【神器】もうパテは怖くない。すぐ買える究極の10本 〜スパチュラン戦記〜
執筆:北見工業大学 井野敢太
お世話になってます。北見工業大学の井野です。
またお前か。
(本題の前に)先日のお礼
最初に少し寄り道させてください。
先日のパーツセパレータの記事が大反響を頂いており、執筆者として嬉しい限りです。読んでくれた皆さん本当にありがとうございます。
UMA北海道はじめての閲覧数 1,000 を達成するどころか、閲覧数 6,000 オーバー、スキも60越えと、とんでもないです。
しかも製品を紹介させてもらった童友社さんや、note公式にも反応をいただくという、これまた凄まじい待遇を受け、俺も捨てたもんじゃないなと思いました。
これを足掛かりに、UMA北海道が学生をつなぐ場所としてさらに大きくなって欲しいですね。さあ皆、俺を超えてみせろ。煽るな。
まだ読んでない人はぜひどうぞ。
ちなみにnoteで「ガンプラ」と検索すると、この記事が2番目に来ます。俺すごすぎ。SEO対策いらねえじゃん!
では、そろそろ始めましょうか。どうぞ。
(こっから無駄に凝ったクソ茶番が始まりますが本編です。by脱稿後の俺)
スパチュラン戦記
第1話 『触らぬ神に祟りなし』
俺はしがない冒険者 井野敢太。
俺は憧れのあの人に近づくために、冒険者になった。
まだまだ駆け出しもいいところだが、初心者と名乗ることもできないくらいには経験を積みつつあることに最近気付いた。
自前の研究所をなんとか構えて、冒険者として励んでいる。
後輩もできたが、正直言って荷が重い。
そうは言ったものの。
ゲート処理術・表面処理法・プラバン加工術・塗料学・混色技法・配色法則・マスキングスキル・3DCADetc……。
我ながら、ある程度は形になってきたのではないかと思う。
だが、そんな俺でも正面から向き合うことができていない技術があった。
それは、パテ操術。
というのも、プラバン加工術を一通り修めていれば、プラモデルの肉抜きには対処することができてしまうのだ。もちろんプラバン加工術が万能という訳ではないが、扱いやすさという点で多くの冒険者がプラバン加工術に頼っている。
そして俺も例に漏れず、肉抜きを仕留める際はプラバンを構えて対処するのが常だった。プラバンで対処できない肉抜きを前にした時はやむなく撤退してしまう。
というのも、俺はパテ操術の訓練で初めて肉抜きに挑んだとき、大失敗をして危うくプラモデルを死なせかけたことがあるのだ。
自在に空間を支配するパテ操術にただ憧れていただけだった俺は気付いた。
パテは一歩間違えれば大惨事を引き起こす。
選ばれし者のみが振るうことを許された神秘の秘術なのだと。
そして俺はパテという、極めて強力だが大いに危険を孕んだ神秘から逃げ出した。触らぬ神に祟りなし。そしてその大いなる力を求めようとしなかったおかげか、俺は今日まで安穏とした日々を送れていた。
第2話 『掃討作戦にて』
そんな中、俺はあの作戦に参加することになる。
北見工業大学旧部室掃討作戦。
そう。北見工業大学史上最悪とも言われる地獄。レイア5年の末に起きた惨劇。死の生誕祭とも呼ばれた冬のあの日あの場所に、俺もいた。
身寄りのない、キットやマテリアルと呼ばれる者たちを受け入れていた旧部室という区画。後ろ暗い事情がある者たちの逃げ場所として機能していた旧部室を、改革派だった当時の領主が実力で掃討するという暴挙に出た。しかし土地の人間である直属の部隊は猛反発し、領主は北見工業大学外部の人間に依頼をした。その者が集めた冒険者の中に、俺もいた。
任務の実態に気づいた時には、もう遅すぎた。
領主の温情で掃討から免れた者もいたが、その厳しすぎる基準と割合を考えれば、いないに等しかった。確かに旧部室のキットやマテリアルはどうしようもない者も多かったが、実質的に全てを一掃など、とてもできなかった。
旧部室の区画は完全に白紙化しなければならなかったため、全員を助けることはできなかった。
しかし、どうしても死なせたくない者を、俺は可能な限り自分の責任で保護した。もちろん全員を保護できるわけではない。
