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\終電後の梅田のまちってどんなの?「おやすみ阪急!周辺」活動レポート②/
終電。
この言葉に、あなたはどのような情景を思い浮かべるでしょう。
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時間との戦い。焦り。男女の駆け引き。あきらめ。いろいろあるかな。
「おやすみ阪急!周辺」
こんにちは。梅田の!ローカルメディア編集部の四反田百花(したんだ・ももか)です。
2024年2月に開催された「梅田の!ローカルメディア座談会」。この座談会に参加してくださったひとたちを中心に、「梅田の!企画編集会議」という梅田のローカルメディアづくりにゆるく携わるチームが、現在活動しています。
4月に実施された「梅田のギリギリまちあるき」にて、このまちには「梅田のライン(=梅田中心部を囲む外周道路)」の線引きがあやふやなエリアもあれば、きっぱりと分かれているエリアもあるということがわかりました。目的もなくふらふらと歩きながら、梅田に思いを馳せるゆったりとした時間をつくることができたのでした。
今回は、まちあるき第2弾。
2024年5月17日(金)〜5月18日(土)と、なんと日をまたいで終電後の梅田のまちを歩く「おやすみ阪急!周辺」が開催されました。そのまちあるきの中で、わたしが見たもの・感じたものたちをレポートしていきます。
第1部 終電直前の梅田のまちを歩く
pm 11:00
華金。まさかの午後11時集合。
友人や仲間と別れて、帰路につくような時間帯です。
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年齢も属性も住んでいる場所も職業も違うさまざまな方々が、阪急BIGMAN前にあつまりました。
その中にはもちろん、はじめて出会ったひとたちもいます。そんなひと同士が、これから朝までいっしょに過ごすことになるの、おもしろい。
すこしお酒が入っている参加者さんもおられました。朝までコース、大丈夫かなあ。
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3グループに分かれて、それぞれが気になる場所を歩いていきます。
わたしが帯同したグループでは、HEP FIVE付近から東通方面へとすすんでいきました。
参加者のお知り合いと、偶然再会。すごい。
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梅田の待ち合わせ場所といえば、やはりHEP FIVE前のあのスペース、ではないですか。
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「こんな時間のHEP FIVEで、ひとは何を待っているのだろう?」という疑問が浮かび、実際にお話を聞いてみることにしました。
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財布をなくした友達を連れて、サウナに行こうとしているひと。雀荘に行くために、仲間を待っているひと。風を浴びているひと(それは単なる建前で、もしかしたらナンパ待ちなのかもしれない)。
さまざまな背景をもったひとたちがいました。
いつでも、梅田ではひとが出会いつづけるのです。
いきなり乱入してきたイケイケお兄さまの、大ジャンプ!!!が、ピンボケしてしまいました。ごめん。
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さて、HEP FIVEを後にして、阪急東通商店街方面へ向かいます。
大阪の繫華街といえば東通!という感じですが、実はここ、梅田の外なんですよ~(梅田地区エリアマネジメント実践連絡会の定義より。詳しくはまちあるき第1弾を参照。)
友情や恋、さまざまな感情がまざりあう。
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さわがしい東通を抜け、妖艶な雰囲気をまとうホテル街方面へと向かう道には、なんと神社がありました。神様も、まさかこんなディープなエリアに住まわされるなんて、思いもしなかったんじゃないですか。
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午前1時まで営業しているケーキ屋さん。
夜に働くひとたちも、甘いものたべたいもんね。
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スーツを着た爽やかなお兄さまが、いろいろな梅田のウラを教えてくれました。
商店街(隣の道)でのキャッチはアウトでも、この道であればギリギリセーフ、なんだって。
このまちには、さまざまな世界で生きているひとがいます。
ふだんであれば関わりのないひとに声をかけられたのも、この時間の浮ついた気持ちのおかげだったのかもしれません。
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鮮やかなまち。気になったものたち。
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am 0:00
1時間のまちあるきを終えて、終電(午前0時10分)を見送るために、いったん阪急梅田駅に再集合しました。
みんな、急げーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
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焦りの表情を浮かべながら走るひとたちを見守る、参加者のみなさん。
この謎の集団、きっと奇妙に思われていたことでしょう。
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お酒が入っているからなのか、いま置かれている状況をうまく理解できないまま、駅員さんに連れられて電車に乗る女性。そしてその様子を、改札の外からそっと見守る男性。ほんとうは、たぶん、引き留めてほしかったんじゃないかなあ。
わたしたちの他にも、終電を見送っていたひとがおられました。仲間?
