プリフロップのレンジを覚えるコツ(基本編)
はじめに
うめこと申します!
ポーカーを始めてぶつかる小さな壁の一つがプリフロップのレンジを覚えることです。多くの初心者は適当なプリフロップのレンジでプレイしています。
数年前まで精度の高いプリフロップのレンジを手に入れるためには高価なソフトウェアとハイスペックなPCが必要でしたが、現在はGTO WizardやGTO Baseなどの無償のツールが利用可能で非常に恵まれた環境です。
それでも丁寧にプリフロップを覚えることにはある程度の時間を掛ける必要があります。
このnoteでは、初学者がプリフロップのレンジを効率的に覚えるコツを紹介し、初心者に役立つことを目指しました。
また私も来週に少し大きなトーナメントに出場する予定ですが時間が足りず、細かいレンジまでを覚えきるのは諦めて、この方法で大まかにレンジを覚えて出場しようと思っています。
※オンラインポーカーのミドルステークス以上でプレイする方々にはあまり役に立たない内容だと思います
知っておくべき基本的なポイント
同じノーリミットホールデムだからと言って、万能で何にでも使えるプリフロップのレンジがある訳ではありません。
まずは大きくトーナメント形式とキャッシュゲーム形式(リングゲーム)があることを認識する必要があります。
トーナメントとキャッシュゲームはそもそもゲーム自体に本質的に大きな違いがありますが本稿では割愛します。(興味がある方向けに私の好きな余語さんの動画を置いておきます)
その上で、主に以下のような要素がプリフロップのレンジに影響してくることが多いです。
Position(ポジション):プレイヤーの位置。プリフロップのプレイが始まり、最初の方にプレイするプレイヤーの方が一般的に強いハンドレンジで参加することが求められる。
Blind(ブラインド):ハンドが配られる時点でSBやBBが既に出しているチップ。
Ante(アンティ):ゲームが始まる前にプレイヤーから一定のチップが集められたもの。以前はすべてのプレイヤーから集める形式であったが、昨今はビッグブラインドのプレイヤーが全てのアンティを支払うルールが採用されていることが多い。トーナメントで多く採用される形式。
Rake(レーキ):キャッシュゲームで獲得したポットに対して都度差し引かれるチップ(手数料)
※トーナメントでは集められた参加費からトーナメントレーキが差し引かれてプライズの全体となる
Raise Size(レイズ サイズ):オープンレイズ、3Betなどのサイズ、一般的にレイズのサイズが大きければ大きいほど、それにディフェンス(コール or レイズ)するハンドレンジは強くなる。
Stacks(スタック):単純なチップの多寡ではなく、Blindに対して何倍のチップを自身が持っているかでの表現されることが多い。
例えばBigBlindが100点に対して自身が10,000点持っているのであれば100倍のBigBlindを持っているため100BBと表現される。
上記の要素によりプリフロップのレンジは変わるので、自身がプレイするゲームの特徴に応じてレンジを覚えた方が良いです。
【余談】
私は当時、海外のオンラインポーカーのプロであるZero Sさんが公開したZero S Preflop Chartを最初に必死に覚えたのですが、今思うとかなりイマイチでした。
なぜかというと私が主にプレイしていたのは国内のアミューズメントポーカーのトーナメントだったのでAnte有、Rake無、Stackが非常に浅いゲームだったのに対して、Zero S Preflop ChartはAnte無、Rake有、Stackもある程度深いキャッシュゲームを前提にしているレンジだったのでマッチしていないプリフロップのレンジを覚えてしまっていたのです。
従って、皆さんにはポイントを押さえて、自身がプレイするゲームに合ったプリフロップのレンジを覚えてもらいたいです。
プリフロップのレンジを覚えるコツ
前置きが長くなってしまいましたが、まずは先ほどお伝えした基本的なポイントを理解し、自身のプレイするゲームに合ったプリフロップレンジを見つけましょう。(大切なことなので繰り返しました)
その上で簡単にプリフロップのレンジを覚えるコツは全てのポジションのレンジを別々に無理やり覚えようとしないことです。
いくつかのポジションに分けて1枚のレンジ表で覚えて、覚えていないポジションのレンジは、”その間のレンジ” としていい加減に覚える方法です。
もう少し詳しく解説します。例えばあなたが8Max(8人のプレイヤーテーブル)、Ante有、Effective Stacks 10BBのトーナメントでオールインするプリフロップレンジを覚えようとしているとします。
覚えるのを簡単にするためにポジションをいくつかに分けます。
まずは最初にオールインする可能性があるUTG、そして一番最後にオールインをする可能性があるSBを覚えることとしましょう。(最初にオールインをするレンジが最も強く、最後にオールインをするレンジが弱いため)
何も知らない状態よりもUTGとSBだけ覚えているだけでも、この時点でだいぶ進歩しているのですが、その間も欲しいのでBTNも含めて覚えることとしましょう。(COでもHJでもいいです)
私は便利なツールがいくつか持っているので、それらを駆使して色塗りしますが、Excelでも大丈夫ですし、13×13のマス目の紙さえあれば、色鉛筆で塗り塗りして大丈夫です。
