俵屋旅館の感想
2021年11月に主に宿泊してきた地方高級ホテルや旅館についてまとめ記事を書きました。
行ってみたい旅館として紹介していた俵屋旅館に泊まってきたので、実験的に記事で紹介してみます。
俵屋旅館とは
まず前提知識のお話から。
公式HPがなく、一休などでの予約もできない。予約は電話かJTBで予約というアナログスタイルを貫きます。
よって情報取得難易度が高く、たまに本記事のような感想ブログを見かけるか、インスタのハッシュタグで見る程度。それゆえ、写真付きで紹介することに価値があるなと感じました。
1709年頃創業で300年の歴史があると言われており、京都を代表する旅館と言われています。かのスティーブ・ジョブズ氏の定宿だったことが有名。
公式の書籍がありまして
非常に高価な本ですが(リンク先飛ぶと7,000円台であるけど)アートブックとしても良いですし、150ページ程度ですが季節ごとの顔がよくわかり、泊まらずしても楽しめるどころか、泊まった後に読み込むと、また味わい深さを感じます。
ホテルよりも旅館の方が季節ごとのあつらえにダイナミズムを感じるのは僕だけでしょうか。
日本には数多くの魅力的なホテルや旅館が存在ますが、それでもまた違った季節に訪れるとどんな景色が見られるのだろうか。とこの本を読むことでまた泊まりたいなと思える。
ホテルや旅館でこのレベルの公式本を出しているところを私は他に知らないので、ホテル旅館のブランディングとして新規獲得にもリピート率向上にも寄与する良い施策だと思う。
ちなみに場所は京都市役所駅が最寄りで、麩屋町通り沿い。祇園までは歩くと20分程度かかりますが、四条烏丸や丸太町はそれなりに近く、周りにBARもいくつかあるので、京都巡りにおける立地は良いといえます。
お部屋
あろうことか「部屋の全体感」を撮りそびれましたw
掘り炬燵のあるお部屋に宿泊しましたが、18部屋それぞれに個別の庭が設えられており、この庭の存在が京都の中心部にいるとは思えないほどの静寂を与えてくれます。
俵屋情報を調べていると、よく「部屋でのお昼寝」が推奨されており、お昼寝用の寝具に寝転がると、斜め上には紅葉が見える。寝転がらないと見れない景色があり、その事実以上の意味深さを感じてしまいます。
部屋にいると本当に無音で、湿度管理もしっかりしているはずなのに、生活音や外の音が一切入ってこない。
部屋に設えられた勉強机ですが、良い小説を書けそうな雰囲気が漂う。
掛け軸や生花も渋くていとをかし。
お風呂はそんなに大きくはない。ムード的にも、若い男女がイチャコラできる感じではありません。
檜ではなく、高野槇(コウヤマキ)を使用しており、到着時に湯船が張られていても、夜までお湯の温度を保つことができるという。夏は翌朝まで温かさを保つことができるらしい。
ミニマリズムを感じる風呂であるが、これはこれで非常に味わい深い。
あえて写真は載せないけど、ベッドの部屋でしたが、ガチなシングルベッドであり、非常に狭かったです...ビジネスホテルかよ的なw 多分、俵屋に泊まるなら、お布団の部屋の方が良いのでしょうね。
アーネスト スタディ(書斎)など共用部
しまったこれもかなり写真を撮りそびれたのですが...
