本当の学校は、家庭の中にある。
どうもうまちゃん先生です。
早速算数の問題です。
チョコレートを3つ買って、500円を払うと、お釣りが230円でした。チョコレート1つはいくらでしょう。
この問題を説明できますでしょうか。
「こんなの簡単だよ」と大人なら思われるでしょう。ただ、生きていく上でとても重要な問題なのです。
ここで必要なのは文章から式に変換する力。ずばり「要約力」なのです。
実はこれは国語の文章題とも同じ力で、「結局どんな話なのか」というのを自分で説明できるかという力です。
算数が文章を式に言い換え、国語は文章を別の文章に言い換えているのです。よって、必要な力はどちらも同じ、要約力です。
この要約力こそが、実はめちゃくちゃ人として大切な能力だったりします。
例えば、
「人の話を理解する事」
結局こう言いたいのね。こんな話なのね。と把握する事。
「自分の意見を伝えられる事」
自分の考えを整理し、適切な言葉で伝える事。
「物事を正しく捉える事」
「こういう事を言ったからこの人は怒ったんだな」と論理的に考える事。
物事を正しく捉え、伝える力。それが要約力です。
以前、算数が本当に出来ない生徒と保護者とある面談をしました。
小学4年生の女の子で、算数の計算が非常に遅いのもありますが、それよりも深刻なのは文章題でした。
特徴としては、
文章題だと手が止まる。式を書けない。わからないからとりあえず数字を足したり引いたりしてみる。そんな状態なので問題をほぼ間違えてしまい、自信が全くない。例え正解していたとしても、挙手も絶対にしない。という状況でした。
母「うちの子は本当に算数が出来ないんです…どうすればいいですか」
僕「そうですね…式が書けないのは何をしていいかわからないのかな?」
生徒「うん」
僕「じゃあ式じゃなく言葉で説明してみて。(答えを見せながら)この式は何を表しているかな?」
生徒「・・・」
先ほどの問題
チョコレートを3つ買って、500円を払うと、お釣りが230円でした。チョコレート1つはいくらでしょう。
まず最初は 500-230=270 という式ですが、ここでこの式の意味を考えさせました。
この式の意味は「チョコレート3つの代金を表している」です。
しかし、その子は答えられませんでした。
僕「大丈夫、ここで出来なくても何の問題も無いんだよ。」
生徒「・・・」
僕「間違える事なんか、大した問題じゃない。もしかしたら、間違えたらどうしようと思って、今まで手が動かなかったんじゃないかな?」
生徒「・・・」
僕「友達からどう思われるのかも気になっちゃって、手を挙げることも出来なくなったんだよね。
生徒「・・・」
僕「勉強以外でも「変なこと言ったらどうしよう」「どう思われるだろう」って、何も言えなくなっちゃったこと、あるんじゃないかな?」
生徒「・・・」(涙を流す)
僕「大丈夫。最初からできる人なんかいない。たくさんたくさん間違えて少しづつできるようになっていこうね。」
生徒「・・・」(泣きながらうなづく)
ここで、間違える事を極端に恐れて、今までアウトプットする練習量が極端に少なかった事がわかりました。
この後、お母さんに要約力の話をし、生徒にはある練習法を伝えました。
僕「今日あった事をたくさんお母さんに話してね。今日学校でどんな事を習って、どう思ったか。どんな話を友達として、どう思ったか。そのお話自体が練習なんだよ。」
これこそが、要約力を鍛える、最も身近な方法なのです。「何があって、どう思ったか」それを人に伝えることこそが、最上の勉強法なのです。
しかし、これを伝えた瞬間、お母さんが泣き出しました。
母「私がいけないんです…。仕事で忙しく、この子はほとんど祖母と祖父に預けている状況で…。この子ともっと話せれば…」
涙を流しながら、悲痛の思いでした。
僕「どうか、ご自分を責めないで下さい。そんなつもりではありませんでした。すみません。何か我々にできる事あれば、何でもおっしゃってください。」
お母さんの思いを受け、僕も涙を流し、その面談での3人全員が泣くという状況になりました。
最後には「お母さんと交換日記をする」という解決策に落ち着き、その面談は終了しました。
我々教師にできることは本当に少ないと思わされた面談でした。
ただ、家族の思いと、生徒の思い、それがあればどんな事でも乗り越えていける。
そのお手伝いが教師にできれば、こんなに嬉しいことはないと思います。
その子はそこからみるみる成績をあげました。要約の練習かはわかりませんが、国語がとても伸びました。あれだけ苦手だった算数も少しづつですが、できるようになっています。今も一緒に頑張っています。
本当の学びの場は、人との関わりの中、特に家族との関わりの中にあると気づかされました。
僕も教師として、できる限りの事を生徒たちにしてあげたいと思います。
今日も頑張ります。
うまちゃん先生でした。