以下のような形となりました。
「これだとUTG+1(UTGの次)やCOなどのAIレンジが分からないじゃないか!」と怒られそうですが、UTG+1は赤色と濃いピンクの間でUTGに近いので濃いピンクの中の赤色付近のハンドでオールインすれば、大きな間違いにならないし、COは濃いピンクの一番弱いところを少しを削ってオールインすれば致命的な間違いにならないです。
それでも、「そんないい加減なのダメだ!」と怒られそうですが、本当に人は怠惰で覚えるのが苦手なので、最初から100点を目指さずにこれくらいから始めるので十分かなと私は思っています。(それでも気に入らなければさらにポジションを分けて1枚のレンジ表にすればよいです)
参考までにUTG,BTN,SBからオールインを受けた場合のBBのコールレンジも載せておきます。
プリフロップ関連のツール,ソリューション
先ほどの色塗りは何を元にしているのか?という質問がありそうなので、その回答も兼ねて私の使っているプリフロップ関連のツール.ソリューションを記載します。
GTO Wizard
GTO Solverで計算された結果を見ることができるサブスクリプション型のサービス。ポストフロップを見たりする場合は基本的に有料ですが、プリフロップについては無料で閲覧可能。
※ただしレンジのテキストデータをコピー不可
私は課金こそしてませんが、日々お世話になっている、本当にありがたいツールです。
課金するとポストフロップも閲覧可能になる他、レンジのテキストデータをコピーできたりして、さらに解析が捗ります。
アフィリエイトリンクでも貼ろうとしたのですが、残念ながら私はGTO Wizardアンバサダーではなかったです。
アンバサダーのコードを入れると10%引きになったはずです。頭良さそうで面倒見も良さそうなアンバサダーのコードを入れてあげると何かいいことあるかもです。
GTO Base
こちらもGTO Solverで計算された結果を見ることができるサブスクリプション型のサービス。ポストフロップもプリフロップも無料で閲覧可能かつ、レンジのテキストデータをコピー可能
GTO Wizardの方がライブラリが充実していそうですが、こちらもかなり素晴らしいサービスだと思います。
Hatanoさん販売のソリューション
ポーカーの基本から応用まで幅広く役立つnoteを出されているHatanoさんがSimplePreflopで計算されたソリューション。以下のnoteから購入可能。
3BBオープンのソリューションを見てみたかったことや、いろいろな計算結果が入っていて見比べたいと思って購入。買い切りでかなり安い。
Monker Solver
プリフロップの計算で使っているGTO Solver(€499)
プリフロからポスフロまで細かい計算が何でも幅広くできる使いこなすとおそらく最強に近いツールだが、プリフロの計算に相当ハイスペックなPCが必要なことと、マニュアルがないに等しいので、使い始めると一日がすぐに終わる上、計算時間も掛かるので何をやっていたか分からなくなり、絶望するツール。
PioSOLVER
ポストフロップの計算がメインで使っているGTO Solverであるが、色塗り機能やレンジの調整などの細かい機能が充実しており、プリフロップ関連でも使っているツール。
本noteの色塗りもMonkerで計算し、PioSOLVERと後述するPokerSandboxを使って実施しました。
PokerSandbox
半年くらい前に私が開発したポーカー関連の少し便利かもしれないツール達を載せたサイト。PioSOLVERとMonker Solverのレンジ変換やハンドレンジを丸める機能などを提供しています。機能の詳細については以下のnoteにまとめていますのでもしよかったらご覧ください。
さいごに
いろいろなご意見頂きそうなnoteでしたがいかがだったでしょうか。
もちろん、Effectiveが深いシチュエーションでの3bet,4betの混合戦略のレンジなどはさらに複雑で、こんなに簡単にはいかないよというご意見もあるかと思いますが、簡単なシチュエーションだけでも、できるだけ大枠を捉えて楽して覚えるというのは長期的に覚える観点でも重要なことだと個人的には思います。
またプリフロップ関連の内容でポーカー英語翻訳のトルルさんが紹介され、大変気に入っている記事の一つにPatrick Howardによりプリフロップレンジの簡略化があります。こちらもご参考になるかと思いますのでご覧頂くとよいかと思います。
最後に蛇足ですが、世の中にはプリフロップがいい加減な方が多い一方で、極めて少数派ですがプリフロップにかなり厳格な方々もいるようです。
ここからは個人の見解で、この後のポーカー人生で自分の考えを改める可能性は十分にあるのですが、私は過度にソリューションを厳守するようなプリフロップの考え方に明確に反対派です。
プリフロップのレンジを覚えることはスタートラインでそれらを柔軟に変化させることが大きな利益の源泉となるのではと考えています。(特にソフトなフィールドにおいて)
需要があればこのあたりの考えや、PioSOLVERとPokerSandboxでレンジを丸めて色塗りする方法の詳細などもお伝えできればと思っています。
考え方は人それぞれだと思うので、いろいろなご意見、ご質問などあればTwitterのリプなどでもお聞かせください!
それではみなさんよいポーカーライフを!