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もう電車、行っちゃったよ。このあと、どうするんだろう。
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最後に、京都方面からやってきた、大阪梅田駅止まりの最終電車をお出迎え。さきほどまでの慌て具合とは異なり、この電車から降りてきたひとたちは、どこか余裕の表情を浮かべていました。お家がもう徒歩圏内なのかな。無事に帰還できた勇者たちです。
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終電後、つぎつぎにシャッターが閉められていきます。しごはや。
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回送電車を何度も見かけました。これから車庫に帰るのかな。おやすみ〜
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これにて、第1部完。
それぞれのグループから、まちあるきの感想が寄せられます。
東通りを歩いてから、JR大阪駅での終電を見てきたというグループ。「流れに逆らって歩いてみると、終電で帰りそうなひとと、まだ飲み歩きしそうなひとの違いがなんとなく分かりました」「時間が迫るにつれて、終電勢は少しずつスピードアップしていく感じ」
茶屋町からドンキホーテ方面へと歩いていったというグループ。「かっぱ横丁が全部閉まっていてびっくりしました」「お店がひとつも開いてないし、ひとも全く歩いていなかったです」「24時間営業のマクドナルドでは、ウーバーイーツの配達員が待機中でした」「ドンキホーテのある交差点のあたりが、座ってチューハイを飲んで缶を置いて帰る、大阪版『鴨川』になってました」「男女が、同行している別の友人にばれないようにこっそり手を繋いでいました!!!」「!!!!!!?!?!」
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感想会をしているわたしたちの背後を、颯爽と駆け抜けていく寝台特急サンライズ出雲・瀬戸。
このあと、終電後の真っ暗な京都駅や名古屋駅などを通過し、朝日をのぞみながら、大都会・東京まで走るのです。
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今ではもう、深夜にお客さんを乗せながら線路を走る、唯一の存在となってしまいました。
たくさんの思いをのせながら、たくさんの夜のまちを見てきたのでしょう。いいなあ。
第2部 終電後の梅田のまちを歩く
am 0:30
夜も更けてきましたが、ここからが本番!
メンバーをシャッフルして、ついに終電後の梅田のまちを歩いていきます。
阪急グランドビルの前あたりで、休憩中の作業員さんにお会いしました。みなさん、ビルの空調設備工事にかかわっておられるのだそうです。たしかに、夜しかできないことだ。
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シャッターが閉まって誰も入れなくなっている阪急グランドビル内を、きれいにしてくださっているひとたちを、たくさんお見かけしました。
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こちらでも、お仕事中~。
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警察署にも、もちろん光がともっていました。
まちを守ることに、時間は関係ありません。
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阪神百貨店のあたりから、JR大阪駅に向かって歩いていきます。
そうそう、JR大阪駅とヨドバシカメラをつないでいる歩道橋に、最近すこしずつ屋根が張られてきていること、知っていますか?
