見出し画像

【fiction】とある男子高校生の朝

さあ、勉強を始めよう。そう言って僕は勉強机の前に座る。目の前の時計が6時を指している。いや、正確には今は8時だが。この時計は一昨日から止まっている。まぁ気にしない。家には、時計がひとつではないのだから。1日に2回だけ、正しい時を刻む時計だってあっていいじゃないか。それに、確かに時計はまだ動いている。時を刻む音は聞こえている。秒針が先に進まないだけで。ああ、時計のことを考えている場合じゃない。早く勉強を始めなくては。今日中に終わらせなければならない課題なのだ。

今日やると決めていたページを開く。開いて最初に目についたのは、比較という文字。そうか。この単元で、比較について学ぶのか。比較といったら、僕が好きな分野だ。例えばNothing is more comfortable than sleeping in the bath room .なんてどうだろう。お風呂に入るとポカポカして、
次第に眠くなってきて………
寝てしまうのだ。

ああ、もういい加減勉強せねば。
シャープペンを手に持ち、1問目に取り組む。
2問目、3問目。よぉし順調だ。Ⅳまではすべてクリア。
最終問題を始めるぞ。
っと思ったら、階下から母の声。
「ご飯ですよー。」
母に呼ばれるまでに宿題は済ませておきたかったのだが。結局終わることができなかった。
でも終わらせなければならない。これはMustだ!言い訳ができない。妄想のせいで終わらなかったなんて、先生にとてもじゃないけど言えないよ。
「レッツシー。レッツシー」っていいながら、問題を解いていく。母には聞こえているだろうか。

3分後
よし終わった。
レッツシーから「今行きます」に言葉を変えて、猛スピードで降りていく。

いただきます。朝食は僕が大好きな目玉焼きだ。卵料理ってスクランブルエッグとか、オムレツとか、おしゃれな名前が多いのに、目玉焼きは、そのままだ。僕はそんなところが好きなんだ。多分、目玉焼きを見た人全員が、納得する名前だ。大好きな目玉焼きにボロニアソーセージを食べて、お腹を満たしたところで、8時15分。ごちそうさまでした~!そのまま勢いよく部屋に走って戻り、リュックをつかんで、課題をいれて、行ってきます!家を出た。満開に咲く桜は僕を追いたてるように花びらを落としてくる。うん。急ぐよ。そう心のなかで桜に返事して、僕は、学校まで駆け足する。「予鈴まであと5分です。」放送部のアナウンスが聞こえる。タイムリミットはあと5分。ここからだと、玄関まで駆け足で2分。三階にある僕の教室までダッシュで2分と言ったところだろうか。脳内シミュレーションをしてよしそれでいこう!と思いながら、玄関までたどり着く。

あそこにいるのは、生徒指導の先生だ。遅刻しなくてよかったー!
「おはようございます!」
お辞儀の角度は30度。大きな声で気持ちのよい挨拶。これで怒られはしないはずだ。
「おはよう。」
顔面は厳めしく、いかつい声で挨拶されたが、ひとまず第一関門突破だ。あとは階段を上るだけ。いそげー!僕の必殺技。階段一段飛ばし。いや日常茶飯事か。必殺技でもなんでもない、僕にとっては。息切れしながら急いで走って、教室に飛び込み………

セーフ。
クラスメイトに、「今日も遅いのなー」といわれたが、「課題はちゃんとやって来たから。」と返答する。まだ僕が妄想のせいで遅刻しそうになっていること
は誰にも言えていないが。

そして僕は、朝のSHRで無事課題を提出することに成功した。成功したのだが、、、

3日後授業中のこと。
「如月優人さん。◯つけしていませんでしたよ!再提出してください!期日は明日です。」
と言われて、クラスメイトに笑われてしまった。
締めが甘かった。反省反省。

この短編小説は私が高校生の時に書いたものです。
ここまで見てくださってありがとうございます。
良ければ他のポエムも見ていって下さい。

いいなと思ったら応援しよう!