俵屋当主の佐藤年さんの旦那さまのアーネスト佐藤さんの書斎を再現したと言われるお部屋。
旅館2階の奥まった場所にあり、やや低い天井高もあってか、隠れ家感満載!それなのに、異様に落ち着きます。
2階のアーネスト スタディは主には洋書。1階にも小さなライブラリーがあり、そちらには和書を中心にセレクト。
これは1階のライブラリーの片隅。
ホテルや旅館のライブラリーって、正直「とりあえず作っておきました」感が否めないものが多いと感じているのですが、俵屋旅館のアーネスト スタディは精微なこだわりが感じられる名ライブラリーといえよう。
共用部の中心には坪庭があり、そこに大きめの花が師走は南天でした。
卯月には枝垂桜が見れるようだと、俵屋相伝にありました。
この坪庭の花を見るだけでも、季節感を大いに感じることができます。
お食事
まず到着するとウェルカムスイーツとしてわらび餅を頂けます。こちらは近隣にある遊系サロン・ド・テでもいただけるもので、甘すぎず美味。
夕食もお部屋でいただきましたが、正直京都は食の都ですので、俵屋で食べなくても良いと思いますが、チェックインからチェックアウトまで長い時間俵屋を満喫したい場合は、夕食付きでも良いのかも。
私は実は食事のレビューはあまり得意ではないw
俵屋の夕食は、何かしらパンチがあるというわけではなく、身体に良さそうで「ていねいなお料理」という感じです。ニュアンス的には、「代々木上原・ていねいな暮らし」感があります。
師走にも限らず、蟹が一切出てこなかったのは、今年は蟹が不漁で3倍もの価格になっており、後述しますが食事込みでも価格変動があまりなさそうな旅館なので、原価が高い食材を避けている印象はありました。
お造り美味しい。お椀も楽しめます。
朝食もいただき、洋食でしたが正直あまりコメントすることがない可もなく不可もなく感。
お土産
現地でしか買えないわけではなく、ギャラリー遊形というECで買えるのですが。
HPより引用しましたが、俵屋の石鹸が昔からお気に入りで、自宅で愛用しています。タオルやソープディッシュも持っていて、「すごく普通なんだけど、普通の中にあるセンスの良さ」的なものを感じますね。「普通に良い香り」ですが、「普通に」という「普通さ」を醸し出す難易度の高さ。
現地で買った甘納豆も、「甘すぎない、いやむしろ甘くない。微かに甘い、甘納豆」という味わいに、俵屋イズムを感じましたね。淡々と食べてしまう、食べ疲れしない味わい。
俵屋旅館は、家だった。
HPがないから、写真が貴重だ!と冒頭で述べた割には、大した写真を掲載できませんでしたがw
俵屋旅館の良さを伝えるのはなかなか難しいですが、そんな中でも私が感じたことを。
大抵の場合、旅館やホテルに人は「非日常感」を求めるケースが多いと思います。実際に「おお!これは絶景!」とか、「大きいプールや大浴場」を楽しみたいもの。
こちらの記事のアイキャッチ画像になっている、リトリート青凪の景色や、竹ふえのアホでかい竹林貸切風呂など非日常の極みです。
俵屋旅館はそれらとは対極に位置していて、とにかく旅館にいることで落ち着くんですよね。実家より、実家感ある。みたいな感覚すらあります。
京都の街中で静寂な空間で庭を愛でることも、非日常と言えなくはないですが、どんなに居ても飽きない気がする。
上述しましたが、数多あるホテルや旅館の中で、一度行けば満足というところも実際はある。
しかし、俵屋旅館は「一度行って楽しむ」類のものではなく、「京都の別宅だ」くらいな感じで、季節を変えて定期的に訪れたいと思わせる、ホーム感覚。「家」感を強く感じました。
旅館自体がミニマルでコンパクトに感じられる造りであることも、家っぽいと感じる所以なのかも。
東京在住の私は京都には遊びにたまに行っていますが、俵屋に泊まると普段の京都旅行より疲労を感じない可能性があるなとすら思わされました。
2名朝夕食付き15万円程度でしたが、たしか季節によってそんなに価格が変わらないはずです。18部屋あるうちの2,3番めに大きいお部屋でした。夕食抜きもできますね。1人で夕食抜きだと7万円前後でも行けた気がします。
京都だと今までは、ケチる時はオークラ、ケチらなくても良い時はリッツが定宿でしたが、俵屋旅館という選択肢ができたのは、私の京都プレイにとってとても良い発見でした。
色々なホテルや旅館に泊まってきた方にこそ、訪れてみてほしいですね。そこでその差異を感じ取って欲しい。
一定の経験値があったからこそ、「家感、半端ない」と思えたのかもしれません。
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