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春と公園とコーヒー

私はよく、井の頭公園にふらっと行く。
春休み中は、学校が無い分いつもより人との関わりが限定的だった。
例えば、アルバイト先で嫌なことがあった時、いつもだったら学校に行けば友達がいて、授業があって、忙しく時間が過ぎるうちになんとなく嫌なことも忘れてしまう。けど学校が無いと、バイトがあって寝て起きてバイト…。面白味も無く淡々と過ぎる日々に、なんとなくもやもやしたものが蓄積されていく。あー!なんだかなぁ!
そんな時に、気に入っているスニーカーを履いて財布とスマホだけを持って井の頭公園に行く。

ちなみに井の頭公園は、住みたい街ランキングでおなじみの吉祥寺駅近くにある自然豊かな公園だ。
お隣の三鷹駅から玉川上水に沿って、緑と水のせせらぎを感じながら歩いて20分、公園に着いてまずは園内のコーヒースタンドでテイクアウトをして、園内をフラフラ歩く。
個人的には吉祥寺駅付近はお店がたくさんあるけど人が多くて歩きづらい、ガヤガヤゴチャゴチャしていて、人がごった返す休日にはあんまり行きたくない。忙しそうに歩く人混みの中にいると、なんとなく息が詰まる。あと手をつないで歩くカップルなんかも多くて本当に歩きづらい。道ふさいでイチャコラするな!
もちろん井の頭公園も多くの人で賑わっている。
けど、ここにいる人達はみんな穏やかな顔をして、ゆるやかな時間を過ごしている。そこで自分もゆっくりと時間を過ごすのが好きだ。

週末はお年寄りから家族連れまで、いろんな人がいる。アートマーケットが開かれていて、ハンドメイドアクセサリーや人形を売っている人、手作りの紙芝居を披露している人(夢は映画化らしい)、バルーンアートを子どもにプレゼントしている人…。さらにアコーディオンやらギターやらを演奏している人もいて、ちょっとしたお祭りのようになっている。

なんとなく誰かの演奏を聴きつつ、川辺のベンチに座りながら川で無邪気に遊ぶ子ども達をぼんやりと見ていると、グループの子ども達の微妙な人間関係や、やんちゃな息子に手を焼くお母さんの苦労なんかが見えてきて、ちょっと面白い。
そんな風景を見ていると、なんか本当にいろんな人がいるよなぁ、私が約20年間生きてきて、私の世界があるように、ここにいる人達もそれぞれの人生と世界があるんだろうなぁ、なんてことを思う。
私の人生は私が唯一無二の主人公で、そこで犬の散歩をしているおばさんなんて、私にとっては名も無きモブAだけど、きっとおばさんだってお嬢さんだった時代があって、いつかおばあさんになる。その人の人生を生きている。知らないだけで、周りには小説より面白いたくさんの人生と物語と世界があるのかもしれない。

それを知らないって、なんかもったいない!

きっと私は、生きている世界も視野も狭い。狭い人間関係の中での、他人から見たら些細な問題がまるで重大な問題みたいに思えるし、固定観念や自分の経験則からしか物事を見ることができない。だから、本当はつまらない、しんどいと思っている人間関係を捨てきれないし、ちょっとしたことですぐ悩んだり、問題を消化できなくてもやもやする。

でももしかしたら、一歩ここから飛び出すだけで、なんだかなぁって思ってばっかりの人生が少しだけ変わるかもしれない。自分とは違う人生を生きてきて、自分とは違う経験をした人の話を聞いてみたい。

だって、今まで行ったことが無い、公園近くにある美味しいと噂のグルメを探すだけでワクワクが止まらない。絶対に外にはもっとたくさんのワクワクがあるに違いない。

飛び込んだ先に何があるかなんてわからない。もしかしたら嫌な思いもするかも。
でも、絶対に今のままなんとなく生きるよりはいい。

桜は散っちゃったけど、今はなんてったって春。始まりの季節なのだ!


#始まりに思うこと_mb #MELCブログ