見出し画像

京都記念ふりかえり

JRAホームページ

ドウデュースが力の違いをみせた。道中後方から進み、勝負どころで大外をマクってきて3馬身半ちぎると言う、力の違いを見せつけるような競馬で、1948年マツミドリ以来、75年ぶりのダービー馬による京都記念制覇を成し遂げた。

そんな京都記念をスタートからふりかえる。

スタートはキングオブドラゴンがもっさり出た以外はほぼ揃ったスタート。

アフリカンゴールドと出遅れたキングオブドラゴンを制して、スタートを決めたユニコーンライオンがハナを奪いに行く。

外に目を向けると、キラーアビリティがやや行きたがるも我慢しながら前目に付け、エフフォーリアも気合をつけられながら積極的に前へ。

ドウデュースはスタート後、先行集団の後ろにサッと入り後方待機。さらにその後ろに間を開けてスカーフェイス、インプレスと続き早々に隊列が決まる。

しかし1コーナーに入る前に動きが。

キラーアビリティの外につけたエフフォーリアが、キラーアビリティが外に張り気味になっているのを見てペースを上げ内に入っていく。

馬場の内がいい事から必要以上に外を回される事を嫌ったのだろう。さらに気合いをつけられたエフフォーリアが久しぶりに前進気勢のある大きなフットワークで走れていた事から、そのリズムを崩したくなかったのかもしれない。

その結果、通常はペースが落ち着く3ハロン目で11.2を記録し馬群は縦長に。その後、12.3-12.6とペースが落ちた辺りでドウデュースがやや掛かり始める。

武豊騎手の重心が後ろにいきながらドウデュースが少し頭を振っている。レース後のコメントで、コーナーから向正面にかけて少し行きたがったと言っていた場面がここ。向正面に入り落ち着いたが、休み明けの影響で少し気が入っていたのかもしれない。

他馬に目を向けると、前走57.5kgを背負ったせいか行きっぷりの良くなかったマテンロウレオが最内をかかり気味に進み、前2走で馬の後ろで必死に折り合いを付けられていたキラーアビリティが、前に壁がないにも関わらず何とか我慢出来ていた。

さらに後方の馬が前との差を詰め、縦長だった馬群が凝縮し3コーナーを迎える。

3コーナーに入ったところでドウデュースが動く。前を行くマイネルファンロンに並びかけ、それに対抗するようにマイネルファンロンもペースを上げ2頭揃ってジワッと前へ。

そのまま2頭は先頭集団までポジションを上げる。

そして残り600mを迎えた辺りでエフフォーリアに異変。

心房細動を起こし、突如手応えがなくなり始める。これを見て後ろにつけていたキラーアビリティは1列外へ。この時にみせたムルザバエフ騎手の動きが早かった。

上の画像のエフフォーリアが進まなくなってきた瞬間に、

1列外のプラダリアの後ろに動いて見せた。周囲の状況を敏感に察知して瞬間的に動ける技術があるからこの動きが出来る。ムルザバエフ騎手の判断能力の高さが伺えたシーンだった。

さらにキングオブドラゴンの手応えも悪くなり、後ろの馬のほとんどが外を目指し始めた時に最内で我慢し続けていた馬がいた。

それが横山典騎手マテンロウレオだ。これがマテンロウレオを2着に導く大ファインプレーだった。

内を狙っていた岩田康成騎手スカーフェイスが体制を崩して抑えているのが分かる。これはそれだけ横山典騎手が内を締めていたって事。

エフフォーリア横山武騎手がまっすぐ下がってくれた事で、直線に入りマテンロウレオの外側にスペースができ、

そこを素早く突き、距離ロスする事なく抜け出して見せた。

4コーナーで我慢して最内に居続けなければ3頭分は外に出さなければならず、そうすれば2着にな来れなかっただろう。あそこで我慢できる騎手はそうは居ない。横山典騎手の凄さを見たシーンだった。

さらに直線入口であっという間に先頭に立ったドウデュースの進路取りに、武豊騎手の凄みが見えた。

マイネルファンロンの外に並びかけた時にドウデュースの顔が内に向いてるのが分かる。これはそれだけ内を回ろうとしていると言うこと。

その結果、直線に入った時にはマイネルファンロンとドウデュースの間には全くスペースが無くなっていた。さらにマイネルファンロンを交わしてからも、

内を締めながら抜け出していく事で、自分は馬場の良いところを走りながら、ライバル達が外を走らなければならない状況を作り出している。

ここまでキッチリ内を締めて抜け出していく騎手はほぼ武豊騎手だけで、他の騎手ならマイネルファンロンを交わしたら、後は真っ直ぐ走っていただろう。

さらに、この動きを右鞭を持ちながらやっていて、これは馬を全力で追いながらも、他馬の邪魔をしない様に絶妙にコントロールして内を締めて行ってると言う事。

最後の直線でここまで冷静に絶妙なコントロールが出来るのは百戦錬磨の武豊騎手ならでは。この進路取りに、武豊騎手の技術の高さと勝負への厳しさを感じた。

このままあっという間に差を広げたドウデュースは、他馬を3馬身半突き放し圧勝した。

2着は4コーナーでの我慢が生きたマテンロウレオ。3着は終始ロスなく立ち回ったプラダリアが入った。

この差は決定的で、何回走ってもドウデュースが勝っていただろう。マテンロウレオは4コーナーをもっとスムーズに回れたら差を詰める事は出来たかもしれないが逆転は無理。そのくらい力の差を感じる結果だった。

プラダリアは今日のレースで負けたのなら仕方ない。マテンロウレオとはまだ優劣つけ難いが、ドウデュースとは勝負付けが済んだ印象を受けた。

それ以外ではキラーアビリティが案外だった。折り合いに進展が見られたにも関わらず、追ってからが案外で、もしかしたらトップクラスでは貯めて行ったほうが良いのかもしれない。

そして勝ったドウデュース。パフォーマンスがダービー時よりも上がっている印象で、年度代表馬に輝いたイクイノックスに匹敵するのでは?と思える走りだった。

早ければドバイターフでドウデュースvsイクイノックスが実現しそうで、今から凄く楽しみになるようなレースだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?