バレンタインにまつわる話
バレンタインというのは本来、うきうきワクワクするものなのだろうか。
バレンタインにいい思い出はあまりない。
高校1年生の頃、珍しく一般人に恋をしていた。
同じクラスのマー坊(仮名)。
彼は背も小さく、ちょっと太っていて
イケメンというには程遠く、恋心がなくなった後に思い返すとどこがよかったのかは覚えていない。
が、なんだかとても好きで、はじめてバレンタインに手作りをし、想いをやんわり届けようと試みたのであった。
純情ウブなその頃の私には、どうしても彼だけに渡すのには抵抗があり、勇気が出ず、クラス全員分に作ってもっていき彼にもそれとなく渡すという作戦にでた。
チョコだとみんな飽きちゃうし印象に残ったほうがいいという謎なこだわりから、チョコではなくチーズケーキを作っていったように記憶している。
彼の分だけ、特別気合いをいれ、飾り付けのイチゴを2つにして少しだけ差別化をはかった。
もちろんそんな微妙な違いは気づかれるはずもなく、私は私で告白までする勇気はなく、無事に渡すという任務だけを果たした。
それからしばらくたち、20歳をちょっと過ぎた頃。
その頃はバンドマンに恋をしていた。
いまでこそ、ちょこっと有名になりテレビでも見るようになった彼だが、その頃はライブにいってもいつも見るお馴染みのファンが数人、、、お世辞にも人気があるバンドではなかった。
故に彼らとの距離も近く、普通にお喋りできる程度の仲ではあったのだが、どこをどう間違えたらそうなるのか自分でもいま考えると恥ずかしいしおこがましいのだが、恋をしていた。
告白でもしてさっさとフラれてしまえばいいものの、そんな機会を逃し長々片思いをしていた私にもなぞの決意が生まれ、<きちんとフラれて諦めよう>と思い立った。そのころのバレンタイン少し前。
彼にメールをし、バレンタインに会えないかと約束を取り付けた。
バイトがあるらしく、夜中になってしまうかもとのことだったがまぁ一生に1度のことなのでタクシーで帰るはめになってもしゃーなし、とそれで了承した。
いざ、バレンタイン当日。
窓の外を見ると雪がしんしん。
何年ぶりか、東京での大雪。
夜まで降り積もるでしょうとの予報。
私は悟った、<神にまで見放されたのか、いや告白するまでもなく諦めろということか>
彼のバイト先の近くまでいく予定ではいたが、それでもさすがに大雪の中呼び出すのは忍びないので、こちらから連絡をいれ予定をキャンセルした。
きっとうっすら、ほんのうっすらあった希望も、
自分の中で打ち消され、どうせ告白したとこでフラれるんだもんな、と妙に納得し長々続いた片思いも終わった。
ほかにも色々小さいエピソードくらいはあるだろうが、
あんまり覚えてないし、どうせろくな思い出ではないので割愛。
今年はなんか、いい事があるといいな。
と思いつつ、さくさくぱんだを食べようと思う。
(さくさくぱんだの工場見学にいきたいです)