子どもの生きる力を育む「エディブル・スクールヤード」と「ボーイスカウト」
私たちのふだんの行動軸をベースに、未来を変えるアクションを集めました。毎日の暮らしのなかでできることから新たな世界での体験まで、やりたいことから始めてみましょう。今回は「生きる力がつく」教育をご紹介します!
校庭の一角につくった菜園で
野菜を育て、収穫し、食べる
1990年代、カリフォルニアのオーガニックレストラン「シェ・パニーズ」の創業者アリス・ウォータースさんが提唱し、マーティン・ルーサーキングJr中学校の校庭で始まったエディブル・スクールヤードが、日本でも広がりつつある。2014年には東京の多摩市立愛和小学校の校庭の一角で菜園づくりがスタートした。
「アメリカのエディブル教育の現場には、菜園での授業計画を立てて実践する『ガーデンティーチャー』がいます。そこで、パーマカルチャーデザインを学んだフィル・キャッシュマン氏を招きました。育てた野菜を使ってピザを焼いたり、ニワトリを飼ったりするうちに、人と関わるのが苦手な子や、保健室登校と呼ばれている、教室に入れない子も集まるようになっていきました」
そう話すのは、エディブル・スクールヤード・ジャパン代表の堀口博子さん。フィルさんについてはこんなエピソードも。
「彼の教育農場でお泊まり学習をしたとき、『ここでは何をしてもいいよ。でも植物に必要な光、水、空気、土をいつも感じて観察してね』と伝えていました。学校では指示されることが当たり前の子どもたちは最初こそ戸惑っていましたが、花飾りをつくったり、薪を集めたり、自然のなかでできることを率先してやるようになりました」
エディブルの授業では、子どもたちとたくさん話して表現を引き出すことを心がけ、自発的な行動ができるように促している。
「『水の流れがよくなると気持ちいい』と話す子がいたら、『じゃあ水の流れが悪いときは、何がそうさせているんだろう』と一緒に考えてみる。すると、水路に溜まったドロに気づいた子がドブさらいを始めました。自分の行動で世界を変えていけると体感した子どもたちは、学ぶことに真剣になり、アクションを起こさずにいられなくなるんです」
野外活動を通して
自主性を身につける
1907年、イギリスで誕生し、いまでは世界中で活動しているボーイスカウト。その始まりは、創始者であるロバート・ベーデン-パウエル卿が20人の少年らを集め、野外活動のなかで自立心や協調性、リーダーシップを身につけさせようとした実験キャンプだった。日本では1922年に少年団日本連盟として正式加盟し、2022年100周年を迎えた。現在、日本には約2000団の活動母体があり、約9万人が参加する。
ボーイスカウト日本連盟の川瀬政美さんは、「ボーイスカウトは小学校入学前から社会人になるまで、一貫して年齢に応じた課題をおこなうプログラムなんです」と話す。小学校入学直前~小学2年生は「ビーバースカウト」、小学3~5年生は「カブスカウト」、小学6年生~中学3年生は「ボーイスカウト」、満18歳の年度末までは「ベンチャースカウト」、18~25歳は「ローバースカウト」と呼ばれ、年齢に応じて活動範囲や内容を広げていくという。
「戸外遊びから始まり、ハイキングやサイクリング、火の起こし方、ナタでの薪割り、ロープワークなど、プロセスを踏んで習得していきます。すると、災害に遭ったときにも、その場にあるものをつかって雨風をしのぎ、お米を炊くといった応用ができるようになります」
ボーイスカウトが目的としているのは、キャンプの専門家を育てることではなく、社会をよくしていくこと。困っている人がいたときに、リーダーシップを発揮して導けるよう、奉仕の精神を育むことを大切にしている。ボーイスカウトの子どもたちと一緒に活動する指導者は全員ボランティアだという。子どもの頃に大人から教えてもらったことを、大人になって次の世代へ伝える。こうしてボーイスカウトは100年にわたって、子どもたちの自主性を育み続けているのだ。
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