あなたのつくる「ソイミートごはん」が未来を変えていく❢
食べることは、生きる基本。知っておきたい食の課題と、解決に向けた取り組みを学びましょう。今回、注目するのは、世界で巻き起こっているフードテックの波。おいしくて、環境にもやさしい食材とは? ライフスタイリストの大田由香梨さんにお話を伺いました。
植物性タンパク質ソイミートを
もっと気軽な日常の食材に!
今、世界で注目されている「ミートフリーマンデー」という動き。地球の環境を守るために、毎週月曜日だけ肉を食べるのをやめようという取り組みで、欧米を中心に広まりつつある。つまり、畜産が地球に与える環境被害はそのくらい大きいということ。世界中の畜産業から出る温室効果ガスの量は、世界中の運送関連から発生する温室効果ガスの総量を超えているのだ。家畜を育てるには穀物も水も大量に必要。さまざまな理由から、代替肉を広める動きが広まっている。!
「地球環境はいまが瀬戸際。すぐにアクションに移さなくては、取り返しがつかなくなる。そんな危機感があるからこそ、私たちはソイミートを販売しているのです」と大田由香梨さん。ソイミートとは、大豆からタンパク質を抽出し、繊維状にして肉に似た食感に仕上げたもの。代替肉として語られがちだが、タンパク質以外に食物繊維や必須アミノ酸も豊富。脂肪は控えめで、美容や健康の味方でもある。大田さんは2011年にヴィーガンカフェ「オーガニックテーブル・バイ・ラパス」を開いて以来、食を通してサステナブルな生活を提案してきた。ラベジも、カフェで使っていた食材を、誰もが手に取れるアイテムに改良したものだ。
「カフェだと、どうしても外食時だけの習慣になってしまう。なので、家庭で日常的につかえる食材として広めようと考えたんです。それに、問題意識をハッピーに伝えたいなとも。おいしさにはこだわっていますし、暮らしに採り入れたくなる佇まいも大切にしています」
食材として多様な可能性を持つソイミート。大田さんは、調理や保存の手軽さも魅力だと語る。
「乾物なので常温保存できるんです。私はビンに移し替えて、台所に常備しています。形状はブロック、フィレ、ミンチの3種類。唐揚げならブロック、ガパオライスならミンチなど、料理によって使い分けています。賞味期限は約1年。植物性だから、まな板や手も汚れないし、洗い物も楽。一度つかうと、その便利さから、手放せなくなるはずです」
この日つくってもらった唐揚げは、ブロックタイプを湯戻ししたあと、下味をつけて、片栗粉をまぶし、揚げただけ。湯戻し以外の手順は、普通の唐揚げと変わりない。しかも、下味をつけた状態でおよそ1週間も冷蔵保存できるのは、ソイミートならではのアドバンテージだ。麻婆豆腐には、湯戻しの必要がないミンチタイプを使用。フレークのようにさらさらと加えて煮詰めれば、あっという間に完成する。味はどちらも、深みがあって食べ応えあり。もとが大豆だと気づかない人もいそうだ。
コクを出すコツは、醤油や味噌など発酵調味料を合わせること。ラベジでは、手軽に味つけができるオリジナルの合わせ調味料も販売している。初めての食材は最初が肝心。「ソイミートはおいしくない」との先入観を減らすため、ホームページではレシピも公開している。
「自分ひとりがソイミートを取り入れても変わらない……と思う人がいるかもしれませんが、私は一人ひとりのマイクロアクションのほうが、世界を変える力があると思っているんです。いまの時代は関心のある情報がSNSなどのアルゴリズムによって次々と入ってくる。ソイミートというひとつの窓が開くことで、その周辺の情報も集まって、環境問題を考えることが日常になるかもしれません。今日、何を食べるかが未来を変える。そう信じて、おいしくて心地よいアクションを広めていきたいと思っています」