人の手が作り出す東方美人茶
茶畑散策の後は、いよいよ工場へ。
24時間、茶師さんがつきっきりで作る東方美人の製造の現場を見せていただきました。訪問した日も作業の真っ最中で茶師さんはずっと泊まりがけ。
なんと工場の隅には蚊遣りを釣った簡易寝床まで用意されていました。
お茶作りって本当に大変なんですね。
人手で丁寧に行われる萎凋作業
朝から午前中にかけて、手摘みで摘まれた生茶はまず大きなザルに平たく並べて日干しにします。これは萎凋(いちょう)といって茶葉の発酵を促進するためのもので、お日様に当てたあとは室内で引き続き半日ほど萎凋を行います。
大きな竹ザルで干される東方美人の茶葉たち
ザルで干すだけなら手間もそんなにかからないんじゃ?と思うなかれ!
実際にはここからの作業が大変です。
茶師さんはザルに開けた茶葉の様子を見ながらひとつひとつ、手で混ぜては広げ、また乾燥させるという作業を繰り返します。この時点ではまだ青みの強い茶葉の香りが漂いますが、これはこれで「今すぐ飲みたい!」と思ってしまうほどの爽やかないい香り。すがすがしい香りの中、丁寧に揺すっては混ぜられた茶葉たちがゆっくりと萎れて発酵していきます。
人手で行われる揺青作業、この作業は翌朝5時まで続けられます
時間を経てだいぶ萎れた棚の茶葉たち、爽やかな緑の香りが漂います
なんとオーナー様の好意で店長ニルも揺青作業を体験させてもらえることに!
本物の東方美人茶に触らせていただけるなんて、もうドキドキです。
茶葉は一度別のザルに空けたあと、ザル本体を膝で支えるようにして下から上へ、手でそっと混ぜ返します。
指に触れる柔らかな茶葉がなんとも気持ちいい・・・!
本来はチカラのある男性の方が作業をするので、膝だけでザルを支えて両手で混ぜるのですがそこはちょっとムリでした^^
両手でグルリと混ぜた茶葉を平らにならして、最後にザルを下からトントンと軽くたたいてふんわりさせます。店長ニルも茶葉を一巡させてトントンと叩くところまでやらせていただきました。感動!
いよいよ殺青、東方美人茶らしくなってきました!
半日かかった萎凋の後、回転発酵を経て茶葉はすっかり赤褐色へ。まだところどころ緑色の茶葉も垣間見えますが、見た目にはほとんどお馴染みの東方美人茶です。
この時点の茶葉も香りを嗅がせていただきましたが以前のような青くささはなく、もうたっぷり蜜香のいい香りがしていました。ああもう今すぐ飲みたい・・・東方美人の生の姿というか、本当にいい香りでした!
この後は後方に写るドラム式殺青機に入れて160℃で6分ほど加熱し、茶葉の酸化を止めます。
釜煎りをした茶葉は手早く布に包んでお団子状にまとめられます。ここからはスピード勝負!手でしっかり転がして揉んだあと、すぐに蒸らし用の容器の中へ。そこでさらに発酵を促進させます。
最後に乾燥機で水分を飛ばしたら完成!
薫り高い東方美人茶の出来上がりです!!
畑で茶葉を摘んでからここまでの作業をほぼ24時間で行うのだから、やっぱり製茶って大変ですよね。人の手を通じて丁寧に作られる東方美人がいかに手間のかかっているお茶かということを実感しました。
作業をされている茶師さんたちは暑い中、扇風機を回しながら汗をぬぐって作業されていました。本当におつかれさまです。
おいしい茶葉を提供してくださる茶師さんたちに感謝です!
こんかい工場を案内していただいた大東茶業さんのお茶は、7月中にはお店でご紹介できるかと思いますのでもう少しだけお待ちくださいね。
大東茶業有限公司(東茶苑)
苗栗縣頭份鎮新華里大成街10號
TEL:886-37-673437
http://www.dadong.com.tw/
お仕事のあとは客家料理で!
今回訪問した苗栗縣という地域は客家(はっか)料理という伝統的なレシピが伝わる土地で、見学後は客家料理専門のレストランに立ち寄らせていただきました。
こちらの地域では畑仕事など体を使う労働も多いので、汗で抜けていく塩分を補給し体力を維持するため、脂こく、塩辛く、濃い味付けが多いんだそう。
言われてみれば、台北で食べる食事はどこか薄味にも感じましたがこの地域のご飯はしっかりとした甘辛い味が多いような。鶏を使った料理も多く、日本人の舌によく合う味ばかりでした。
中でも、丸鶏一羽と客家の伝統的なお漬け物を煮込んだスープは絶品!
划菜(日本にない漢字なので表示されないかもしれませんが・・・)と呼ばれる高菜みたいな、少し酸味のあるお漬け物と丸鶏をじっくり煮込んだスープはコクがあるのにさっぱりとしていてお肉もホロホロ。
とっても美味しかったです。
苗栗縣にご旅行に行かれる際はお薦めのレストランです。
鄉野餐廳
台湾 苗栗縣銅鑼鄉郵電街18號
http://tung.hakka.gov.tw/0000010/article-0001129?lang=1
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