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いちからCEOの語った「Vライバー」の未来 今からVtuberを目指す人へ伝える言葉

 (4/2追記)
以下の文章の内容は、にじさんじ公式Youtubeチャンネルにて全編無料公開されています。こちらをご覧ください。

https://youtu.be/-2NMTz8ZREU?t=6981

なお、このnoteを公開した当時はニコニコ動画のタイムシフトでのみ閲覧が可能でした。


 2月27日、にじさんじFestival2021の1日目無料パートにて、にじさんじ所属のVtuberジョー・力一さんと舞元啓介さんによるラジオ「舞元力一」の出張版が生放送された。

 そこに特別ゲストとして、にじさんじを運営しているいちから株式会社のCEO、田角陸さんが登場。事前にゲストに関する情報が無かったため、突然現れた、ライバーを差し置いて最多のポリゴン数を誇る(?)彼の姿に、視聴者は沸いた。
 そして始まったトークでは、いちからCEOと舞元力一の3人が鼎談方式でにじさんじをはじめとするVtuberの過去と今と未来を語る、貴重な会となった。

なお、大意を捉えつつ発言を凝縮したため、口調が本来と異なったり、発言の順番が前後している場合があることに留意されたい。


アプリ開発事業から切り替えを決めたきっかけ

田角「四天王が出てきた時期(=アプリ開発終盤=2017年末頃)のVtuber界隈のうねりから、にじさんじをリリースしてみたら想定外の反応を頂いたことがきっかけ。切り替えに何の迷いもなかった
力一「にじさんじ自体が大きなうねりになるとは…」
田角「前回のアップデートまで、アプリに自分の作った痕跡が残っていた」
舞・力「へぇ~!」

好きな配信/これはやられた!と思った企画

田角「ユメグラ(いちからが運営する仮想空間での交流を中心とするサービス)の『おほぉ!』配信。最高過ぎて」
舞・力「笑」
田角「配信自体も面白かったし、普段とは逆のプロモーションを受ける側、クライアントとしての立場となることで得るものがあった」
田角「(ユメグラを見て)『おほぉ!』か、って」
舞元「男として一番出てはいけない声が社長に届いた」
全員「笑」
田角「ユメグラの配信をこう昇華するのか、と感動的だった」
舞元「最初は録画のまま出すつもりだった。シンドくない?と思って力一に相談して、自分が体験した録画を舞元力一の二人で見ていく形になった」

これからのいちからはどこまで行くのか

舞元「海外展開を含むいろんなことをやっていますが…」
田角「抽象的な回答になるが、バーチャルの文化は日本の生み出すコンテンツとして特徴的なものであると思っている。大きな夢としては、バーチャルの文化として日本を代表する世界的企業になりたい。その中で、Vtuberを海外に受け入れてもらえるよう展開しつつ、ユメノグラフィアなどの様々な体験を新規事業でやっていきたい。」
力一「『にじ』の2文字がトレンドに乗ることも珍しくなくなったが、にじバラ収録時等にVtuberやいちからを何回も説明することが多い。ライバーが力になれることはないか」
田角「Vtuberの文化は、長い目で見ればまだまだ短い。他のコンテンツの中で、3年という数字はまだ短いため、Vtuberを流行ではなく、長期的に愛される文化にしていく必要がある。そのため、ファンを魅了するコンテンツ作りが重要になると考えている」
舞元「見ている側からするとまだまだ短いと」
田角「僕らからすると3年ってとても長かったですけどね」
全員「本当に長かった笑」
舞元「文化として根付かせるにはまだファーストステップで、にじフェスもその一歩目だということはスタッフの空気感でライバーも感じている」
力一「根付くとは何かって言うのがありますけども」
田角「世代として愛されることが大事。今は20代前後が中心だが、(この人たちが)30歳、40歳となって、その下の中高生にも楽しんでもらって、1世代ジェネレーションが離れていても好きな人がいるようになれば」
力一「お父さんがスマホ覗いてきて、『お前舞元力一聞いてんのか、学生の頃聞いたよ』みたいな」
全員「笑」
舞元「最近家族にも舞元力一見られてて」
力一「舞元家がこれからのロールモデルでは」
全員「笑」
田角「兆しは見えていますよね」
力一「これからはあえてネットから離れるのも手かも知れない、『献血に行こう!』みたいな、色んな道がありそう」
舞元「色んな文化に波及していけばいいですよね」
力一「ですから田角さんは我々をclubhouseに招待して頂ければ」
全員「笑」

