映画感想文「シンドラーのリスト」
「シンドラーのリスト」について
1993年公開、アメリカ映画。
監督は、スティーブン・スピルバーグ(ユダヤ系アメリカ人)。
1994年の第66回アカデミー賞では作品賞、監督賞、脚色賞、撮影賞、編集賞、美術賞、作曲賞の7部門で受賞した。
第二次世界大戦中のユダヤ人を描いた物語で、ゲットーやホロコースト、そして理不尽なユダヤ人虐殺なども生々しく登場する。
そんな完全に詰んだ状態のユダヤ人たちを、主人公のシンドラーが自身の経営する工場に雇い入れることで救っていくという物語。
実話に基づいた作品であり、心打たれるシーンが随所に出てくる3時間を超える大作。
この映画を観た理由
嫁が「名前だけは聞いたことある」という理由でBSで放送していたのを録画していた。
僕も観たことがなかったので、クリスマスの夜に観た。
ココに刺さった
タイトルにもなっている「シンドラーのリスト」とは、ユダヤ人の名前が載ったリストのことで作中にも登場する。
そして、そのリストに書かれた名前が次々に呼ばれるシーンが有る。
当然のことながら人間一人ひとりには名前がある。
親から子へ、特別な希望と強い願いを込めて付けられた名前。
虐殺されたユダヤ人にも、銃を向けたナチス兵にも名前がある。
しかし歴史上、無残にも死んでいったユダヤ人一人ひとりの名前に注目されることはない。
名前というものに生きた証を重ね合わせたかったのだろうか。
映画タイトルから物語全般を通じて、人の名前と生というものの尊さや重みを感じずにいられなかった。
この映画を観終えた後
クリスマスの夜に観るには、ある意味うってつけだったかもしれない。
生きていることのありがたさを噛み締められた。
そしてこのユダヤ人たちの悲劇に比べれば、コロナの閉塞感なんて充分に耐えられるし、耐えなければならない歯痛の一種のように思えた。
コロナ禍の規制や自粛があったとしても、ユダヤ人たちとは違い誰にでも一定以上の自由の余白は残されているのだから。
ちなみにラスト・シーンで登場する「石」は、ユダヤの古い風習のようなもので、日本でいうところの献花や蝋燭と同じような意味合いがあるそうです。