【映画感想】mother:自堕落な母親と歪んでしまった息子
うめあじです。
念願の映画を久しぶりに観にいきました!
「mother」と「コンフィデンスマンJ P プリンセス編」の二つを見ました!
今回は「mother」について感想を書きました
実際の事件、祖父母殺害をモチーフに描かれた作品
「mother」は2014年に起きた川口市祖父母強盗殺人事件に着想を得て描かれています。
16歳の少年が祖父母の家を訪れ、お金の無心をしたところ、断られ、殺害してキャッシュカードを奪ったと報道されたようです。
当時は祖父母を孫が殺すというショッキングな事件で、そこに焦点を当てた報道が多かったのではないかと思います。私もそういえばそんな事件があったな・・・という印象でした。
その後、映画「mother」が気になり調べていくと、事件の裏には、母親に命令されて、祖父母を殺したというふうに変わっていき、虐待事件として取り扱われるようになったようです。
ここからは映画の話に触れますので、ネタバレ厳禁!という方は注意してくださいね!
映画見たいけど、面白いかどうかわからない・・・
感想だけ・・・という方は是非ご参考にしてください!
作品の見どころ
私の思う作品の見どころを紹介したいと思います!
1、長澤まさみさんの自堕落な役柄
2、どうして孫が祖父母を殺すというショッキングな事件が起きてしまったのか
3、新人俳優の息子、周平役の奥平大兼さんの溶け込み具合がすごい
4、阿部サダヲさんのクズなホスト役が本当に怖いくらいの演技力
1について
コンフィデンスマンJPも見たんですが、長澤さんの豹変ぶりには驚きます。私の印象では、長澤さんの綺麗なお顔が道端で浮浪者になってる人とはなかなか現実味がないな・・・と終始思ってしまったのですが、それはみる人によると思います。
母親の秋子役で自堕落な性格、すぐに嘘をつき、使えそうな男を見つければ、すぐ肉体関係になってしまう、自分が生きるために息子の働いた給料を全て使い果たし、さらに前借りさせ、前借りできなければ、怒鳴るという今まで見た事ない長澤さんでした。とても新鮮で良かったです。
長澤さんの清潔感をどうしても私は感じ取ってしまったのですが、自分の私利私欲のために息子を使う姿はどうしようもないクズな人間なのに、なぜか憎めないため、周平もお母さんを切り捨てる事ができなかったのではないかと感情移入してしまいました。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++
2について、なんの罪もなく祖父母は殺されます。周平は祖父母の家に行き少し話をしてから、すぐに祖父母を刺しました。
ここは私は少し、あっさりしすぎているように感じました。
もう少し周平が追い詰められて、どうしても殺すしかないという状況には見えなかったのです。
実際の事件では、祖父母を殺さずに金を奪う方法も考えた上で、最終的には殺してしまったようです。
しかし、お母さんから命令されれば、祖父母も殺してお金を取るという状況はとても怖いですよね。その見えない葛藤がこの作品の怖い所なのかもしれません。
ただ、クライマックスに祖父母を殺すシーンがあるのですが、そこに行き着くまでに、周平はお母さんがお金がないというなら、それを取りに行くのは自分しかいないという使命感をすごく感じました。小さい妹もいるのですが、自分がお金を稼ぐか、取りに行かなければ、お母さんは死んでしまうのではないかと思ったのではないでしょうか。
なぜ、お母さんのいう事を聞いてしまうのか。これは虐待のせいだと思います。小さい頃から、社会的にしては行けない事や子供がするべきじゃない事、浮浪者になったり、お金を盗んだり、人を殺してしまう事を親が子供に命令して行ってしまう。完全に虐待だと感じました。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++
3、周平役の奥平さんは、とても聡明で、本当は優しい子なんだろうと感じさせる周平の演技が良かったと思いました。映画の中で本当に生きていて、母親から理不尽な要求にも応え、妹と貧しい中でも一緒に遊んであげる優しさがあり、劣悪な環境の中、どうやったらこんな優しい人間になるんだろうと不思議でした。でも映画はフィクションなので、脚色もあるのかもしれませんね。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++
4、阿部さんは今まで、コミカルな演技が印象的でしたが、今回は突然大声をあげて浮気相手を恫喝し、秋子を殴る蹴るなど、クズホストでした。役にあっていたかどうかは、わからないのですが、こんなやついそう・・・と思わせる演技が良かったです。服装もピチピチの服を着たり、派手なシャツだったり、いかにも派手ずきで軽率で自堕落な男という役の捉え方も良かった。
普通じゃない親子関係
映画の冒頭に小さな少年が家にとぼとぼ帰っていき、後ろから自転車で母親の秋子(長澤まさみさん)が坂を降りながら、息子の周平を見つけます。こけて足から血が流れている周平の傷口をベロンと秋子は舐めます。
冒頭からかなり印象的なシーンでした。
ここで観客はこの母親やばいのでは?と気付くのではないかと思いました。
その後、秋子は自分一人で自転車に乗り、まだ小さな息子は後ろからついて行くいしかありませんでした。
秋子は、よく言えば自由奔放で、常識に囚われない性格です。小さい子供にはルールを守れと教えますが、秋子自身、プールで飛び込み禁止の所に自ら飛び込み、周平にも飛び込め!と楽しそうにプール遊びをします。ここでの親子関係は友達のように遊んでくれるお母さんで、楽しい時間を過ごしているように見えました。
秋子は母親ですが、子供を養うという感覚はなく、あまり働きたがらない人物でした。子供の前でパチンコやタバコを吸い、実母にお金の無心をしに子供と行き、お金がなくて困っている孫に、ついついお金を渡してしまう祖父の姿が描かれていました。
秋子は周平に、祖父母、秋子の妹、秋子の別れた夫であり周平の父親にお金を貰ってこいと何回も行かせます。秋子はすでに何回もお金の無心をしてはお金を使い果たすことがバレているので、秋子が行ってもお金を貸してくれないので子供の周平に行かせます。
周平は秋子にとってお金を持ってきてくれる都合の良い駒のように見えます。
「私が産んだ子を私がどうしようと勝手だろう!」
秋子はよく自分で産んだ子は私のものであると言っていました。秋子にとっては息子の周平はなんでもいう事を聞き、お金を毟り取ってきて、お母さんを楽にさせる存在として扱います。
周平はお母さんの言う事に従います。お母さんがお金を借りてこいと言っても借りて来れない時は、「何してんの?」と秋子に怒られ、もう一度行かされ、お金を貰ってくるまで帰れないのです。
周平と秋子の関係性に事件の鍵があるのではないかと私は思いました。小さい頃から、秋子は働かず、お金をとってこいと命令して、色んな男の人と関係を持ち、時には置き去りにしました。しかし、逃げる時、秋子は周平を手放しませんでした。周平にとってはお母さんがそばにいる事の方が何よりも優先する事だったのかなと思いました。
まとめ
この事件を深く調べるため、新聞記者の方が取材されたノンフィクションの本が発売され、それをもとに映画が作られたようです。
https://a.r10.to/hz47RW 紙の本(楽天さん)
https://a.r10.to/hzwLPp Kindle版もあるみたいです。
本もぜひ読んでみたいのですが、映画を見てどんな事件だったのか、知るのもいいかもしれません!私は社会問題をテーマにした映画などが好きなのでよくみます!
どうして人を殺してしまったのか、虐待から子供たちを救うことは出来なかったのか、現実社会を生きる私たちにも、周りで起こりそうな事件だと感じました。
実は身近に存在する問題を考える時、映画を見て少しだけ触れてみるのも良いかもしれませんね