮する人は多いと思う。私もどちらかというと、そういうタイプの人間である。けれども正直なところ、MOSという資格に将来性があるかどうかは、よく分からない。生成AIの技術は驚くほどの速さで進歩している。そのため、Excelも含めた各種事務ツールの操作を全てAIに行わせる未来が、近いうちにやって来るのかもしれない。もしもそんな未来が本当に来るのだとしたら、MOSの取得に向けた学習は、不要なものになるのだろう。もっとも、それは現時点では断言できないことだと思われる。

このように、資格の将来性の有無という問題は残るにしても、資格取得に向けた学習それ自体には、一種の効用があると思う。その効用とは、「自分は確実にできることを増やしている」という感覚を持つことである。この感覚があったからこそ、私は5時間近くある解説動画をどんどん視聴できたのであろう。そして上記の感覚は、資格取得のための学習だけでなく、趣味や仕事においても重要なことであると言えるだろう。自分の実力の向上が感じられない状況下で、努力を続けることは難しい。少なくとも自分はそうである。そうした状況の中にいる時、人は自らが身を置いている環境に対して、一種の居心地の悪さを感じると言えるのかもしれない。


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