鎌田大地〜威風堂々〜
長い仕事が片付き長いため息の後、おもむろに携帯を開くとYOUTUBEで「フランクフルト×ドルトムント」ベストセレクションみたいなものがおススメで出てきた。
普段プレミア以外見ない私にとっては多少興味がそそられない試合ではあったものの、ヨーロッパのトップクラブが鎌田をリストアップという報道が後を絶たない事もあり、何か吸い込まれる形で試合をチェックする事になった。
そこに映っていたのは鎌田大地
日本人が威風堂々ピッチで躍動していた
鎌田大地~威風堂々~
「フランクフルト×ドルトムント」
フランクフルトは昨シーズンヨーロッパリーグを制覇し、今期はチャンピオンズリーグに参戦するほど勢いのあるチーム。対してドルトムントはクロップ政権以降ドイツでも目立った成績を上げられずにいる。
ただし、彼等にはNext ジェラード“ジュード・ベリンガム”がいる。
あのレアルマドリードが来夏のトップターゲットにするという噂が持ち上がるほど、今後ヨーロッパフットボールをけん引する一人なのは間違いない。この試合でも彼のとんでもないポテンシャルを垣間見る事が出来た。
推進力のあるドリブルに、強烈な深いタックル、90分最後まで走りきれるフィジカル、どれも19歳とは思えない選手だ。スーパー。
本人もあのスーパースター スティーブン・ジェラードをアイドルにしている事もあり、リバプール行きが最有力ではあるものの今年の夏には争奪戦となるだろう。
とはいえドルトムントはビルドアップの形がなかなか作れない。
攻撃時にはズーレ、フンメルス、シュロッターベックで3バックを作り、アザールを左の高い位置で幅を取らせる。3の幅の取り方がズーレだけ右に開きすぎているからアンバランスな形でビルドアップする形になり、前線特に両ワイドの選手たちに全く良い形で供給されない状態がずっと続く。端から見たら、ベリンガムは宝の持ち腐れのように感じる。その中でも彼は腐ることなくエンジンが切れる事はない。そんなチームでも腐らず今や得点を量産しデュエル王になっている事を見ても、より好感が持てる。
中盤の高齢化が深刻なリバプールが喉から手が出るほど欲しがる選手なのも納得。
スティーブン・ジェラードの伝説の背番号8を着るナビ・ケイタの契約が切れるタイミングを考えても彼をレアル・マドリーが横やりを入れない限り、他のチームにはノーチャンスではないだろうか。私はジャカのリプレイスに彼を推していた…。
先制したのはドルトムント、ロングカウンターを成功させた。
反撃にでたいフランクフルトは、というよりフランクフルトというチーム私は今まで見たことがなかった。チームの印象としては、守備の決まりごとは整備さているものの、攻撃は鎌田、ゲッチェ任せ。フィジカルを活かしてゴリゴリいき、二人のマジシャンにアクセントを加えてもらうのが基本方針だろうか。
この試合に限ってなのかもしれないが、3バックが運べる時でもボランチの鎌田に預けるから選択肢が少ない状態で鎌田がボールを配給する事になりとても苦しそうで窮屈だった。そんな状態であっても身振り手振りで選手たちを動かチームの活路を見出そうとする姿勢に私は驚いた。もう少し後ろのポジショニングを修正するだけで180度変わるのを鎌田も自覚しており身振り手振りでポジショニングを修正させていたのだ。
堂々と。スーパー。
最終ラインからのビルドアップを全て引き受け相方のマリオ・ゲッツェとともに前線へボールを供給し、フィニッシュワークにも絡む。守備にも奔走し危ない芽を摘み取る読みも鋭い。
彼がスーパーシュートを決めた瞬間
フランクフルトって、鎌田のチームだという事が分かった。
彼の飄々としている態度から勘違いされがちだが、ハートは強いものを持っており、
こうしたい、こうあるべきだという形を鮮明に持っているように感じる。勿論、守備の部分では物足りない部分もあるだろうが、攻撃ではそれを余りある活躍を見せているだろう。
フランクフルトが散々攻め続けるものの、Gkが神がかったセーブを魅せ続ける。
ドルトムントは前半と形を少し変えたもののやはり結果は同じ。この監督大丈夫?
だが、試合を決めたのは ジュード・ベリンガムだった。
一瞬のチャンスを逃さず決勝ゴールを挙げた。
この試合輝いたのは負けたチームだが、鎌田だったのではないだろうか。
勿論ベリンガムの明るい未来は誰の目にも明らかであるが、この日本人のプレイ内容も誇らしいものだった。
ただ、彼はこの試合にどこまでいっても納得入ってないだろう。
もしかしたら、クラブとの契約延長に応じていない事を考えてもクラブにさえも納得いってないのかもしれない。それぐらい彼のプレイは知性に溢れ、ベリンガムほどのエンジンは積んでいないものの身振り手振りで自分以外を動かす原動力になっていた。整備されているチームで是非とも見てみたい。鎌田、ブライトンなんてどうだ?
彼の去就が決まるのはシーズンの終わり。
バルセロナ、マンユナイテッド、ドルトムントなど候補先は数多く上るが、彼のポテンシャルを考えるなら大きいクラブで良いサッカーをしているチームで見たいものだ。
彼の決断に期待しよう。