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「私は君の上司です」絶望の日々を救った上司の言葉たち

【お題企画「 #心に残る上司の言葉 のテーマで書いています】

数年前、度重なるストレスで突然、幼少期に発症していたアトピーが酷くなった時があった。

夜は痒くて痛くて、眠れない。
仕事中も、傷が痛い、痒い。
首には包帯を巻いてトイレで保湿
していた。
顔にもアトピーがでる。
「もう人に会いたくない、顔や首を凝視されたくない」そう思って外出するのも億劫になった。

眠れない中で仕事をどうにかしないといけないと必要以上に力む日々。
何をしてもあまりにも良くならない状態に、常に睡眠不足で電車内で倒れるように寝ていた毎日に、絶望した時期。まわりも心配してくれていた。

いつ治るんだろう、いつ人前に出るのが怖くなくなるだろう、いつみんなに「治りましたよ!」て笑顔で話せるんだろう…

睡眠不足とストレスとアトピーの悪化に耐えられず、ある日ついに会社を休んだ。

アトピーのせいで何もできない、そんな自分が情けなくてその日にお休みと謝罪の連絡を入れた。上司からは長文の連絡が届いた。その中には、

「私は君の上司です。仕事も、病気も、全力で伴走します。」

という言葉があった。
この言葉を見た瞬間、涙が止まらなかった。

当時の私は「仕事のできない自分はクソ(言葉遣い…)」と思って自分を必要以上に叱咤していたので、こんな風にあたたかい言葉をかけてくれる上司なんてこの世にいるのか、と何度もそのメッセージを読み返した。 

当時の上司は昭和時代のモーレツサラリーマン世代。自分にも他人にも厳しく、指導にも熱い人だった。転職してきて馴染めず、仕事も全然できなかった私、異動で彼の部下になることに。
「まあ人生そういう時期もある。一緒に頑張ろう」と、悪評を聞いていたはずなのにあたたかく迎え入れてくれた人だった。

その後も出張や業務量を治療に合わせて調整してもらったり、導入したての在宅勤務を多めに認めてくれたり、治療の辛さを聞いてもらったり、上司でありカウンセラーのような役割を全力で担ってくれた。

もちろん私のマネジメント以外にもたくさんの仕事を抱えつつ、その役割も担ってくれていた。

そんな中で良い病院に巡り会え、医師の指導にしたがって糖質制限をし、ごく少量のステロイド剤を使いながら、だんだんと、奇跡的にアトピーが良くなっていった

会社の同僚も先輩も、「大盛のサラダ」と「タンパク質たっぷり」「NO炭水化物」なお弁当を見ていつも目を丸くしていたけれど、「少し良くなってきたかな?」等と気にかけてくれ、本当に救われていた。
トイレに行く度に声をかけてくれるそんな優しさにも癒されてアトピーも良くなっていった。(元々井戸端会議@トイレが長い窓際ならぬトイレ際社員)

人生には辛くて、もがいても辛くて、どうしようもないくらい絶望してしまうような期間が時々、ある。(いらない!と思ってしまうけど)

そんなときに、「伴走する」とハッキリ言ってくれ、いつもサポートしてくれた恩人の存在は時空を超えて命綱になる。そして、これから生きていく希望になる。

厳しい指導も受けたけれど、その裏には「この部下を成長させたい」という思いを感じ、真摯に自分と向き合うようになった。いつも大量のビジネス書を読み漁る上司を見て、負けじと本を読むようになった。

それからも、細かく緻密に物事を進める上司と、大雑把に非連続的に仕事をしていくタイプの部下(大分美化した表現)とではぶつかることも多々。

それでも、「この人は味方でいてくれる」「少なくとも辛い時に見捨てない人だ」という信頼値、そういう上司が近くにいたという経験が、人生をより豊かなものにしてくれる。

「君は海外の方が生きやすいだろうね」

ポロっと上司が言ったことに妙に納得してしまったのを、今でも覚えている。その後上司は海外の現地法人へ赴任した。

インドから帰国した時、上司は4年間の海外赴任から帰国していた。
「おかえりなさい、そう言える日が来て、そういうタイミングで居合わせることができることを嬉しく思います」と連絡をくれた。

コロナ後遺症で調子がおかしいまま会社にいたときも、「目の奥が笑っていないけど、どうしたのか」と、とても心配してくれた。

アトピーは辛かったけれど、そのおかげで出会えた力強いあたたかさがあった。

「絶対に見放さない」という姿勢を貫き、まるで父親のように見守ってくれていることは感謝してもしきれない。

帰国後色々悩んだ際、「日本社会に適応すること、日本人に戻るのが難しいです」と話したら、

「そもそも君にとって日本人に戻る、なんてことはハードルが高いこと。ここからがスタート地点だから無理して自分のハードルを上げないように。」と、全てを見透かしているような言葉を送ってくれた。

当時の私のように、「どうしようもなく辛い時期」を送っている人がいたら、少しでも相手に伴走できるような優しさと、その優しさを行動に変えられるタフネスが欲しい。

そして上司には心配をかけてばかりなので、そろそろ上司孝行を、したい。

日本で一番美味しいインドカレーのお店にでも連れて行って、とびきりのカレーをご馳走しようかな。恩返しなら何百回か、行かなきゃ足りませんね。

都内の激ウマ南インド料理




#心に残る上司の言葉

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