横山典騎手の最内のさばき方
横山典弘騎手と言えば、思い切って逃げたり最後方から行ったりと思い切りの良いレースをするイメージがあるかもしれない。
だけど、僕は思うのは横山典騎手は「内をさばくのが上手い」て所。
内をつける騎手はたくさんいるんだけど、横山典騎手ほど鮮やかに抜けてくる騎手は、なかなかいないと思うんだよね。
その技術の一端が2022年のシンザン記念で見えたからご紹介。
6枠からスタートした横山典騎手は、内の馬が立ち遅れたのを見て、内に入っていく。
1コーナーを抜けた時には逃げ馬の真後ろを取り切る。最内で逃げ馬の後ろは、6枠からスタートしてることを考えると、文句のないポジション。
と言いたいところだが、1つ問題がある。前にいる2頭が共に人気薄で直線で下がってくる可能性が高いのだ。何とかそれまでにパスしなければならない。
そのため、やや外に出し前2頭の間のスペースを伺うが、外の馬が内を締めてきてスペースがない。
なので逃げ馬の後ろに戻り、スペースが空くタイミングを待つ事になる。
で、ここからが凄い。
4コーナーに入った時はまだ内のスペースはない状態だが、
直線に入る手前で、逃げ馬が早めに手前を変えて、少し外に膨らんだんだよね。逃げ馬の走りは、手前を変えてから、明らかに右肩が外に逃げて行くようなバランスの悪い走りになっていた。
その後、上手く体勢を立て直して直線入口ではまだそれほどスペースは無い。
しかし、横山典騎手は手前を変えてから、逃げ馬の右肩が外に逃げているのを見逃していなかった。
逃げ馬の直後で、いつでもトップギアに入れられる状態で我慢し続けて、
逃げ馬がまた外に張り出した瞬間に、空いたスペースを突いて抜け出してた。そして2着馬の猛追をクビ差退けて1着。
前にいた2頭は抜かれた後、案の定下がって行ったし、2着との着差を考えると、あのタイミングで内をつかず、外を回そうとしていたら勝てなかっただろうね。
馬の能力を把握して、一瞬見せた癖を見逃さず、その癖を利用してロスなく抜け出してくる。
事前の研究と、視野の広さと観察力。そして慌てずに空くまで待つ度胸が無いと、この芸当は出来ないと思う。
ここに横山典騎手の緻密さや繊細さと胆力を感じるね。
で、これは元3流ライダーの僕には理解出来ないんだけど、そうやって抜け出してくる時、横山典騎手は凄い鮮やかにスパッ!と抜けてくるんだよね。どんな技術があるのか想像もできないけど、その鮮やかさは明らかに他の騎手とは違う。
緻密さと繊細さと胆力。そして高い技術力。
それがあるから、横山典騎手は内を鮮やかに抜けてくるんだろうね。
本当に凄い騎手だ。
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