500 Startups Japanのファンドリターン分析:リターン予想は○倍
かつてThe Startupで「ファンド・リターンズ」という各ファンドの予想リターンを、投資先個別のリターンの積み上げから予測するというコーナーをやっていました。
最新更新が「2015年10月」のGREE VENTURESの分析です。歴史を感じますねw
ファンドからするといい迷惑ですが、VCによってはファンドレイズ時に「第三者による分析資料」として使われたらしいという噂も聞きましたw 「第三者からの分析でも、当ファンドは良好なリターン見込みです!」というと、ファンドレイズ時に役に立つのでしょうねw
ファンドリターンは、各ファンドがレイズから4-5年経った頃が組み入れが終わり、成果が見え始めるので、タイミングとしては好ましい。
ということで、約5年ぶりに!ウメキワークスの中で「ファンド・リターンズ」が復活です。今回の分析対象は500 Startups Japanです。5年経ったので、私の分析力も当時よりはまともになっているはずw (当時の記事はひどい...)
☆ファンド:500 Startups Japan
ファーストクローズ:2016年2月
ファイナルクローズ:2017年6月
ファンド総額:3,500万ドル
LP:クールジャパン機構(1,000万ドル)、みずほ銀行、mixi、エンジェル、国内大手事業会社など
参考記事:こちら
投資ラウンドと方針:アーリーステージが中心
1件あたり1,000万〜5,000万円程度の新規投資を行い、事業の進捗に応じて5,000万円〜1億円程度の追加投資
500 Startups Japanは米国のVCの500 Startupsの日本法人として立ち上がりましたが、このチームは現在はCoral Capitalとして活動しており、2019年3月に50億円規模のファンドをレイズしています。よって、今回の分析対象は基本的には「2019年2月以前」の投資案件となります。
Coralの記事を見かける読者も多いはずなので、知っているとは思いますが、Coralは情報開示が多いので、ファンドリターンの分析をしやすかったです。各ファンド、戦略は色々あるでしょうが、情報の透明性の高さは起業家や第三者からすると魅力的に思えると思います。
秘密主義なだけで、良いディールを獲得できる時代は、2020年においては終わっていると思う。CoralのHPにポートフォリオがあり、今回は500時代の投資先のリターンを分析します。
☆ファクト・サマリー
投資先:37社
EXIT済:1社
シリーズC進出:1社
シリーズB相当進出:6社
シリーズA相当進出:19社
シリーズA以降進出率:73%
追加投資件数:19件(500が16件、Coralが7件)
追加投資率:51%
注記:データは2020/7/22時点
まずファクトをまとめると、ウメキワークスの調査が「9割程度は正確である」と仮定して、シリーズA以降の進出率は73%となります。これは、アーリーのVCとしては比較的高い確率に思えます。最終的にはもう少し高くなるはずです。
基本的に37社くらいの投資だと、10%くらいのホームラン案件でファンド総額を回収したい感じだと思います。よって、シリーズB相当以降の案件の成否がリターンを大きく左右すると見ます。
投資ジャンルは細かくは割愛しますが、「C向けよりB向けが多い」「SaaS的な事業の比率が高め」といった特徴があります。アーリーのVCにありがちな「謎のぱろぷんてC向け案件」の比率は相当低い印象。言い換えると、ロジックが弱いとダメとか、感覚で投資とか、そういうことをしてなさそう。
CoralはMDの澤山さんだけ面識があり、かつては夜のディール友達でしたが、彼と私は誕生日が1日違いであり、「割と保守的な判断をする」傾向があると見ています。(言い換えると、「勝手に自分と感覚が少し近い」と思っていますw)
ジェームスさんは直接は存じませんが、澤山氏は野村リサーチアンドアドバイザリーの出身であることもあり、IPO案件のバリュエーションに従事していました。よって、IPO案件になりにくいような案件に賭けるということを、避けていても不思議ではない。
注記:澤山氏からの情報提供は受けず、今回は独自の予想となっています。
それでは本題に。500のリターンの核となる案件は詳細に見ていきつつ、どれくらいのリターンになり得るかを積み上げて分析していきます。
2016年の組成なので、ざっくり「2025年までに回収できればOK」となります。
「500投資額」はリリースから単独出資であれば正確な数字ですが、大抵は協調投資になるので、そのラウンドの投資額から500分をあくまで筆者が推測した数字になります。あくまで「ざっくりとした予測」であることを念頭に、ご覧いただけますと幸いです。
SmartHR:最大のリターン見込み。10-15億円?
おそらく500の最大のリターンはSmartHRとなります。シリーズCまで行っていますし、
☆シリーズA
ポストバリュエーション(以下、PVと略):約20億円
調達額:5億円
推定500出資額:1億円
取得比率:5%
☆シリーズB
SPVで15億調達:500がSPVをまとめたが、500がいくら出資したかは不明
☆シリーズC
Coralとして出資のため、分析対象から割愛
ここからが予想
☆IPO:2022年
公募時価総額:800億
初値:1,000億
IPO時500保有比率:1.5%
500リターン額:6億+7.5億=13.5億
ロジック:公募で半分売却、セカンダリで半分売却
注記:シリーズCでのCoralでのリターンもある
ざっくりと回収レンジを「10-15億円」とします。出資額を1億円と仮定すると、10-15倍リターンです。
注記:IPO時の「保有比率」は厳密な算定ではなく、ざっくりの目分量で行っています。
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