資格取得の面談で気を付けること
皆さんご存じのとおり、薬剤師は専門資格を取得するために面談が設けられていることがあります。
今後面談試験を控えている方向けに今回は私が受験したがん認定資格の重要ポイントを独断と偏見交じりで記載します
ズバリ!抑えておくべきことはこの3点!!
独断と偏見で絶対に抑えておくべきポイントを3つに絞りました!
①症例として矛盾はないんか!?
②介入があればその根拠はなんぞや?
③その後患者はどうなったの??
①症例として矛盾していないんか!?
これ、めっちゃ重要です。
「大腸がんなのにレンビマ単独療法してます」
「悪心Grade4だけどケモ継続提案しました」
くらいぶっ飛んだ内容ではその後に素晴らしい介入内容を記載しても大きな原点になってしまうでしょう。
なぜなら『標準的治療から逸脱しているから』です!!
当然ですが薬物治療を行うにはガイドラインに沿った標準的治療が推奨されています。なのに日々の自身の取り組みを説明する場面ガイドラインから逸脱した症例を提出するのはナンセンスです。これでは
『この人はなにもわかってないんだろうな~』
と審査官に思われて一発KOです!
こんなことにならないためにも
『標準治療から逸脱していない治療内容、介入内容の症例』
を面接の際に出すことをお勧めします。
②介入があればその根拠はなんぞや?
これもマジで重要です。
当たり前ですが薬は公的文書に基づいた使用が求められています。ガイドライン以外で言えば添付文書や適正使用ガイドなどが公的文書に当たります。
例えばアフリベルセプト(ザルトラップ®)の添付文書を見てみます。
この有害事象の欄にはCTCAEのGradeに応じた減量・休薬の記載されており、具体的には以下のとおりです。
万が一、アフリベルセプトを使っていて収縮期血圧が150オーバーしていても休薬しないでいたら添付文書(公的文書)のルールを破った治療、つまり
『公的文書から逸脱した治療を行っている症例』
とみなされます。
面接に出す症例以前の問題として患者が最後まで治療を継続するためには有害事象の見落としはあってはなりません。特にバイタルサインを確認しづらい薬局薬剤師は見落としの多い評価項目になので常日頃からチェックし、薬歴に記載する習慣をつけましょう。
+α)CTCAEのGrade評価について
あくまで個人的見解も入りますがGrade1-2は支持療法や休薬提案など薬局薬剤師の介入でどうにかなることが多いです(もちろん例外はあります)
しかし、Grade3以上になるとこれはもう入院治療や緊急受診が必要です。
多くの方の症例添削をしてきましたが皆さんGrade3と評価しているのに
「情報提供書を提出した」程度で介入を止めてしまっているケースが多すぎるように思われます。今一度CTCAE分類の見直しおよび身近スタッフと相談して患者のリスク回避に努めるよう気を付けてみてください!!
③その後患者はどうなったの??
社内社外問わず症例査読をしてきましたが患者のその後について記載がされていない症例が散見されます。例えば
『便秘Grade2のため酸化マグネシウムを提案し、次回から処方された』
といった文書です。この一文を読んだだけでは
『そのあと便秘どうなったん!?改善したんか、してないんか!?』
と査読者は困ってしまいます。症例介入点を記載する際には
『どんな状態だったので、こういった介入をし、最終的にこのような結果になりました』
までしっかり記載しましょう。
記載例
初めて症例作成する方だとここまで読んでも「結局どうすればいいの?」
と思われるかもしれませんので架空の症例を2例記載します。
【オピオイドによる便秘症(OIC)患者への介入】
(問題点)
がん性疼痛によりオキシコドンを追加になってから便秘がつらい
(介入点)
オキシコドンによるオピオイド性便秘症(以下、OICと記載)の疑いがある。聴取内容から支持療法提案必要と判断した。腎機能に問題点がないことを確認したうえで経済的な問題点からも酸化マグネシウム錠330mg1回1錠毎食後の処方提案し、提案受理される。次回服薬指導時に便秘状態聴取すると「毎食後だと下痢になるから調整しながら飲んでる」と確認。便秘Grade1へ改善しており継続妥当と判断し、経過観察となる。
以上のような記載であれば初めのGrade不明でも
「根拠をもって」「どんな提案をし」「その後どうなったか」
が記載されているので査読者が経過を把握しやすい文書になります。
またこの記載例では
『OICだったらナルデメジン(スインプロイク®)を提案しなかった理由は何ですか』という釣り針を仕掛けています。うまくいけば
『ナルデメジンも考慮に入れましたが患者の経済的事情からまずは負担の少ない酸化マグネシウムを提案しました』
とカウンター的回答ができ、その後リラックスして面接を受けることができるのではないでしょうか。
続いて2例目の紹介です。
【カペシタビンでの手足症候群】
(問題点)
カペシタビンを使用してから手足が赤くなり、踵は固くなって痛みがある。日常生活には支障がない。
(提案内容)
服薬指導時に「日常生活で支障が出ない程度の手足の痛みがあると聴取。状態確認すると発赤が出ていることからカペシタビンでの手足症候群Grade1を疑った。病院へ電話にて状況提供し、ヘパリン製剤および尿素クリームを肥厚部塗布を提案。提案受理され、患者へはFTUを用いた外用剤使用方法を指導した。次回来局時には痛みは残っているものの症状改善傾向であり、発赤改善傾向であること聴取。踵肥厚部についても改善していることを確認した。その後も継続的に症状経過を確認し、HFSGrade1で状態安定している」
…こんな感じでしょうか?このように
【具体的に・客観性を持った評価を実施する】
事がとても重要です。
当たり前ですが査読者は提出される症例について前情報一切ない状態で読むことになります。そのような方でも容易に内容が把握できるよう時系列に沿った具体的で客観性をもった評価をすることが重要ではないでしょうか。
最後に
症例を記載する際には
『査読者(第三者)が読んだときにその患者の状態を具体的に想像できる』
事が最も重要になります。
そのためにも書き手と読み手の齟齬を減らすために
①問題点
②介入ポイント
③その後の経過
を記載してあることが必須になります。
どの学会でも文字数制限があり記載したいことが十分に書けないことが多々ありますが、
『記載症例で一番の問題点はなんだったんだろう』
という考えから記載していくと自然に不要な内容が削れて行きます。
万が一迷うことがあればツイッター(現X)でコメントやメッセージいただければアドバイスしますのでお気軽にお声がけください('ω')ノシ