Q. 大学の二外(第二外国語科目)って身につくの?
A. 99%は散る。
以下、外国語学部や外国語学科は除外し、一般学部の状況について述べる。
基本的に、高校までのように学校の授業を中心とした学習で二外を身につけるのは困難だ。理由を3つくらい挙げるならば、
二外が身につかない理由①「勉強時間が少ないから」
二外が身につかない理由②「勉強時間が少ないから」
二外が身につかない理由③「勉強時間が少ないから」
という3点が挙がる。
二外が習得できない上位3つの理由を挙げるなら、実のところ「勉強が足りていないから」という理由に尽きる。
【授業時間が少ない】
大学での授業から見ていこう。
多様性・国際化と謳われることは多いが、日本の大学から第二外国語は消えていっている。かつては外国語専攻でなくても2年学習したり、少なくとも通年(前期と後期)で履修されていたが、最近だと必修は半期だけで終了したり、そもそも第二外国語が必修から外れたような大学もある(ある大学は「思い切って英語に特化」するということだそうだ)。
大学の半期の授業は標準で15回なので、授業時間は15回×90分=22.5時間である。そして最初の1回は「ガイダンス」、中間試験と期末試験で1回ずつ使われるとすると、授業に充てられるのは18時間ということになる。仮に通年でとっても40時間に満たない。
これで進められることには限界がある。
【現代日本の「外国語」は英語中心】
上記の授業時間を「あんなに学校でやったのに話せない」といわれる英語と比較してみよう。
文科省が定める現行の学校教育規則によれば、外国語(英語)の授業時間数は小学校で210コマ+中学校で420コマだ。なお知覚動詞や分詞構文は小中学校の指導要領には組み込まれていない(=630コマやっても文法の解説は終わっていない)。高校は学校によってバラツキが大きいが、合計すると小中高でおよそ1000時間は学習していることになる。
しかも授業だけで。
学校の授業に加えて、高校受験や大学受験のために英語に予備校や自習でどれだけ勉強時間を取っただろうか。
大学生になってから、あるいは仕事を始めてからも、たとえばTOEICのために結構な時間を割いている人は少なくないだろう。英語に対する合計での時間の投資は大変なものになる。
これと比べれば二外の授業時間がいかに少ないか一目瞭然だろう。さすがに小学生より進みは速いにしても、18時間の授業で発音から文法事項を網羅するというのは無理だ。36時間でも無理だ。
専攻にでもしない限り、授業だけでは絶対に習得できないというのはこういうことだ。
【やる理由に欠ける】
高校までとは違い、二外を使った受験があるわけでもない(人文・社会系の院試を受けるというなら別だ)。
仕事で使うかどうかもわからない。使うかもしれないが、まずは英語だ。
研究で使うかもしれないが、英語で足りる。なんなら他の必修科目が忙しい。
多くの学生にとって、これで勉強のモチベーションが上がるわけがない。授業の宿題をなんとかこなして、あとは試験前に詰め込む…という流れに覚えはないだろうか。
【では、二外は身につけられないのか?】
ここまで、二外を身につけるのは困難だと述べてきた。だが梅田ぬむは外国語学習の普及に寄与するためのNOTEを作成する場だ。これまでの記事でもそうした立場をとってきた。そもそも、二外が上手くなった日本語話者は大勢いる。
多くの人が失敗するなら、その逆をいけばよい。勉強時間の不足が習得の失敗の主要因である以上、違いを生むには勉強が必要だ。
大学生になれば、小学生の時よりも物事の概念を理解する能力が遥かに高くなっている(なっていてほしい)。英語の基礎があれば、ドイツ語やフランス語の理解は速い。中国語や韓国語は日本語母語話者に理解しやすい文法体系をしている(このあたりについて、どのことばが学びやすいのか、学ぶための方法は何か、ということに関する詳しい記事は別途掲載する)。
まずはそのことばをどこまで真剣にやるのか決める。やらない選択肢だってある。
ほとんどの人はやらないので、真剣にやれば希少性のある財産になる。
結論:習得するかどうか決める。習得するなら、他人の何倍も勉強する。