(稼働)道端のかなへび

こんばんは、馬秩です。


最近、Aタイプが面白い。
リーチ目だのなんだのが出たりするのがたまらなく気持ち良い。
そしてその快楽を味わう為に、今日もパチンコ屋へ向かう。


手持ちは2万円しか無く、20スロなら瞬きをする内に消えてしまうような額なので10スロを打つ。


4000円を入れるも物言わぬ台に飽きたので、マジハロ5に着席。
追加は2000円で、1000枚も出た。
実に順調なので、もう一度ノーマルに舞い戻る。


一時間後、そこには空のドル箱が一つあった。
勝っていた所で辞めれば良いのになんていう後悔が先に立つはずも無く、消えたメダルの幻影を追って20スロが置いてある店に歩いて行く事にした。


そんな道中でかなへびを見かけた。
アスファルトの上でじっとしているので、なんだかちょっかいをかけたくなった。
久しぶりに触るので、おっかなびっくりで何度かの逡巡を経て、ようやく人差し指で触れる事が出来た。


動かない。
よく見れば尻尾は切れているし、足は力無くだらんとしている。
寝ている可能性を考えて持ち上げてみるも、事切れているのが確証に変わっただけだった。


このままアスファルトの上で乾いていくのはなんだか忍びない。
土のある場所まで運んで、草をかき分けた所に置いた。


思えば俺もこのかなへびと似ている。
切り離す尻尾は持っていないけれど身銭を切っているし、自切するのと同じく膨大なエネルギーを消費している。
そのまま道端で斃れてしまう所なんか......と、考えれば考える程に俺である。


しかし今の俺は、それを見て帰ろうかとなる程感傷的では無い。
衝動に突き動かされるまま動いているだけなので、パチンコ屋に行ってバチバチの勝負をする事だけしか頭に無いのだ。


そうして店に着く。
とりあえずディスクアップを触ると3000円でビッグ、そこからとろとろと連チャンして800枚。
少し飲ませて600枚を流した。


細い綱を渡るようなレート上昇が功を奏した。
ハードルが高ければ高い程乗り越えた時に脳から汁が出るのである。
無論、その前には無数の俺の亡骸が積もっている。


やっと取り返せたので俺は電車に乗った。
文章として繋がっていないけれど、行動はこの通りなのだから仕方が無い。
移動した店でクラセレとハイハイシオサイを打つ。9000円が消える。
ジャグラーに移動し1000円を入れると残り2枚で光る。
隣のおじいさんがメダルを1枚くれたので速攻で回し、メダルが下皿に払い出された所ですぐに返した。
その後はビッグ2連で終了。途中でおじいさんのボーナスを揃えたりした。


結局リーチ目では無く強烈な光こそが答えなのだ、そう思いつつ400枚を持ってクラセレへ戻った。
そう、まだ帰らない。時刻は午後の9時。
島には誰も居ず、店内BGMのユーロビートがやけに良く聞こえた。


さっきまであんなに響かなかったクラセレが、機械割101%を取り返すかのように連チャンした。
結局手持ちは700枚を超え、400枚を切り、ジャグラーに戻って全て呑ませた。


俺はいつもこれだ。
最近パチスロを長時間打つ事に慣れ過ぎたせいで、元から下手だった辞め時が更に訳の分からないものになっている。


時刻は22時10分。
もう帰らなければならないけれど、とある事に気付いた。
電車賃分の小銭が無いので、このままだと札を崩さないといけないのだ。
パチンカーは札を崩す事を嫌う。多分俺だけかもしれないけれど、サンドに入れられる金は多ければ多いほど良い。


なので、熟慮して4円のトキオスペシャルに座った。
そのワンプッシュ分で帰れるとか、そんな事はどうでも良いのだ。
朝から打っていたので、出来る限り最後まで足掻きたい。


1000円を入れた所でV入賞し16R、500発入れた所でもう一度V入賞し、吸い込まれるように3Rになったのでそれを呑ませてヤメ。
1000円使って1600円返ってきたので札は無事である。
最後の最後に、台が俺に向かってアルカイックスマイルを見せた気がした。


そうして今は電車内である。
財布の中身を全て無くさなくて良かったと言う思いと半壊した絶望。
やりきれないような、いつも通りで安心するような、よく分からない気分である。


最寄りの駅が近付いてきたので、ここら辺で終わろうと思う。


それではまた。

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