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ひとり出版社1年目日記⑪いよいよ印刷!打ち合わせから本番印刷まで

今年3月にできた出版社 Studio K。年内に1冊、木下晃希さんの画集「KOKI ZOO」を出版することを目指し、着々と準備中です。その記録を残す「1年目日記」、今回は、すごく緊張した印刷のことを書いておきます。



印刷はどこに頼む?

どこに頼む?と書きましたが、私の場合、藤原印刷さんがいつのまにか頭の中にありました。

noteなどで気になりはじめ、そこからイベントをのぞいたりして、何でも相談できそうなオープンな雰囲気に惹かれていたのです。

製本をお願いしている美篶堂の上島明子さん、編集者の永岡綾さん、デザイナーの守屋史世さんからも「いいと思う!」とお墨付きが。

さらに「まちがいない!」と確信したのは、7月の「星々文芸博」でおとなりだったクルミド出版さんに『うさぎのクーモ』を見せていただいた時。銅版画の繊細な線、色のうつろいがすばらしく、本が伝えたいメッセージを見事に支えていました。

「藤原印刷さんが一緒になってすごく考えてくれたの!」というお話もうかがいました。


画集の決め手になる印刷


すでに何度か一緒にお仕事をしているという美篶堂の上島明子さん、デザイナーの守屋文世さんにつないでいただいて、8月にいよいよ初顔合わせ。

守屋さんにはその打ち合わせにも同行をお願いしました。印刷のことをよくわかってくださっているので心強いかぎり。

何しろ画集です。印刷は決め手になるといっても過言ではないでしょう。また、今回の本に収載する作品はすべてポスカ画なので、その鮮やかな色がどのように出るのかも気になります。

そんなこんなの不安を抱えながらの打ち合わせには、原画も持参。

対応してくださった営業担当の藤原章次さんは、思っていたとおり、こちらの話をよく聞いてくれて、諸々の不安にわかりやすく答えてくれました。

再現性をどのように求めるのか、インキの種類にはどのようなものがあるのか、補正はどれくらいするのかなどについて、これまでのお仕事の例、しかも最終形だけでなく、途中経過の比較例も見せてくださって、費用もその都度教えていただきました。予算の中でベストな方法を探ってくださったのもありがたかったです。

この打ち合わせで、インキは基本のCMYKに2色の蛍光色を特別に調合した特色インキを使用することに決定。今回の作品はポスカ画で、蛍光色も使っているので、値段は高くなるけれど、そうしない選択肢はありません。

一方で、紙は、最初の想定より少し安価なものに変更、色校正の回数も必要最小限にしてコスト増を抑えることにしました。

データの補正をしてもらうことも依頼、一部の作品については、原画をお預けし、スキャニングもお願いしました。

特色インキ、スキャニング、補正はそれぞれ料金がかかりますが、「こうすればよくなる」がわかっていて、やめることができない性格です(良くも悪くも……)

料金も、文字通りケタ違いなら諦めもつきますが、「自分がもうちょっとどこかで働けばなんとかなる」とか思ってしまいます。写真家として作品をつくるのとは違うのだと思いながら、同じことをしてしまいます。


色校正の打ち合わせは綿密に


9月になってから、色校正が送られてきました。特色インキはキレイだけど、ちょっと全体的に暗いかなという印象。守屋さんも「スミっぽいですね」と。

それを持って、また藤原さんと打ち合わせ。今回は守屋さん、編集の永岡さんも一緒に。

なんでも相談にのってくれる!クリエイターに慕われている藤原さん

原画と照らし合わせて、全体に共通するポイントを抽出してくれる藤原さんは頼もしい。色校正で気になっていたスミっぽさを取って、きっぱりさせることが全体の方向性。それからポイントとなる色を一つひとつ検討。

あとは「絶対に満足していただけるようにします!」という言葉を信用するしかありません。プリンティングディレクターの経歴をお聞きして、私としては、これまで手がけられた写真集がわかったのは大きな安心材料でした。印刷立ち会いは3日後です!


印刷立ち会いで満足の仕上がり!


朝7時のあずさ1号で新宿から藤原印刷の本社工場がある松本に向かいます。いよいよ本番印刷。前夜はよく眠れず。

工場で迎えてくれたのはプリンティングディレクターの花岡秀明さん。さっそく1枚目を出してくれて、「どうぞこちらへ」と呼ばれました。遠目からでも守屋さんから「わあ、きれい!」という声が。

花岡さんは、色校正でお願いしたことをしっかり反映してくれたうえで、自分の解釈も加えて、本になった時の印象をさらに力強くしてくれていました。

経験豊富で頼もしいプリンティングディレクターの花岡さん
結果を見てにっこりしている花岡さんと機長
みなさま、ほんとうにありがとうございました!

作家にとって重要な赤と黄色が特にきっぱりしたのも、ポスカ特有の濃度感が高まったのもよかったです。それでいて、ペンを走らせた跡は残っているのがうれしい。インキはかなり盛っているものの、UV印刷機で高速乾燥および硬化させるので、紙への沈み込みがないそうです。

「晃希さんの絵のポジティブな印象を表現したかった」という言葉に、「思わず笑顔になる」という作家ファンの声が重なります。藤原印刷さんの名刺に入っている「心刷」の言葉の意味がすとんと腹落ちしました。


印刷風景の動画を作りました!


自社のウェブサイトでは、『KOKI ZOO』の特設ページを作って、こだわりポイントを中心に、メイキングストーリーを順次紹介しようと思っています。

「藤原印刷さん x KOKI ZOO」の動画も作りました。よろしければご覧ください! UV印刷機がじゃんじゃん回転する音がBGMです。

動画を直接貼り付けられないようなので、特設ページをご覧いただければうれしいです!

いちばん緊張していた印刷がうまくいって、かなりホッとしました。藤原印刷のみなさま、ほんとうにありがとうございました!

(11月3日追記)インスタが貼り付けられることを知ったので貼っておきます。こちらからでも!(インスタ、プロモーションに必要かと思って始めたんですが、なかなか慣れません。何かうまくいっていなかったらすみません……)



きょうもここまでお読みいただきありがとうございました!「1年目日記」まだ続きます。よろしければお付き合いください。

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