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キングスマン:ファースト・エージェントの感想『タイトルの和訳って大事だなぁと思うし、次回作にも影響する』※ネタバレあり

※2022年1月26日ふせったーに投稿。投稿していたTwitterアカウント削除した為、感想をこちらに引っ越し。感想というか心の叫びです。

 気になってやっと観に行けましたが、史実の織りまぜ方が絶妙でした。第一次世界大戦のきっかけから暗躍してる羊飼い率いる闇の狂団のメンバーがもうそこ出してくるか!っていうメンバーで。ラスプーチンとかマタ・ハリ(劇中ではマタって呼ばれていたからマタ・ハリだよね?って確信持てなかった……)とか世界史で見た名前が。ジョージ5世、ニコライ2世、ヴィルヘルム2世とかはまぁあの時代の映画をテーマにした他の映画でも取り上げられる機会が多いと思うけど、そこも絡ませてくるのかっていう。新たな悪役でなくても良いのでは?っていう監督の考え方も納得だし、キングスマンという作られた物語に史実が息づいているし違和感が無かったです。

 コンラッドの国の為に戦いたい思いをくんでオーランドが諜報活動の事を打ち明けてコンラッドにも参加させるシーンは胸が熱くなりました。お互いを信頼して共闘するシーンが良い。本当に……。
 ラスプーチンを暗殺しにいく為にロシアの舞踏会で行っていましたが、オーランドとラスプーチンのやりとり最高では!?ラスプーチンが甘い菓子と甘いマスクの若い男が好きってことでコンラッドも頑張るけど、失敗に終わって良かった笑
 食事のシーンとかラスプーチンとのバトルでバレエ曲使われていたし、ロシアといえばチャイコフスキーですよね!金平糖の精の踊りの曲がめちゃくちゃ好きなので、食事という一見和やかそうに見えていろんな思惑が飛び交うシーンに使われているのが最高でした。ラスプーチンの踊りのような戦闘スタイルはもう一度観たい!テーブルの上でめちゃくちゃ回ってたんですけど(笑)

 ラスプーチンが毒でも死なない、ロシアのあの寒さので水の中に頭を突っ込まれても死なないの本当にでホラーでした。(パンフレットで見てあれも実際に残ってる資料を参考にしているのを知った。ロシア好きの友達はラスプーチンが溺死のくだりが史実通りで嬉しかったって言ってましたが、結局銃殺という……)

 戦争がテーマになるとどうしても重くなるし生々しさを感じて胸が苦しくなるんですが、コンラッドの辿る運命を目の当たりにして胸が締め付けられました。オーランドの想いコンラッドの想い。どちらもわからなくもないけど、お互い譲れない想いの中ですれ違ったままコンラッドは戦地に行ってしまうんですよね。コンラッドの過保護も行き過ぎなところもあるかもしれませんが、戦争に参加する事が正義ではないっていうのは共感できる。あの時代より後の時代を生きている者として……。
 コンラッドもせっかく戦地から離脱できる機会を自分は望んでいないからと自ら策を巡らせて他の兵隊と入れ替わって最前線に行ってしまうし。やっと父親の言葉の意味を理解してわかり合えると思ったのに策で入れ替わった事が裏目に出てスパイとして殺されるなんて……(泣)。

 怪我をした伝令係を担いで銃弾の雨の中をやっとの思いで辿り着けたのにやるせない気持ちが拭えない。担いでいた伝令係も直前で被弾して亡くなりますしね。国の為に行った命がけの行為も称えられるどころかスパイ扱いして殺される。
 
伝令係の人も国旗を振りながら味方の塹壕に向かって走っていたのに敵からだけでなく味方からも攻撃されていたし伝令係任命されたら死亡宣告されたも同然では!?味方を装ったスパイだったって思われて将軍が「いや、あれはこちらの伝令係だ」ってもっと早く言ってあげて……。(将軍からしたら勝手に撃ち始めやがってって感じかもしれないけど……)それだけ膠着状態で一触即発だったんだろうなぁ。
 伝令の内容取りに行く時の緊張感もすごかったです。お互いに相手は殺すつもりだけど物音を立てれば自分も死んでしまう。銃は使えない中で刃物でやり合う。相手に懇願されて躊躇うコンラッドが仲間が殺されているのを見て自分も殺らなければ殺される事を感じる一方で、父の言葉を感じている姿は今思い出しても苦しいです。