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わたしたちが雨に濡れないですむようになるのも、こうして見えないところで働いているひとたちのおかげですよね。ありがたい。
禁煙。すてるな。
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とんでもないバランスコレクション。
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阪急大阪梅田駅のそば、からっぽの自販機。
あたらしく働きはじめるのかな。それとも、もう役目を終えたのかな。
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これにて、1日が終わる。
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これから、1日が始まる。
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阪急梅田駅に向かう通路を閉鎖するためのシャッターが生み出す、不思議な空間。深夜限定。
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阪急電車の高架下にやってきました。
上から楽しそうに歌っておられる声が聞こえてくるのですけど、どうやって2階に行くんでしょう。
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さきほど訪れた神社の、御旅社(おたびしょ)がありました。
あのディープなエリアに住まわされていた神様の、別荘なんだそうです。
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ナント、その境内で寝ておられるひとがいて、めちゃくちゃ驚きました。きっと、神様もびっくりされていることでしょう(たしかに、最強の寝床かもしれないけど)。
深夜のファッションショー。
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この時間には入ることができないはずの地下空間にも、明かりがともっています。
わたしたちの見えないところで、働いてくださっているひとが、きっといるのです。
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さきほどお会いした作業員さんたちが働かれている場所を、見上げてみる。
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弾き語りする女の子と、その声に耳を傾けている男の子を、横目に歩きました。良い夜。
am 1:30
第2部完。HEP FIVE前集合。
やっぱり、待ち合わせだからね(さすがにこの時間には、待ち合わせしているひとは他にいませんでしたが)。
それぞれのグループから、第2部まちあるきの感想が寄せられます。
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茶屋町から堂山町方面に歩いて行ったグループ。「バッティングセンターに立ち寄って、愛媛出身のひとたちにお寿司をもらいました」「スマホを無くした上司と、それを探す新卒の後輩に出会いました」「そのアクシデント、ふたりの関係性を深めるきっかけになりそうですね!」
グランフロント大阪から、スカイビル方面へと向かったグループ。「梅田で一番静かなところと、色気を探しに行きました」「スカイビルが真っ暗でびっくり」「イイカンジのバーがありました!」「JR大阪駅のバスターミナルで、寝ているひとが多かったです」「ベンチがベッド代わりになるので、寝やすそうなスポットですね!屋根もあるし」
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am 2:00
終電後の梅田のまちあるき、無事終了。
帰宅手段のある参加者のみなさんは、ここで解散です。深夜までお疲れ様でした。
その後、取り残された帰宅難民たちは、東通へ向かいました。閉まっているお店が意外と多くて徘徊せざるを得なかったり、相席居酒屋にはじめてチャレンジするひとを見送ったりしました。時間的にも、まるで夢のようでふわふわとした記憶がのこっています。
am 4:00
午前4時になると、居酒屋もどんどん閉まっていくんですね。一晩中働いておられた店員さんたちが、始発で帰ることができるようにしているのかもしれません。
とりあえず外に出て、茶屋町方面に向かってみます。
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始発まではまだ1時間くらいあるのですが、電車が動く音が聞こえてきました。もうすでに、朝を出迎える準備が始まっているのでしょうか。
背徳のマックフライポテト(もちろんLサイズ)。
できたてアツアツでした。人生で一番おいしかった。
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am 4:50
そろそろ電車が動き出す時間です。
みんなの待ちわびた朝が、やってきました。
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関西空港行きのバスが、出発していくのが見えました。
こんなにも朝早くから、みんな大阪を離れていってしまうんですね。またきてね。
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昼間は人で溢れているあの歩道橋が、静まりかえっています。
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朝までコースだった参加者のみなさんも、それぞれの始発に合わせて解散です。
長時間の活動、ほんとうにお疲れ様でした!
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終電後の梅田のまちを歩く
終電。
この言葉に、あなたはどのような情景を思い浮かべるでしょう。
これまでのわたしであれば、きっと「梅田の夜を楽しんでいるひと」の姿ばかりを想像していたと思います。
今回のまちあるきのおかげで、ふだんは交わることのない、たくさんの「梅田を保ちつづけているひと」「梅田をよりよくしているひと」に出会えて、彼らに改めて感謝の気持ちを抱くことができました。
うまく言葉にはできないけれど、それが、ほんとうに良かったと思うのです。
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なにかの目的のためだけに訪れがちで、個人的にこれまで特に愛着を感じたことがなかった梅田。たくさんのひとたちが紡いでくれていることがわかって、このまちがすこし愛おしくなりました。
今後も、「梅田の!企画編集チーム」では梅田でいろんな活動を行い、まちの”タネ”を見つけていきます。興味のある方は、気軽に編集部までご連絡ください!
▶️ 連絡先:info@coconiaru-inc.com(事務局:株式会社ここにある)
最後に。
梅田から見えた星を、添えておきます。
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