根岸Sふりかえり
武蔵野Sでワンツーした2頭が着順を入れ替え、ここでもワンツーを決めた。
レモンポップは安定感あるレースで勝ち、これで戦績は10戦7勝。しかもオール連帯。
2着ギルデッドミラーは僅差の2着。よく追い詰めたが半馬身届かなかった。
そんな根岸Sをスタートから振り返る。
スタートは、バラつきのあるものとなった。
ギルデッドミラー、デンコウリジエールが立ち遅れ、タガノビューティーは行き脚が付かない間に進路が狭くなった。
内に目を向けると、前に出かけたヘリオスに負けじと、オーロラテソーロが押して先頭を奪いに行った。テイエムサウスダンはやや気合をつけられながら外3番手を伺い、レモンポップは馬なりのまま前へ。セキフウ、アドマイヤルプスは気合をつけられるも後ろからの競馬となった。
セキフウ、レディバグは前半から気合をつけられながらも置いていかれ加減の追走。この時点で厳しいレースになった。
それとは逆にタガノビューティーはブリンカー効果が出たか、いつもより行きっぷりがよく、後ろに置かれることなく中団につける事が出来た。
そしてここでバトルクライ川田騎手がこだわりの進路取りを見せた。
スタートで前に出たレモンポップの後ろを取ろうと内に入っていった川田騎手は、
シャイニープリンス田中勝春騎手がレモンポップに離されまいと外に出しながらペースを上げていくのを見て、1度やや外に出してやり過ごす。
ジャスパープリンスが前に行き切った後に、改めてレモンポップの後ろを取り切った。この一連の動きは川田騎手のレモンポップの後ろを取りたいと言う意識の現れで、川田騎手はどのレースでもこの様に取りたいポジションをしっかり取りに行く。
その事が、今の脅威的な数字に繋がっているんだろうね。
そのほかに目を向けると、揉まれたくないエアアルマスは先行馬群からやや外に離した位置を取り、出遅れたギルデッドミラーはレモンポップのラインに、タガノビューティーはエアアルマス→バトルクライと続くラインに入っている。有力馬のラインに入るのは、出来るだけ最後まで下がってこない馬の後ろにいた方が、スムーズに競馬が出来るから。
各馬おのおのの位置を取ったままコーナーに入っていく。4コーナーに入ったところでテイエムサウスダンの手応えが怪しくなる。
持ってる力を考えればここで手応えが怪しくなる馬では無いが、レース後にルメールが「集中を欠いた」と言っていたことから、気性に難しいところがあるのだろう。
直線に入ったところで馬群は横に広がった。で、ここで注目したいのはギルデッドミラー三浦騎手の進路取り。
直線入口ではレモンポップのラインにいたが、ここから外を目指し始める。これが結果的に僅差の2着となる伏線となった。
レモンポップのラインから外れて、どんどん外を目指して行くのだが、実は丸で囲んだレモンポップの後ろのスペースが大きく空いていたのだ。
もしレモンポップの後ろのスペースに入り、トップギアにいれた状態で待つ事が出来れば、
坂下でレモンポップの左右が空きここを突くことが出来た。もしここを突いていたら、着差が僅差なだけに結果が違っていたかも?と思わざるを得ない。
ここを突かずに外を回したギルデッドミラーは結果的に、
これだけ大きく外に出ることになった。この横移動の分の脚をためておけたら良かったかもね。まあ結果論だけどね。
そして勝ったレモンポップに目を向けると、残り400m付近で他馬が必死に追われてる中を、ただ1頭馬なりで進んでいる。こう言うシーンは重賞ではなかなか見られない。この後、満を持して追い出され、ギルデッドミラー、バトルクライ、タガノビューティーの追い上げをしのぎきり初重賞制覇を果たした。
負けたとは言え、2〜4着馬も力がある。
なぜなら、見ての通り5着エアアルマス以下を3馬身半近くはなしたからだ。負けたとは言え能力上位である事を証明した。
レモンポップの勝ちタイムは1.22.5。これは過去10年で4番目に速い。さらに1.23.0を切ったことがフェブラリーSに向けて凄く大きくて、
何故なら、
2013年〜2022年で1.23.0を切って根岸Sを勝った馬
2016年 モーニン フェブラリーS1着
2018年 ノンコノユメ フェブラリーS1着
2020年 モズアスコット フェブラリーS1着
2021年 レッドルゼル フェブラリーS4着
とフェブラリーSも連勝した馬がほとんどなのだ。さらにレースラップが、
12.2 - 11.0 - 11.4 - 12.0 - 11.9 - 11.6 - 12.4
で、これはモーニンが勝った2016年の、
12.4 - 10.9 - 11.3 - 11.8 - 11.9 - 11.5 - 12.2
と似通っている。このことから、現時点でレモンポップはモーニン級の能力があると推測できる。
本当に今後が楽しみな馬だね。これだけの能力を示しながらレースぶりに隙がなくて安定している。1600m以下であれば、ダートG1路線で大活躍しそうだね。もしかしたら、アメリカでも?なんで夢が膨らむ。
3着以下に目を向けると、バトルクライは現状の力を出し切ったのではないか。これで負けたのなら仕方ない。
4着タガノビューティーは道中で中団につけられた事が今後に向けては非常に大きい。今回こう言うレースをした事で、次からさらに鋭い末脚が使えるようになるだろうし、そうなればレモンポップとの差がもっと詰まって不思議じゃない。
5着エアアルマスはやはり気分良く行ければしぶとい。直線入口から追い通しだったのに5着に粘ったのは凄い。
そして6着ケンシンコウ。これも新味を見せたレースだった。これまで中距離で結果を出してきたが、今回前半を自分のリズムで行ければ、マイルでも鋭い脚を使える事が分かった。タガノビューティー同様、1度こう言うレースを経験した事で次はさらに上積みが見込めるし、展開次第でフェブラリーSでも面白い。
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