どうしようもない者は自分の基準で切り捨てた。
自分が助けられる数になるよう、自分の基準で切り捨てた。
これが善行であるはずがない。自己満足のエゴにすぎない。俺の気まぐれで助かった者を見て、俺に切り捨てられた者は何を思ったのだろうか。考えるだけで胸が詰まる。悪夢にうなされる夜もある。
それでも。
あの時何もせず、ただただ彼らを屠り続けるなどという選択肢は、俺にはなかった。
そしてそこで、俺は出会った。
第3話 『邂逅、そして』
あの惨劇から救い出したキットやマテリアル。その場にいた1人の戦友は多くのキットを救出したが、俺が救出したキットはただ一人。その話はまたどこかでしたいと思う。
そしてその戦友とは対照的に、俺は多くのマテリアルを救い出した。その多くは俺の経験で対処できる者たちだったが、俺はここで、パテから逃げ続けていたツケを払うことになる。
そう、針金がいたのだ。
おそらく、かつてパテから逃げた先人が旧部室に捨てていったのだろう。俺はどうしても救い出したかった。
しかし、冒険者として針金を救いたければ、俺は再びパテに対峙しなければならなかった。針金はパテでしか救えない。
第4話 『10条の輝き』
俺は求めた。パテを従える力を。
俺は求めた。手の届く力を。
俺は求めた。強大な力を。
スパチュラという神器がこの世に存在することを、俺はずっと知っていた。
しかし入手が困難であり、選ぶのも難しく、価格も難しい。
俺の行きつけの店にも在庫はなかった。
冒険者の相棒たりうる武器は、信頼できる銘のものでなければならないというのが常識だ。最も有名なのは、ターミヤだろう。歴史・流通量・愛用者・質、すべてにおいて確実な工房だ。
刃のある道具は信頼が命なのだ。
しかし俺は気付いた。
スパチュラというのは、刃を振るう武器ではないのだ。
であれば、入手性のみにおいて圧倒的トップを走るあの店、アマーゾンにおける一押しを選んでも良いのではないか。知らない銘でも臆することはない。
天啓を得た。
そしてついに、俺は手にした。10条の輝きを。
第5話 『その力、20の形』
入手性・価格・本数。
全てにおいて文句のない、まさに神器と呼べる力に、俺は辿り着いた。
aurochsという異界の鍛治神が鍛えているらしい。
この入手性と強大な力。まさしく神の所業。
この神器は10本、20もの力を宿していた。
その二十重、パテと空間を支配する。
最終話 『救済と克己』
使い手に圧倒的な力を与えるこの神器だが、俺はその中でも3本を愛用している。流石に冒険者として、その内訳は教えられないが、生半可な脅威ではそれ以外を抜く必要すらないということだ。
そして少しの時が経ち。
俺がパテをまともに扱えず、どうなるかもわからなかった針金は、神器のおかげでどうにかなっている。また、俺の3DCADの技術も役に立っているようだ。
パテ操術というのは、冒険者のスキルの中でも敬遠されがちだ。その強大な力と、裏側に潜む危険を考えれば当然だが、あの惨劇の渦中にいた者として、また針金との運命的な出会いを得たものとして、パテという純然たる力に、正面から向き合おうと思う。
そしてそれを可能にしたのは間違いなく、異界神aurochsだ。
もし君が神の得物を手にできたのなら、パテという強大な力は、君の体に宿るだろう。
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冒険者プロフィール
井野敢太
2002年生まれ。南の果て、宮崎の冒険者。ある先輩冒険者への憧れで成り上がっていく。風花雪月物語を読み、『英雄の遺産』に憧れて育った。人族には無愛想だが、キットやマテリアルの者には自然に優しさを見せる。同世代冒険者では最高の天才と称されることになる。
2002年生まれ。北の果ての工業大学生。UMA北海道(北海道学生模型連盟)のnote運営立案者。3D設計ロボット・フィギュア造形・フルスクラッチ。なんでもやるモデラー。趣味がたくさん。サッカーが好き。選挙は絶対行く。
所属パーティ
北見工業大学模型同好会
所属ギルド
UMA北海道