祖母の背中
いま読み始めた岸惠子さんの自伝に、幼少期の思い出について書かれているのを読んでいて、自分の一番最初の記憶って何だろうかと考えていた。
これが一番最初の記憶なのか自信はないんだけど。
小さい頃の記憶となると、祖母におんぶされて家の隣の神社にお参りに行ってたときの記憶な気がする。
私をおんぶする祖母の背中が、むにょむにょー母と違い、祖母はむにょむにょしていたような気がするーしていたこと。
「えりちゃん、ちゃんとお参りするんだよ」と言う声。
私をおんぶしながらゆっくりと進む足取り。
でもそれも、私が後から捏造した記憶かもしれない。あんまり自信がない。
祖母が亡くなったいまとなっては、それが本当だったのかも分からない。祖母に触れて、感触を知ることも、もうできない。
私は、祖母のことが本当に好きじゃないのだけど、小さい頃の記憶を遡ると、祖母との会話ややり取りがやけに記憶に残っていることに気づく。
祖母がいつもおやつに出してくれたココナッツサブレは、いまでも好きじゃないし。
自分の中に祖母を感じることがあれば、ひどい自己嫌悪に陥るし。
でも、記憶に残るほど、私は祖母と話すことが多かったのだろうし、祖母はきっと私のことを気に入っていたのだろう。
そう思うと、好きになれなかったのはほんの少し申し訳ない気持ちになる。葬式にも行かない、きちんとお別れができない孫ですまないねという気持ちになる。
まあ、でも、祖母が自分の性格を変えられないように、私も性格が変えられなかっただけで。
そんなことって生きていればいくらでもあるんだよな。
だから、まあ、いいかと思って寝ます。
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