『人を一人殺す度に自分の一部が死んでいく』

 
それでも殺らなければ自分が殺される。体験したことがないですが、戦争はやっては駄目だってことをすごく感じるシーンでした。

 戦死を伝えたってことはそれまでランスロット(入れ替わった兵士。後のコードネーム)はその時までそこにいたってことでしょうか?疑いは晴れたのかなぁと思ったのですが、ネタバラシされていたらランスロットもあんな立派な軍服を着て離脱なんてできないような気もしますし。事情が事情だから一部の人だけが知ったのか……?うーん、どうなんだろ。
 結果的にはジョージ5世がコンラッドの最期についてその勇姿を称えていたけど、あれはオーランドから打ち明けられた内容と軍経由の情報(コンラッドが見せた伝令とスパイと間違われて亡くなった一兵士ぐらいの情報?)を照合しての言葉だったのかも……。どっちにしても父の思いを理解したコンラッドについてはオーランドは何も知らないのかと思うと辛いです。コンラッドがそのことを打ち明けたのあの伝令の人にだけなんですよね……。

 息子の死にオーランドは呑んだくれますが、ポリーの言葉に正気に戻るのはポリーの存在の大きさを感じました。いつだって主に対しても間違っていると感じたことは態度に出すし伝えるポリーが好きです。潔さというか度胸があるというか。ぶっ飛んだ行動もあるけど、一本筋が通ってるし凛としてる。

 この諜報活動を支えている情報網が本当に凄い。オーランドがコンラッドに言った『軍の諜報機関は鍵穴から情報を取るけど人(=自分たちの情報網である各国の使用人達)は鍵穴の先の部屋にいる』ってところが納得だし好き過ぎる!
 まぁでもキングスマンの良いところは手に入れた暗号も苦労して解読してもすんなり信じて貰えないし、敵陣に乗り込む時も飛行機であんなにトラブルがあったのにパラシュートで落ちた所が断崖絶壁だったり。何かと一筋縄ではいかないんですよね。苦労して上がってもヤギに頭突きされてるし。ラストバトルではそのヤギに助けられる訳ですが(笑)……ヤギも恨んでたんだろうなぁ角切り落とされて。番も殺されてるヤギだったのか?何にせよ黒幕の羊飼いが酷い奴だった……。
 そこが黒幕だったんだぁと思いながらパンフレット見てたら明らかに扱いがちょい役の軍人では無かったからあーなるほどってなりました。先にパンフレット見なくて良かった(笑)

 映画を観て一作目と時間軸が重なるシーンは無かったからまぁ別物として観られるし今作から先に観ても大丈夫そうだなぁと思います!
 
一作目二作目ともに観てはいますが、なんだったらもう一回一作目二作目を見直したい!キングスマンに対する重み?深み?が増しそう。
 
 日本版タイトルは一作目が『キングスマン』ってつけたから今作は『キングスマン:ファースト・エージェント』ってなってるけど、原題では今作が『キングスマン』で一作目が『キングスマン:ザシークレットサービス』ってなってるところが斬新であり好きです。

 
時間軸と公開年から考えれば今作は前日譚にあたりますが、あくまでも今作が始まりの物語で最初っていう位置づけが今までなかったような気がします。あえてのこの題に監督の思いを感じる……!!!

 パンフレットは映画観終わってからも買うか悩んだんですが、買って良かったです!個人的には史実とキングスマンとしてのストーリーでの役割を比較したかったから買ったわけですが、その辺も書いてくれていてわかりやすかったし勉強になりました。
 そして何よりキングスマンの話だけでなく映画史における続編、前日譚に対する扱いの話が凄く興味深かったです。わかる!わかるよ!これ映画だけでなくゲームでもあるよね、うん。続編の難しさ、前日譚だと更に……。それを考えてもキングスマン:ファースト・エージェントは観る価値のある映画だと私は思います。日本語の題では監督の意図をくめないのがちょっと残念ではありますが。

ここまで読んでくださりありがとうございました!


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