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脳出血で倒れたワーママ、その後の日々 「手の回復は年単位」との言葉を胸に、リハビリ&日常生活に挑む!

2021年7月後半のある日曜日の午前中に、突然倒れた本サイトの制作担当、私ことエディター・ライターの萩原はるな。脳卒中の一種である「脳出血」と診断され、5ヵ月以上にわたる入院生活を経て、なんとか家に帰ることができました。倒れた夏から2年がたったいまも、右半身にマヒの後遺症を抱えながら、仕事や家事、リハビリに奮闘する日々は続きます。

リハビリ三昧の日々から、週イチ40分のみの通所リハビリに!

脳の左側の血管が破れる「脳出血」を発症した私。当初は、右手も右脚もピクリとも動かず、「いったいこれから、どうなってしまうの? 子どもや家族、仕事は……?」と途方に暮れたものです。ロレツもうまく回らないし、すぐにボーッとしてしまうし、何しろ歩けないし字も書けない。日常生活は、はるか手の届かないところにありました。


それから5ヵ月ほど専門病院に入院し、リハビリ三昧の生活に突入。手&腕の機能回復を目指す作業療法、歩行訓練がメインの理学療法、スムーズに会話できることを目的とする言語療法、脳の機能回復を図る「心理」と、4種類のリハビリを行いました。


そのうち話す能力がかなり回復し、浮いた時間を作業療法や理学療法にシフト。1日2〜3時間、みっちり身体の機能回復に努める毎日でした。「リハビリって、大変なんでしょう?」とよく尋ねられましたが、専門病院でのリハビリは毎日の義務でもあり、お楽しみ。車イスからツエ歩行になったり、まったく動かなかった腕が上がるようになったりすると、やはりとってもうれしいのです。


「やればやるほど、機能は回復するはず!」と思っていたので、「できれば一日じゅうでもやりたい!」という思いでした。


 倒れて2年たった夏休みの朝、小学5年生の息子とラジオ体操へ。立つこともままならなかったリハビリ病院入院時の初期、リハビリルームでおじいさまがイヤイヤながらラジオ体操をしているようすを、心からうらやましく思ったものだ。腕は上がりきらないものの、なんとかラジオ体操ができるようになり、ひとり静かに感慨に ふけってしまった

ただし、手、とくに指はいっこうに動くようになりません……! 数ヵ月かけてなんとかグーはできるようになったものの、パーに開くことがどう頑張ってもできないのです。ましてやチョキなんて複雑な動きは、とてもとても……! 


担当の理学療法士さんによると、大きい筋肉で動く脚と違って、手の動きはかなり繊細なため、なかなか回復が難しいそう。「退院後に遊びに来てくれる患者さんは、入院時よりも回復しているんですよ。手は年単位ですから!」とのこと。この「手の回復は年単位」という言葉は、2年たったいまでも、私の気持ちを上向かせてくれる魔法の言葉です。


リハビリ病院を退院するころには、なんとか両手で靴紐が結べるように。右手がドヤ顔で写っているものの、メインで働いたのは左手で、右手はあくまで紐を押さえる程度にとどまっていた

退院後は、家の近くにある病院で週に一度、40分間のリハビリを受けることになりました。同時期に入院していた脳卒中仲間たちは、通所ではなく自宅でリハビリを受けている人も。後遺症の状況やライフスタイルによって、回数などもまちまちでした。


リハビリ病院に担当のケアマネージャーさんが常駐していて、退院前に相談に乗ってくれたり区役所とのやりとりなどをしてくれたりと、いろいろフォローしてくれて安心! 介護保険をつかうのか、医療保険で通うのかなど、いろいろと煩雑なので助かりました……!


退院後のリハビリで、2年目の夏に挑んだ右手での『方丈記』。かつての自分の字に、やっぱり似ている。しかしめちゃくちゃ遅い&すぐ疲れてしまうのが難点

毎日、3時間ほどみっちりリハビリを受けられた入院時とはうってかわって、週に一度! しかもたったの40分! 非常に心もとなかったものの、退院後は日常生活そのものがリハビリ状態。病院にいたころのように上げ膳据え膳ではもちろんないし、歩くのはリハビリルームのように平坦な場所ばかりではありません。「お母さん、お腹空いた!」と何の遠慮もなく訴えてくる子どもたちもいるし、洗濯だって毎日しなくては……。


というわけで、日常生活を送るだけで、かなりリハビリになります。そうして必要に迫られて動いているうちに、脚の装具がとれ、退院半年後にはツエに頼らなくても歩けるようになりました。


脳卒中の後遺症は、動かせば動かすだけ回復する、と言われたことがあります。重々わかってはいるものの、動かすのはひと苦労だし、疲れちゃうし、ヘボい動きしかできないので、どうしても左手&左脚に頼ってしまうのです。


右マヒの私ですらそうなのですから、左マヒの方々はどうしたって利き手の右手で何でもやってしまうでしょう。でもそうすると、マヒ側の機能の回復がままならなくなってしまう。そのへんのバランスはとても難しく、いまだに悩ましい日々なのでした。


富士山・青木ヶ原樹海散策の取材ツアーに参加。溶岩と木の根っこに阻まれながら、1時間半ほどの行程を歩ききったことは大きな自信に! ただしその夜、寝ている間に脚がつってしまい、何度も起きてしまった

週に一度のリハビリは、退院の半年ほど後に、週二回に半減。いまは機能回復という観点ではなく、握力を測ってもらうなど回復度を測る目的のほうが大きいかもしれません。


また、リハビリの専門家である理学療法士さんから、「油断すると脚を引きずってしまうのですが、どうしたらいいでしょう?」など、日常生活や動きのアドバイスをもらえる貴重な機会。回復の過程を知ってくれている療法士さんの存在は、とても心強いのです。


思えば長いリハビリ病院生活でも、「すごいじゃないですか! 指がちょっと動きましたよ!」「めちゃめちゃ歩きがよくなってる!」などと驚いたり喜んだり、恥ずかしいくらいにほめてくれた療法士さんたちに、どれほど励まされたことか……!


私はもともと運動神経がいいわけではないし、飛び抜けて器用なわけでもありません。なのに「すごい回復力!」と言われることが多いのはなんででしょう? と、ある療法士さんに聞いたことがあります。


その方の答えは「メンタルだと思いますよ。『元のように動かしてくれよ』『どうせ無理なんだ』という、人任せ、ネガティブなメンタルの方は、なかなかリハビリに身が入らないようです。『よくなりたい!』『よくなるんだ!』という前向きな気持ちがある人は、やっぱり回復が早い傾向があります」というもの。


病は気から、とはちょっと違いますが、捉えかたや姿勢で、ものごとの結果は変わってくるのかもなあ、と思っています。

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