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blew up spirit 7

「彩乃ちゃんがやりたい事なら僕も応援するよ」
新山アキラはめい花を抱きかかえながら彩乃に言った
「本当に?嬉しい。お店を辞めないといけないから、反対されるかと思った」
彩乃はアキラに生活費とは別に仕事の仲介手数料として収入の10%を支払っていた。
「彩乃ちゃんの気持ちが第一だよ。それに、やるならめい花ちゃんの面倒を見る人間も必要だしね」
めい花は膨れ顔で言った
「この前は、ママが迎えに来てくれるのずっと待ってたんだよ」
彩乃が申し訳なさげに言う
「本当にごめんなさい…」
「知り合いに腕の良い車の業者がいるんだ。紹介してあげるよ。今度その手伝ってくれる学生の子も一緒に打ち合わせに行こう」
「本当に?助かる」

「キッチンカーの中って思ったより広いんですね!」
鏑木紗英がはしゃぐ様にキッチンカーのコンテナ部分に乗り込んだ。
休日を利用し彩乃とめい花とアキラと紗英の四人で郊外にあるキッチンカーの製造会社に見学に来ていた。
「これは1.5tタイプで大き目のものです。3人くらいは入れますよ。エアコンも付いていて快適です。このタイプだと新車で500万ですね」
業者が説明する。
「え~高っか~!」
驚く紗英にアキラが言う
「中古ならもっと安いけどね。でも長く続けるつもりなら新車が一番だよ。大事な相棒だからね」
紗英は神妙な面持ちで言った
「なるほど、そういうもんか…エアコンは絶対欲しいな。夏場とか大変じゃない?」
めい花はを抱きかかえた彩乃が言う
「そうなるとやっぱり1.5tかな。紗英ちゃんが手伝ってくれるなら広さも必要になるし、給排水も大きくしてクレープ以外にもメニュー増やしてもいいかもね」
「フライヤーつけてドーナツとかフライドポテトもいいんじゃない?」
「そう言うサイドメニューもいいね。でも油の処理とか掃除が大変そう」
「あーそれはあるかも…」
彩乃と紗英はキッチンカーの中で熱心にやり取りを続けている。アキラはめい花が退屈しない様にあやしていた。
「そうだ!話変わるけど、今日は役に立ちそうな話があってそれも聞いて欲しいんだった」
紗英が「新規事業応援補助金」と書かれた書類を取り出した。
「この補助金が彩乃さんの事業で利用できるんじゃないかと思って」
彩乃は少し不安げに書類をめくった
「教えてくれてありがとう。でもこう言うの私苦手で…難しそう」
「大丈夫!私も協力して申請するから、一応経済学部なんだ。受かったらキッチンカー代金の50%を出してもらえるし、やるだけやってみようよ!」
「うん、ありがとう!」
彩乃はこの業者に500万で新車の1.5tのキッチンカーを注文した。完成は半年後。それまでに補助金の申請も並行する。
「今日は本当にありがとう」
紗英を見送り、アキラの車で3人は帰路についた
疲れためい花はチャイルドシートで眠りについている
「アキラ君、今日はありがとう。良い業者さんを紹介してくれて」
「とんでもない、彩乃ちゃんの為なら大したことじゃないよ」
「うまくいくといいなぁ…」
「きっとうまくいく、僕も手伝うよ。キッチンカーで働いている間はめい花ちゃんの面倒も僕が見る」
「ありがとう」
アキラは突然車を路肩に寄せて停車させた
「どうしたの?」
アキラは体を彩乃の方に乗り出しながら言った
「キッチンカー業が始まったら、結婚しよう。僕が彩乃を支える」
彩乃は突然のプロポーズに手で口を覆い驚いた。
「本当に…?」
「うん、もう覚悟を決めた」
彩乃は涙をポロポロと流しながら答えた
「ありがとう。本当に嬉しい。はい、私と結婚してください」
アキラはシートベルト越しに彩乃をそっと抱きしめた。


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