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広告主がSAS(スマート アド セールス)を活用したい理由

本noteは、2020年2月12日に開催された日本アドバタイザーズ協会様(JAA)「電波委員会主催セミナー」での講演内容をさらに詳しくご紹介しています。

第三のテレビCM『SAS(スマート アド セールス)』とは

『SAS(スマート アド セールス)』は 、2020年2月より旧ASS(アドバンス スポット セールス)から名称変更し、また日本テレビ以外にも、テレビ東京、フジテレビ、TBSの3局が新たに参加して再スタートをしました*。従来の番組提供やスポットCMに続く、テレビCMバイイングの「第三の選択肢」として2020年とても注目を浴びています。

*2020年7月17日現在の参加テレビ局は以下の通り

<関東>
日本テレビ(NTV)、テレビ東京(TX)、フジテレビ(CX)、TBSテレビ
<関西>
読売テレビ(YTV)、毎日放送(MBS)、朝日放送(ABC)
<名古屋>
中京テレビ(CTV)、CBCテレビ
<北部九州>
福岡放送(FBS)


SASは様々なテレビ視聴データを基に「15秒CMを1本単位」で購入できる新たなテレビCM商品で、従来の番組提供(タイム)やGRP購入(スポット)とも異なる画期的なバイイング手法です。放映日時、番組、本数、金額を、自社のキャンペーンタイミングなどにピッタリと合わせ「欲しいモノを」、「欲しい時に」、「欲しい分だけ」自由に購入することが可能です。海外では「チェリーピッキング」などとも呼ばれるこの新しい枠単価セールスは、テレビCMおよびテレビCMバイイングの世界に今、大きな変化をもたらそうとしています。

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広告主がSASを活用したい理由(期待する理由)
・人数ベースで見たコスト効率の高さ(テレビの再評価)
・低コストや短期間でも効果的な露出も可能(瞬発力)
・局毎だった最適化が複数局をまたいで実施可能(進化)
・オーディエンスデータでの枠指定購入(次世代型)
・不在だったミドルファネル訴求に使用(新しい役割)
・テレビ×デジタル統合戦略の進歩(シームレス化)
・プライバシー保護問題の影響(喫緊の課題)

1.人数ベースで見たコスト効率の高さ(テレビの再評価)

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「世帯視聴率」から「個人視聴率」で変る指標

まず参考までに、米国で「スーパーボウル」のテレビCMが30秒6億円でも人気があるのには、次のような理由があります。

・スーパーボウルの視聴者は1億人以上(毎年2月開催)
・スポットCMは「30秒で500万ドル」(約6億円)
・1視聴者あたりのコストは4〜5セント(約4.5〜5.6円)
・通常の人気テレビ番組は30秒CMが20万〜50万ドル
・1視聴者あたりのコストは8〜10セント(視聴者数200〜700万人)
 *デジタル広告(動画)は1視聴者あたりのコストは2.5セント

出典資料:2017.2.6 Forbes Japan スーパーボウルCM「30秒6億円」は安いと断言できる理由 ※金額および日本円換算は記事当時
https://forbesjapan.com/articles/detail/15106


そして近年、日本でもテレビ視聴データの整備が進み、「世帯視聴率」から「個人視聴率」を使用することで人数ベースでの試算が可能となりました。これまでの「%(パーセント)」ではわかりにくかったテレビCMの評価指標は、「人数ベース(CPMあるいは1視聴単価)」や「総表示回数(合計imps)」で見ることで、他のメディアと比較して圧倒的にコスト効率が良いことがあらためてわかります。これは、投資効率の比較を行う際や、社内説明などを行う際にとても使いやすい(わかりやすい)指標となってきています。

テレビCMに関する用語などの説明はこちらから

テレビCM・キャンペーンレポートより(オリジナル)

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2.低コストや短期間でも効果的な露出も可能(瞬発力)
また、テレビCMの特長のもうひとつは、その「瞬発力」です。これはデジタル広告では真似できない強い力です。これまではキャンペーンにテレビCMを使用する場合は「億単位の予算がなければ」と考えられていたことも少なくありません。(実際にGRPが少ないと良い「絵柄」にならない場合もありますが、この絵柄の考え方も一考する余地があります。)しかし、SASを使用することでテレビCMの持つ瞬発力を利用しながら、低コストでも、短期間でも効果的な露出ができるようになりました。

