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ミステリゲーム紹介 「ミラーリングサマー」

フリーゲーム界の浦賀和宏


この「ミラーリングサマー」という作品は、ノベルゲームコレクションで公開されているフリーゲームです。

ノベルゲームコレクション内の感想を見てもらうと分かりますが、ネタバレを隠している感想や「どんでん返し」などミステリ的にも期待できそうな要素があります。

二つの夏。二人の夏―――。

生き別れた双子の兄を探すために、故郷二示申(ふかみ)町へと下り立った主人公、朋樹。

記憶に無い町。
記憶から消えた町。

そして、町で出会う兄の過去を知る少女たちとの出会い。

あの日無くしたもの。
求めてやまなかったもの。

けん玉の軽快な音と蝉の鳴き声。

兄を探す中で、朋樹は自らの記憶に秘められた真実に気づいていく―――。

「人はミラーリング(類似性)を求めている。自分と限りなく同じ人を、好きになるんだ―――」

上のあらすじを見てもらうとわかるように、記憶を無くした主人公が記憶を取り戻すために田舎へ行く話となっています。
主人公の行く先で個性的な人物が次々と現れ、どれも奇妙な性格をしています。とくに主人公の『妹』を名乗る謎の女性は強烈で、現れるのは序盤なのですが、ブラバポイントかもしれません。

『妹』


プレイ当時の感想では、「あいつウザいなぁ…」だったのですが、後半になってその感想を改めました。
ウザい対象だった『妹』が愛おしいと思えるほどでした。

本作の見所は、後半の怒涛の伏線回収です。
昨今のトリック一発勝負のようなミステリゲーは色々ありますが、「ミラーリングサマー」は別格。
トリックは何重にも重なり合い、普通ならば複雑にし過ぎて破綻しそうなところを、美しくまとめています。
ミステリに精通している人たちなら、プレイ後に思い出すであろう作家が「浦賀和宏」なのです。彼のように複雑なトリックを破綻させない手腕は、この作品も負けていませんでした。

マイナー過ぎて、ミステリ読者にはあまり知られていないフリーゲーム。
ミステリを何冊か読んでトリック耐性もついた自分でも凄いと思った「ミラーリングサマー」は、他の人も多分凄いと思うだろう作品でした。
プレイ時間は3時間弱なので、時間がある人はプレイしてみてはどうでしょうか。

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