1万人を超えたVtuberの中で、今から始める人、オーディションへ臨む人へのアドバイス

舞元「ついに一万人を超えたとのことで。にじさんじもオーディションをやっているし、個人勢としてやっていきたい人もいると思うんですけど」
田角「真面目なアドバイスとして、まだまだ長いVtuber文化を作っていくのもありつつ、活躍しているVtuberもいる中で今から始めるとすると、どうしても後発組となると考えると、差別化の戦略が重要になる。長いものに巻かれろ戦略(流行りに乗る戦略)も良いが、今まで自分が持っている特徴・ファンに愛される要素を他の誰も持っていない場合、それを押し出していくのが重要。にじさんじのオーディションというより、Vtuberとなるのに」
舞元「僕も『自分ってなんだ』というのをずっと考えながら活動していて」
田角「可愛い、カッコいいのがたくさんいるVtuberの中で、舞元力一は大人に好かれやすいという面で差別化して受け入れられ、勝ち取ったものは大きいと」
力一「正直スキマ産業だなぁ」
全員「笑」
力一「レストランがいっぱい立ってるから、ちっちゃい居酒屋を作ったら意外といいんじゃないかと笑」
舞元「活動していて、個性を出すのは意外と難しい。これやりたいと思っても、大衆の流れ、うねりに流されることはあって難しいけれど、自分を見つめ返して何が大事なんだろうと思ったときに、他のライバーと違う部分を出せていたからこの仕事が出来ていたと思った。これは個人勢にも言えることだと思う」
力一「めげずに続けることが大事。流行っているコンテンツはパイの奪い合いになったりして、思ったほどじゃない瞬間がある。半年とか一年続けることが大事」
舞元「オーディションも難しい。今(いちからは)、どんなライバーを欲しているのか…みたいな。ギラギラした質問ですけど。新人ライバーが来るたびにドキドキする。運営さんはもっとたくさんの人を見ているわけだから、難しいだろうなと思いますけど」
田角「Vtuberとして活動する中では、にじさんじと個人勢にあまり変わりはないのかなって」
舞元「これからVtuberを目指す人はぜひ参考にして頂きたい。そしていつか、一緒に仕事が出来たらいいですね」
力一「いい話を聞いたと思う反面、シビアだなと」
舞元「そういう時代が来たのは事実。爪痕残せている奴は残せているとも思う」
力一「特に個人でやっている人は、パーンと"跳ねる"瞬間って一瞬じゃないですか。コインがひっくり返るみたいに、ある日急にってのがある」


全体を通して

 田角さんと舞元さん、力一さんの三人は、焼き肉を食べに行ったり、麻雀をするなどプライベートでも親交があるようだ。今回のラジオでも、ライバーとの心理的距離の近さが垣間見える。とはいえ、田角さんが表立ってライバーの生放送に出演する機会はあまり無いので、非常に貴重な会であった。
 また、企業の視点から話を聞くことが出来たのは、これから渺渺たるインターネットの海、Vtuberの世界に漕ぎ出さんとする、個性豊かで勇敢な人たちの糧となるだろう。


 3周年の節目を迎えたにじさんじは、これからも「田角 with me」で、日本発のコンテンツ産業をけん引する、魅力にあふれたグループであり続ける。


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