撮(らえ)る。
広告映像作りを生業にしていながら、ずっと抱えている満たされない感触がある。
語弊を恐れずに言えば、プロデューサーという立場は自分が手を使って仕事をする機会が少ない。制作過程の計画を組み立てたり、御膳立てをしたり、仕上がりのイメージをチームに示していく仕事だと僕は思っているのだけど、広告映像というのは規模が大きくなればなるほどに、あらゆる柵(しがらみ)にまみれていくので、映像作りの本質から脱線する仕事が増えていく。
初心に立ち返ってみると、「映像を作る」というのも言葉として適切ではないとわかる。より根底にあるのは「撮りたい」という感情で、何故撮りたいかと考えれば、なんだか「心が動いた」わけで、その心が動いたことを「伝えたい」から、伝わるように「撮りたい/表現したい/発信したい/言葉にしたい」のだ。
伝えたいと思うことを表現する初めの一歩目は、映画や映像においては、心が動く対象を見つけ『撮らえる』ことだと思う。
FUJIFILMのX-T4を手に入れたのは、そんな思いがあったからだった。
誰かの要求と自分の表現欲求が寄り添える場所を、カメラを片手に探し直したい。
もし僕にできることがあれば、声を掛けてください。