よく考えたら凄いことだった件
若い頃、Kちゃんという友達がいた
Kちゃんはおよそ常識というものから外れた人だった
「昨日はお風呂に入ったよ」
昨日「は」って何?一昨日は入ってないのか?
付き合う男はいつも体からで
「セックスの相性が悪かったら致命的」だからだそうだ
ただ、知的レベルは物凄く高かった
関西ではよく知られた進学校の出身だったが、
ガリベンタイプではなく天才タイプ
Kちゃんのエピソードは数えきれないほどあるが
中でも最も衝撃的だった話
Kちゃんは男女共学の高校に通っていたが、彼氏は男子校の人だった
ある日彼氏から「話がある」と呼び出された
別れ話だろうと行ってみると、同い年くらいの別の知らない男の子がいた
知らない男の子の方に
「この人(Kちゃんの彼氏)と別れてほしい。キミには他に男の子がたくさんいるでしょう。ボクにはこの人しかいないんだ」
と言われたそうだ
Kちゃんは男に彼氏を取られた
この話を聞いた当時の私ときたら
「え~!?ウッソ!すご!」
などというアホみたいなリアクションをしていた
今の自分が過去に戻れるなら言ってやりたい
そこの小娘よ
貴様は何とペラッペラな女なんだ
当時の私はこの話を「Kちゃんのオモローなエピソード」としか思っていなかった
それがどれほどの勇気を必要としていたか
今よりもっと
マイノリティであることをカミングアウトできなかった時代だ
Kちゃんの彼氏の決断も
紆余曲折があったか無かったか分からないが
潔いなと思う
コソコソ人の恋人を奪っていくのではなく
堂々としていたい
「ボクにはこの人しかいないんだ」
この言葉がものすごく重みを持って響いてくる
ウン十年経ってから
ジワジワと考えてしまう話だった
ではまた~