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アーセナル補強戦略②  “設計図” 

アーセナル補強戦略② “設計図” 

今のアーセナルの躍進は、アルテタのやりたいフットボールへのリクルーメントの成功が大きいと前回では述べさせていただいた。

ではアルテタのやりたいフットボールとはなんだろうか?

ミケル・アルテタ

彼の一番の長所は物事を合理的に考えられる事にあると私は考える。

得点をどうすれば取れるか?

失点を防ぐにはどうすればよいのか?

どうすればチームが勝てるか?

どうすればアーセナルというイギリスを代表するフットボールクラブが欧州の覇権を握る事が出来るのか?

彼は合理的に考え、それをキャンパスに思い描く事が出来る。

そう、設計図のように。

ただの設計図ではない。

合理的かつ原則のある設計図だ。

紐解こう。


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基本戦術はボールの主導権を握り、失点するリスクを減らしたい。

一方で攻撃の主導権を握る為にも前線からのハイプレスを行う。

そのハイプレスにも綺麗な合理的で原則が見て取れる。

同サイドに圧縮し、相手の選択肢を消しながらプレスをかける事で敵は自ずと高いプレス回避能力がないとロングボールを蹴るしかなくなるのだ。

では、ロングボールを蹴られればセンターバックには空中戦含め対人の強さが求められる。マガリャインスとサリバが強固なディフェンスラインを形成するのは彼らがその道のプロフェッショナルだからだ。まさに鉄壁

次にボールを回収した次はボールポゼッションを行うのだが、

そこに映るのも合理的かつ原則。

彼等にはどうボールを運ぶのか?

その設計図が皆頭の中で共有されているようだ。

それを証明するかのようにアーセナルのオールオアナッシングでは皆の立つ位置を全員が頭にインプットするように指導するシーンが映し出された。あれこそが設計図。

アンカーが消されれば、こう。

ハイプレスをかけられれば、こう。

引き荒れた相手には、こう。

相手が何かしてくる(プレスとか 

→ 

ここに余る選手が出てくるよね 

原則の立つ位置ここだったよね

ほらね

相手の戦術に対して、対処法があるのだ。それも設計図。

アンカーが消されれば、こう。

ハイプレスをかけられれば、こう。

引き荒れた相手には、こう。

例えば実例を3つ挙げたが、相手の戦術に対して対応するのは言葉で書くのは簡単だがピッチではかなり難しい。それに適したプロファイリングをもった選手たちが必要だ。

センターバックは足元の技術が求められる。

ガブリエル・マガリャインス そのピースに入るのは彼だ。 

彼のフィードも実に正確といえる。

ホーム・アストンビラ戦 忘れがちだが、マルティネッリの逆転を生んだのは彼の絶妙のフィードだった。

どこまでいっても90分間プレスを回避する事は難しい。

ショートパスだけでなくロングパスがあるからこそ、ショートが活きる。

特に対角にも広角に蹴り分けられる左利きのセンターバックは必要だ。

だからこそビックガビの競争相手にキヴィオルが選ばれたのは彼のキックだ。

サイドバックには従来の上下のアップダウンではなく、プレス回避、ボール運びができる能力が求められる。

ジンチェンコとホワイトはもはや特筆する必要さえもないだろう。日本代表富安も彼等に肩を並べる程その必要とされるプロファイリングにマッチしている。

逆に言えば今までのサイドバックよりもただ単にアップダウンを繰り返すのではなく、省エネで効率よく合理的に動くスタイルは長い年間スケジュールを戦うには絶対的に必要なのだ。

今期、アーセナルの怪我人が少ないのは果たして今年だけたまたまなのだろうか?

案外チームの戦い方とも相関があるとは思わないだろうか?

アンカーには、ポジショニングを間違わないでプレス回避の高く、相手をだますパスを出せるトーマス

センターハーフには、ポジションを間違えない基礎力が高く、運動量があるジャカと魔法使いウーデゴール

その設計図をもとに彼等でビルドアップを行う。

その最終目的は、ウイングとサイドバックの1対1を作る為といっても過言ではない。

何故なら、中央は人が多いからだ。

ウイングの位置で一人抜く事が出来るまたはクロスを上げる事が出来るなら得点のチャンスは非常に上がるのだ。

左には“向上心の塊” ガビ・マルティネッリ

右には“アーセナルの希望の星” ブカヨ・サカ

彼らの活躍は必然と言ってもいい。勿論彼らの成長はすさまじいものだ。

特にサカは今は何だってできるトッププレイヤー

1対1の対人では止める事が出来ないし、背負ってプレイも出来て、ビルドアップの貢献も日に日にパターンが増えているし、シュート精度も向上、手が付けれないトップのトップに上り詰めつつある。

ただし、それは設計図があってのこそだと、付け加えたい。

チームが彼らを活かす戦術を取り入れているのだ。

ガビ、サカがボールを持った際のそれぞれ選手たちのフォローにも原則がそこにはある。

ジャカ、ウーデゴールのランニング、サイドバックのドリブルを邪魔しない回避ポジションなど。

ガビやサカは活躍しやすい状態でボールを配給されているのだ。

いや、言い換えよう。

彼らのストロングポイントにフォーカスを当てて活躍するべくして活躍している、と。

もっと言えば、彼らがワイドの深い位置で勝負する事で、コーナーキックの回数も増える。

そこで登場するのが、ニコラス・ジョバー

彼の話をすると別の記事が書けそうなので今回は割愛。

彼の設計図は、全ては理に適っているの。

合理的かつ原則のある設計図がチームを動かす

もちろん合理的な設計図がアップデートを怠るわけはない

試合ごとにプレス回避術を身につけているのは典型例だ。

昔々、戦力がない状態で得点を取るパターンとしてダビド・ルイスから永遠にオーバメヤンに裏抜けさせていたのを今では懐かしくて笑える。ビルドアップがまともに出来ないなら彼等にとってそれが高い得点を取るパターンだったのだ。実に時間がかかったが、アルテタの設計図は実は昔から垣間見えていたのだ。ティアニーの3バックの左やらせてFAカップ制覇したのも記憶に新しい。

彼のその設計図=明確なビジョンがオーナーサイドの信頼を勝ち得た理由となったのだろう。だからアルテタの欲しい選手が優先されると考えるべきだ・

ミケル・アルテタ

彼は知的で合理的かつ原則のある設計図を描く事が出来るのだ、とてもスマートだ。

ただし彼の中では、アーセナルが成功するためにそれはツールでしかないと考えているだろう。

知っているのだ。彼は設計図だけでは欧州の覇権を握れないと。

では、何が一番大切なのか?

Passion(情熱)

アーセナルへの、そしてフットボールへの情熱。

だから彼は人の心を動かすのだ。

そう遠い島国で仕事の合間を縫って彼の為に2500字も記事を書かせた私のように。

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