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香りと慣れとアールグレイ
やあ、いらっしゃい。まあまあ、ちょっと休んでお茶でも飲んでいってくださいな、と言いたいところだけど、それがちょっと難しくてね。しょうがないから、私は私のお茶を、あなたはあなたのお茶で、一息ついていきましょうか。
うん、美味しいね。あったまる。ん、何のお茶を飲んでいるのかって?こっちはホットミルクティーだよ。アールグレイっていう良い香りの紅茶で作ったんだ。
でも、最初にアールグレイを飲んだ時は、その香りに驚いちゃってね、どうにも馴染めないって思ったものさ。どこかのファーストフードでアイスティーを頼んだら、それがアールグレイでね、いい香りだけど石鹸みたいで飲み物からして欲しい香りじゃないと思ったんだ。まだ学生だったし、経験が足りなくて器が小さかったんだな。
思えば小さい頃は香りが強い野菜が苦手だった。春菊とかセロリとか、そこまで強い匂いじゃないけど青梗菜も独特の香りがして食べられなかった。中学生ぐらいになって春菊の天ぷらが食べれるようになって、青梗菜もクリーム煮なら美味しいと徐々に問題なく食べられるようになっていった。
セロリだけはもうちょっと時間がかかって、二十歳越してから、やっとサラダが食べれるようになった。野菜ジュースやミネストローネみたいに全てにセロリの香りが満遍なくいき渡ってないし、生の方が香りが薄いまである。今ではセロリの香りが大好きで率先してトマト煮込みやサラダ、炒めものに使っているぐらいだ。
そういえば、パクチーを初めて食べた時もびっくりしたな。会社の近くのフォーを出すお店で同期と食べたんだけど、とにかく鮮烈な今まで体験したことのない香りで驚いた。と同時に「こういうものなんだな」と受け入れた。実際、フォーの味によくあっていて、現地ではこうやって食べているんだろうなと感じたんだ。パクチーは自分で買ってくるほど好きではないが、お店で出てくれば食べるというスタンスだ。
社会人になってから、ちょっと理不尽だなと感じることを受け入れざるを得なくなったせいか、年齢を重ねて色んな経験をしたせいか香りや味を受け入れるキャパシティが広くなった気がする。
そんな訳で、最初の紅茶の話に戻るんだけど、実は三年前にすごく良いアールグレイ体験をしたんだ。それがヘッダーの右側に写っているアールグレイなんだけど、紅茶の袋の口を開けた途端、ブワッとフレッシュなグレープフルーツみたいな柑橘の香りが襲ってきて、いや実際はベルガモットらしいんだけどね、とにかく、ええっ、アールグレイってこんなにいい香りだったのって驚いたもんだ。
ついでに言えば、アールグレイのミルクティーにも懐疑的だったんだ。柑橘系の香りだし、絶対レモンティーの方が合うだろうって。でも、ある日、意を決してミルクを注いでみたら、びっくりするくらい合う。そんなことある?ってくらい美味しかった。いや、固定観念ってよくないなって改めて反省したね。
ちなみにヘッダー左側は夕方以降に愛飲しているルイボスチャイだ。夕方以降にカフェインをとると寝つきが悪くなっちゃうもんでね。こちらも、すごく良い香りなんだけど、ちょっと香りが強いみたいで家族に「その香りちょっと苦手」って言われてしまったよ。だから、なるべく一人の時にささっと飲むようにしようと思う。
今日も長々と茶飲む話に付き合わせちゃったね。読んでくれて、ありがたく思ってるよ。それじゃあ、失礼するよ。