アーセナル 時代の終わりと始まり
あの時代 移籍市場が開く度にグーナー達の心境は穏やかではなかった。
セスク・ファブレガス
ロビン・ファンペルシー
アレクサンドル・ソング
サミール・ナスリ
エマニュエル・アデバヨール
ガエル・クリシー
バカリ・サニャ
あの時代選手放出の噂が絶えないクラブ、それがアーセナルであった。
『時代の終わりと始まり』
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フットボールの世界において選手寿命というのはとても短いものだ。
若い頃から絶え間ない努力を続け、もしかしたら勉学なんてそっちのけで練習に励んできた選手達も多いだろう。そんな彼らのキャリアは短く、いつ何時怪我でリタイアを余儀なくされるかもしれない、そんな厳しい世界に彼らは身を置く。
だからこそ彼等フットボーラーはその短い時間の中に【クラブの野心】を求めるのだ。
リーグチャンピオンやチャンピオンズリーグ制覇
彼等の求める野心はそういったものを、このクラブは本気で目指しているのか?
感じれない選手達は、クラブを後にする。
アブラモビッチのチェルシー買収がプレミアリーグの転換期になった事は間違いないだろう。
大きな資金力を持ったチームが短い時間の中で、世界でもトップのチームを作り上げた。プレミアの価値を押し上げ、そこに外資が参入。プレミアの価値を押し上げさらなる参入者を呼び込む。それが今のプレミアリーグとなった。
話を少し戻そう
あの時代 アーセナルというクラブにその野心を見つけるのは難しかった
スタジアム建設とアーセン・ヴェンゲルの方針により選手獲得に大きな金額を投資することはできなかった。過渡期であった事は間違いない。
サポーターはスタジアム建設が足を引っ張っていることなど理解しているもののとはいえ、タイトルに挑戦できないチーム、野心を見せないクラブの姿勢は選手達と似た感情を抱いていただろう。
そんな過渡期にあったアーセナルは、金を持ったチームからすれば格好の餌食となるのは時間の問題であった。
金を持ち野心を掲げるチーム
新スタジアムを建設し金欠、野心に欠けるプロジェクトを持つチーム
お腹を空かせたライオン
ジャングルの中に彷徨うニワトリ
あの時代のアーセナルはそんなチームだった。
2011年8月
チームのキャプテンでありアイコンであり攻守の要であった
セスク・ファブレガスは幼少期を過ごしたバルセロナへ帰還
サミール・ナスリはマンチェスターシティーへ
あの時代のグーナーの気持ちを他のサポーターが想像さえも難しいと思う
心臓と目を食いちぎられたアーセナルはオールドトラフォードで公開処刑が行われた
8月28日
マンチェスターユナイテッド×アーセナルの一戦
それまでプレミアリーグを引っ張ってきたライバル同士の一戦
いつも名勝負が生まれる好カード。しかし、この日は違った。
ダニー・ウエルベックのゴールを皮切りに終わって見れば
マンチャスターユナイテッド8
アーセナル2
【公開処刑】
この試合を表す言葉
あの試合の日
もしかしたらサポーターを辞めた人がいたかもしれない
そんな地獄のような一日だった
しかし、あの時そんな苦しい時代がその後10年以上も続くとは誰も知る由もなかった。
8月31日
公開処刑の数日後
アーセナルはパニックバイを行う
エバートンからミケル・アルテタ
チェルシーからヨッシ・ベナユン
ブレーメンからペア・メルテザッカー
フェネルバフチェからアンドレ・サントス
モナコからパクチュヨン
勢いに任せた計画性も未来も何もない補強は【パニックバイ】という言葉がよく似合っていた。
そう。
アーセナルはそこから10年苦しい苦しい時代が始まるのだ。
今でも言えるその日がアーセナルの時代の終わりの日である、と。
時が進んだ2023年
アーセナルの本拠地であるエミレイツスタジアムは熱狂にあふれていた
We’ve Got Super Mik Arteta
He knows exactly what we need
Kieran at the back
Gabi in attack
Arenal are on their way to the Championsu League
より群雄割拠となったプレミアリーグの首位
快進撃を続けるアーセナルを後押しするチャントがスタジアムに響き渡る。
We’ve Got Super Mik Arteta
(俺達にはスーパー・ミケル・アルテタがいる)
そう。
アーセナルが地に落ちた2011年8月31日に入団が決まった
ミケル・アルテタが選手としてではなく監督として私達に生きる希望を与えてくれているのだ。
訂正しよう
2011年8月31日アーセナルの時代は終わった。確かに終わったのだ。
しかし、終わりは新たな始まりでもある。
ミケル・アルテタがエミレイツに到着した日、時代は始まった
ARSENAL 時代の終わりと始まり