東京新聞杯ふりかえり
戦前の予想通りの素晴らしいレースとなった。勝ち時計の1.31.8は、2019年のインディチャンプが勝った年の1.31.9を超えるレースレコード。
レースラップはグランアレグリアが勝った2020年の安田記念に近く、
2023 東京新聞杯
12.3-10.8-11.3-11.4-11.3-11.0-11.6-12.1
2020 安田記念
12.1-10.9-11.2-11.5-11.6-11.4-11.0-11.9
と安田記念への期待を膨らませる結果となった。そんな東京新聞杯をふりかえる。
スタート直後、ファルコニアが内にショウナンマグマが外に飛びながら出た。その結果、ピースワンパラディがダッシュがつかず後ろに置かれることになった。
先行争いに目を向けると、ウインカーネリアン、ファルコニアが押しながら前へ。プリンスリターン、ナミュールも促されながら前目に付け、大外からスタートしたプレサージュリフトは流しながら先行集団の後ろにつけた。いつもはかかり気味にいくショウナンマグマは押されるも前に行く事ができなかった。
他の有力馬ではジャスティンカフェはスタートしてからジワジワ外目を目指し、インダストリアもスムーズなスタートから外目へ。外エアロロノアはジワジワ内に入れカイザーミノルの後ろに入った。
1ハロン過ぎたあたりで隊列が完成。ウインカーネリアンが先頭、その外にファルコニア、シュリがつけ、前に行きたかったショウナンマグマはシュリとナミュールに前に入られ、馬群の中でのレースを余儀なくされた。ショウナンマグマにとっては厳しい位置。
そしてこの事がプレサージュリフトに不運をもたらした。
ポジションを取れなかったショウナンマグマがやや強引に外に出てきた事で、少し外に弾かれたのだ。結果に大きな影響があったとは言わないが、ここでスムーズさを欠いたのは事実。これがなければ着順が1つ上がっていたかも?と思わせるシーンだった。
デムーロ騎手はこう言う強引さが目につく事がよくあるね。制裁点が多いのも分かる気がする。
そしてインダストリアにはハプニング。
スタートを右手前で出たインダストリアはジワジワ外に行きながらこの上の画像の位置につける。外にカイザーミノルが来た事で外側へ向かうのをやめて真っ直ぐ走り始めた瞬間に、左手前になってしまう。それを戸崎騎手が右手前に戻そうとした時に外に体勢を崩し、カイザーミノルに接触してしまったのだ。
この事が結果に大きな影響を及ばせたとは思わないが、これを見るとインダストリアは、右手前で右にもたれる馬で、左回りでは外目をスムーズに走れた方が良いのでは?と思わせるシーンだった。
そしてまた全体に目を向ける。
最内を走る馬が前2頭のみで他は内を開けながら走っている。これ直線でより顕著になるんだけど、恐らくトラックバイアスのせいだろうね。最内か内から3,4頭分開けた部分の馬場が良くて、みんなそこを走りたいと考えていたんだと思う。
そして、逃げたウインカーネリアンがペースを落とす事なく11.3-11.4とケレン味のないラップを刻んだ事で、
馬群が上の通りの縦長に。ここでリードを広げられた事がウインカーネリアンの勝因の1つになった。
この後、4コーナーを抜け直線に入った所でスピードの違いが見えたシーンがあった。
上の矢印で示した、ウインカーネリアン、ナミュール、ジャスティンカフェ、プレサージュリフトだけほぼ馬なりで、それ以外の馬は騎手の手が激しく動いている。この区間は11.0とペースが上がった区間で、ここを馬なりで行ける馬はそうはいない。
上に挙げた4頭が1〜4着となった事からも、この4頭の力が違ったと言う事だろう。
そして直線の進路取りで、またもショウナンマグマが影響を及ぼす。
まずプレサージュリフトがショウナンマグマを交わそうとしたシーン。ここでの選択肢は丸で囲った内と外の2つがある。が、ショウナンマグマのデムーロ騎手が右手にムチを持っている事と、内より外の方が馬場が良い事から外を選択する。
そして次がジャスティンカフェ。
直線に入りピンハイの後ろにいたジャスティンカフェは、こちらも内と外の2つの選択肢があった。で、馬場の良さからか外を選択。
しかし、ピンハイとショウナンマグマの間を突こうとした時に進路がなくなりかけてしまった。
幸い、ジャスティンカフェが反応鋭く、狭いスペースを入れた事と、疲れてしまったショウナンマグマが外に行った事で抜けてくる事が出来たが、ヒヤッとするシーンだった。
それ以外では、ウインカーネリアンは最内を走り続け、ナミュールは直線ではやや外へ。プレサージュリフトはさらに外を選びエアロロノアはその後ろから抜け出しを図る。
しかし、ラストを11.6-12.1でまとめたウインカーネリアンを捉えきれず、1着ウインカーネリアン、2着ナミュール、3着ジャスティンカフェ、4着プレサージュリフト、5着エアロロノアとなった。
勝ったウインカーネリアン。枠順に恵まれた感があるも、これは強い競馬。また三浦騎手の騎乗も良かった。
強気にハナを奪い、ケレン味のない逃げを打った事で馬の持ち味を最大限に出し切り後続を完封した。また速いラップを刻み続けながら、ラストを12.1でまとめたウインカーネリアンも強かった。
三浦騎手は、根岸Sでの進路取りなどから馬群を捌く時の進路取りには少し疑問が残る事があるけど、前に行くと本当にいい競馬をする。三浦騎手の初G1制覇のシーンは、もしかしたら先行馬に乗った時に訪れるかもしれないね。
2着のナミュールは非常に良い競馬をしたけど外枠に泣いた。しかし、マイルでポジションを取りにいきながらラストもしっかり脚を使えた事は、今後に非常に期待を持てる物だった。ヴィクトリアマイルや安田記念が楽しみだね。
3着ジャスティンカフェは前が残る展開が厳しかったし、直線でスムーズに抜けて来れなかった事が痛かった。本気で走れたのは実質ラスト1ハロンほどなので、スムーズに走れていればもしかしたら?と思ってしまう。
4着プレサージュリフトも外枠が厳しかった。また、先行して脚を使える競馬が板についてきたが、トップクラスだとワンパンチ足りない印象を受けた。G1で好勝負するには、なにかしら工夫がいるだろう。
メンバーを見た時からレベルが高いと思ってはいたけど、想像以上のハイレベルだったね。あとはG1特有のタイトな競馬にどれだけ耐えられるか。今後のG1への期待が大きくなったレースだった。
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