読書
「いくら時代が新しくなっても、目の前のことから逃げ続ける癖がついた人間は生きづらいままだ」
目を疑った。
私の心の声が、活字として紙の上にあった。
小説、「正欲」の中の言葉だ。
誰の肩も持たず核心を突く「正欲」の中の鋭い言葉たちは、時に暖かく、時に肝を抜かれた感覚に陥る。
フィルター越しに人を見る私の目は、死んだも同然で色を宿さず日常を過ごし、
いつも先を焦る私の思考回路は、時々読む本を通してやっと自分の本心を知る。
二十歳を超えても、未だに手持ちの語彙は幼いままだ。そこら中に散らばっている、ありきたりで薄っぺらい言葉を他人と自分に投げつけながら、どうにでもなる生活を繰り返している。
逃げ癖がついた自分が、心のどこかで許しを請いている。そんな自分を許してあげたいが、理由もなしに自分を好きで居てはやれない。
そう思いながら、幼稚な言葉を使う自分から逃げ出せる道を作れるのは、私自身しかいないと酔いしれる。
今日も心を代弁してくれる言葉を探して本を読む。
未だ目の前のことから逃げ続ける自分さえも喜劇として捉えられるまで。