見出し画像

きさらぎ賞ふりかえり

JRAホームページ

戦前より期待の大きかった良血馬2頭のワンツーとなった。1着フリームファクシは折り合いに苦労しながら押し切り、能力の高さを改めて証明し、2着オープンファイアは過去2戦とは別馬のように器用に立ち回り、末を伸ばすも僅差の2着となった。

勝ちタイム1.59.7は中京2000mのきさらぎ賞としては過去最速で、同週に行われた古馬1勝クラスの2.01.0、2勝クラスの2.00.1よりも速い優秀なタイム。

そんなきさらぎ賞を振り返る。

まずスタート。

逃げると目されていたレミージュがゲートが開く直前にゲートに突進してしまい出遅れる。クールミラボー、ノーブルライジング、トーセントラムはいつも通りゆっくり出た。

シェイクユアハート、フリームファクシ、ロゼルはスタートを決め、オープンファイアは遅れたがいつもよりマシなスタートだった。

シェイクユアハートはラチ沿いを取りに行き、フリームファクシは数完歩流したあとに抑えにかかる。出遅れたクールミラボーも体勢を立て直してから促される。

そしてこの後、出遅れたレミージュが他馬を煽りながらハナに立つ。

まずフリームファクシの後ろから外に出した時に、右に大きく体勢が崩れロゼルと接触。その影響でオープンファイアも少し外に弾かれた。

そしてフリームファクシを外から交わし内に入って行く時に、

フリームファクシ川田騎手の上体が起きる。これ後ろからの画像だと何が起きたかわかりやすくて、

レミージュがフリームファクシを交わしきっていない内に前に切れ込んできた事で、進路が狭くなりフリームファクシが頭を上げているのが分かる。

荻野極騎手は愛知杯のアブレイズでも同じような進路取りで危険なシーンを作っている。横の動きに雑なところがあるのだろう。

しかし結果的にこれがフリームファクシが我慢が効くようになって来た事の証明となった。

今まで暴走気味に走っていたフリームファクシが、外から被せられ擦り気味に締められながらも我慢して見せたのだ。

1コーナーでアクシデントがあったにも関わらず、向正面に入った時にはもう折り合っている。

上の写真は煽られてから2ハロン程進んだ地点だが、外2番手につけるフリームファクシが折り合って走っているのが分かる。

さらに2コーナーから向正面の区間で、勝負のポイントがあった。

矢印で示したクールミラボーとオープンファイアが、10.7を刻んだ2ハロン目で前に離されずについて行くことに成功し、

ハナを取り切ったレミージュが12.5とペースを落とした所で、下の画像の通り前との差を詰めることが出来たのだ。

これがオープンファイアが僅差の2着となり、クールミラボーが0.2秒差抑えきりの3着となった伏線になった。

さらにオープンファイアが成長を見せたシーンがあった。

レミージュが12.6-12.4と言うペースを作った向正面で、

手綱をゆるめて追走して見せたのだ。予想に書いた通り、オープンファイアは過去2戦で追走に苦労していた。そんな馬がペースが落ち着いたとは言え、手綱をゆるめて追走していたことに驚いた。

10.7を刻んだ区間でついていけたことと、手綱をゆるめて追走できてことは、オープンファイアの今後レース振りに幅が出ることを意味する。

それは今後のG1戦線において非常に大きい。

レースに話を戻すと、3コーナー辺りからレミージュは12.1-12.1とペースアップ。ここでクールミラボーの手応えが怪しくなる。

鞭を入れられながらもなんとか付いていったクールミラボーは、

なんとか4コーナーまでシェイクユアハートの真後ろをキープした。離れた最後方だったトーセントラムが馬群に追いつき、一団となってレースは直線を迎える。

直線に入った所で馬群はレミージュ1頭を内に残して外へ。シェイクユアハートの後ろにいたクールミラボーは、

進路を皆が避けた中央へと変えた。

外からフリームファクシが抜け出しにかかるところにさらに外からオープンファイアが迫る。

この後、ここだ!と言う所でムルザバエフ騎手に鞭を入れられたオープンファイアが若さを見せる。

左ムチを打たれたオープンファイアが鞭を嫌がったか、大きく外にヨレたのだ。ムルザバエフ騎手はすかさず鞭を持ち替え修正を図るが、

今度は右鞭に反応して大きく内にヨレてしまう。この事も影響してか、

アタマ差でフリームファクシを捉えきれず2着となった。最後の脚を見れば、鞭に反応してヨレなければ差し切っていたのでは?と思える。

ただそれも微妙。

何故なら僅差で勝ったフリームファクシは、1コーナーで煽られる不利があった上に、直線で1回しか鞭を使われていないからだ。

鞭を入れられたのは直線残り300m付近。

上の画像の地点で左鞭を1回入れられただけだった。前進気勢の強い馬で、鞭を打つ必要がなかったのかもしれないが、客観的に見ればこれは着差以上に強い競馬だったように見える。

そして3着クールミラボー。

3コーナーで手応えが怪しくなり鞭を入れられ、直線では皆が避けた中央を通りながらここまで来たのは評価できる。オープンファイア同様10.7の区間でついて行き、皆が避けた荒れていたであろう馬場を通った。

この事から、極端に時計が速くならなければ芝中距離路線で今後も面白い。

そして勝ったフリームファクシ。

体型や血統から中距離が適距離に思えるが、溢れる前進気勢と速いラップを馬なりでついて行ける点を考慮すると、適距離はマイルかもしれない。

中山2000mの皐月賞では面白いが、東京2400mのダービーでは厳しいのではないか。

今後のローテーションに注目したい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?