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3.局毎だった最適化が複数局をまたいで実施可能(進化)
スポットCMでキャンペーンを行う場合、従来はまず①使用するテレビ局を選択してからタイムゾーン(パターン)を選ぶか、②ターゲットに沿ったタイムゾーンを想定して使用局を選択するか、というようなプランニング方法であったのではないでしょうか。いずれにしても、最終的には局ごとの作案(線引き)を最適化していく作業であったかと思います。しかし、SASでは局をまたいでプランを「最適化」することが可能となります。例えば、**ターゲットに使用する局?タイムゾーン?に縛られることなく、「**にリーチしやすい枠はどれか?」をコスト効率を比較しながら、欲しいモノを、欲しい時に、欲しい分だけ自由に購入することができる、今までは無かった画期的なテレビCMのバイイング手法です。

<これまで>

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<これから> *ヒートマップから効率の高い枠を選ぶ

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4.オーディエンスデータでの枠指定購入(次世代型)
さらに、SASが従来のテレビCMのバイイングと全く異なるのは「オーディエンスデータでテレビCMが購入できる」という点です。海外では既に行われていたオーディエンスデータによるテレビCM枠購入が日本でも可能となりました。これは将来のアクチャル保証やアドレサブル配信にもつながる次世代型への大きな進歩ではないかと考えています。

例えば、M2ターゲットとしてSASを使用する際は「ターゲット含有率」だけでなく、その枠がどれくらい安定した含有率を確保できそうか?という予測を行ったり、あるいは同じM2をメインターゲットとしている「アルコール飲用者」や「戸建住宅購入検討者」などでも、それぞれの任意セグメントで評価をしたりすると効率性のヒートマップにはさらに差が出ます。

<M2ターゲット含有が高く安定した枠の例>

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5.不在だったミドルファネル訴求に使用(新しい役割)
SASを使用することにより「テレビCMの新たな役割」に期待値が高まります。指定した日時に、予定したCM量を確実に投下できるSASは、アッパーファネルとローワーファネルをつなぐ「ミドルファネル訴求(検討段階)」の強力な武器となり得ます。もちろん、クリエイティブはミドルファネル訴求に適した別クリエイティブを用意する必要はありますが、テレビCMだからできる、フラウドやブランド毀損の心配のないアプローチが可能です。

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テレビCMだけでも重複リーチを最大化できる

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営業部門や流通との連携の強化

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デジタル広告は細かいターゲティングは可能ですがリーチを積み上げるのに時間を要します。片やテレビCMの瞬発力は絶大。アッパーファネルでは低コストのスポットCMでリーチ・認知を積み上げ、流通連携や集中セールスのタイミングに合わせ、SASで重複リーチを最大化させられます。

6.テレビ×デジタル統合戦略の進歩(シームレス化)
これまでテレビCMに限らず広告業界ではデモグラという間接的なターゲティングを行ってきました。当然、ブランド側はターゲットプロフィールを作成したり、ライフスタイルや意識クラスターなども設定したりもしますが、メディア選択やバイイングの時点で、あるいは到達評価などを行うためには間接的なデモグラに一度変換しなければなりませんでした。このような環境の中ではテレビCMとデジタル広告は統合評価をすることはもちろん、プランニング時点でのアロケーション基準も曖昧となり、その統合はなかなか進みませんでした。SASの登場は、この「テレビCM×デジタル広告の統合戦略」を推し進められる絶好のきっかけになると言えるでしょう。

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7.プライバシー保護問題の影響(喫緊の課題)
最後に、SASに期待する(活用したい)理由に、喫緊の課題である「プライバシー保護問題」の影響があります。プライバシー保護問題の詳細や課題、対策などついてはそれらの専門レポートをご参照いただきたいですが、これまでデジタル広告側に期待した役割を一気にテレビCM側に揺り戻す必要性が高くなってきているということです。(米国では既に揺り戻しが始まっています)ただし、元々ターゲティング需要であったデジタル広告のそれは従来型の番組提供やスポットCMに戻って来ても、広告主の期待に応えることは難しく、やはりオーディエンスデータを活用できるSASのようなバイイング方法に期待が高まっていきます。

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・罰則や罰金の措置が始まり広告主側から出稿抑制する動き
・Cookieを使用したリターゲティング広告が無くなる(IDならいいのか?)
・特に「位置情報」を使った広告配信は壊滅する可能性も高い
・日本でも公正取引員会が動き出した(個人情報保護法+独占禁止法へ)

テレビCMの評価指標は、従来のひとつの世帯視聴率だけの時代から大きく変化をしています。各種視聴率データによる分析はもちろんのこと、新たに登場した「視聴質データ」などの活用も含め、あらためて 「テレビCMの力」を再評価し、そのリプランニングとテレビCM枠の購入方法までを見直す良い機会となりそうです。


以上、広告主がぜひ活用したい、第三のテレビCM『SAS(スマート アド セールス)』のご紹介でした。

<ご注意>
SASは従来のスポットCMとは異なり約2ヶ月前から購入可能ですが、在庫や価格は常に変動します。


Programmaitca Inc. 
Yoshiteru Umeda


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