「ここでええか」の夢
夏休みのような長期の休み明けはもちろん
月曜日ですら、人の輪の中に入っていくことに緊張し、何だかよく分からないエネルギーを費やしていた子供だった
小1か小2の頃だったと思う
朝寝坊をしてしまった
行きたくない
「あの子寝坊したんや」
という目で見られながら
独りで教室に入っていくのなんてイヤだ
当時の学校というのは「少々しんどくてもいかなければならない」ものだった
サッサと行きなさいと、母にキーキー言われると余計に意固地になって「行かない」の一点張り
「一緒に行ったるから」
最寄り駅まで徒歩の父が見かねてそう言った
歩きながら、泣いた痕跡を何とか消そうと努力した
「ここでええか」
校門の前で父が言う
ええことはないけど、お父さんが来てくれたんやから私も頑張らな
大げさな子供だな、と今なら笑ってしまうけれど、この時は大真面目だったのだ
この夢を今でも偶に見る
「ここでええか」
父が行ってしまうところで目が覚めて
涙がツゥーっとつたう