【読書 x 人生観】『認知症世界の歩き方』を読んで(1/4 記憶のトラブル)
以前にも認知症について医師、研究者、当事者の視点で分かりやすく書かれた『ボクはやっと認知症のことがわかった 自らも認知症になった専門医が、日本人に伝えたい遺言』についてnoteで記事を書きました。
今回も同じ方が紹介してくださった、認知症についての本の感想を書いていきます。認知機能が低下した方にとっての世界の見え方を、様々な国を旅する旅人の旅行記のように紹介していました。
必ず、何らかなの形で心身ともに変化していくなかで、どう人生を歩むことができるのか、そのヒントになればと思います。
認知機能については、記憶のトラブル・五感のトラブル・時間や空間認識のトラブル・注意や手続きのトラブルの4つに大きく分かれています。
まずは、1つめ、〈記憶のトラブル〉です。
●STORY 1 「ミステリーバス」
行くあてのないバスから、あなたは降りられるか?
記銘→保持→想起ができないことで、バスの目的地をど忘れするどころか、 「バスに乗って目的地にむかっていた自分」そのものを忘れてしまうことです。
所謂「物忘れ」は少しでもきっかけがあれば思い出すことができますが、それができないので、全く訳が分からず戸惑います。
何度も同じ話をしたり、戸惑いながら何度も同じことを質問してしまうわけですね。
●STORY 2 「ホワイトアウト渓谷」
霧に消える絶景を脳裏に焼き付けられるか!
記憶は視覚情報に依存しています。
記憶障害があるので、目に見えないところ(戸棚や冷蔵庫)の中身を覚えられないですし、想像できないのです。
例えば、下記のような例が分かりやすいです。
上の段に入ったものは、おそらく、中身に辿り着けないでしょう。
下の段のように透けていたりガラス扉であれば、思い出せなくても想像できなくても、生活に支障はきたさないと思います。
このように、日常生活を送りやすくなる、生活のちょっとした工夫が広がればいいな、と思いました。
●STORY 3 「アルキタイヒルズ」
思い出のタイムトラベルから、抜け出せるか!
若い頃の話をよくしますが、本人としては、本当にタイムスリップしている状態だそうです。もしくは、つじつまの合わない出来事に対して、自分が納得できる理由を作り上げてしまう。
よくあるのが、自分は若いつもりなので、おじさんになった息子を兄だと勘違いしたり、自分は失くすはずがないと、思い出の品は他の人が盗んだと思い込んだり、ですね。
周りの人は悲しいと思いますが本人は至って大真面目。タイムスリップしてしまっているので、気持ちを受け止めたいと思いました。
●STORY 4 「創作ダイニングやばゐ亭」
言葉も記号もない世界で、あなたはどう生きていく?
抽象化した言葉や記号の意味を想像することができなくなったり、自分の言いたいことを文章にできなくなっていきます。
そして、段々コミュニケーション自体が面倒になってしまうこともあります。
すべてのことをスムーズに会話したり、できる必要はありません。
ただ、もしその人が大事にしたいことがあるのであれば、続けられるお手伝いをしたいですね。
例えば、料理する時の「調味料は醤油や砂糖、みりんなど全体のことを指す」とわからないのであれば、調味料のボトルは目に見えるように置く、
お洋服が好きなのであれば、ジャンルごとにしまわず、一目で選べる少数精鋭にする、など。
●小まとめ〈記憶のトラブル〉を読んで
みんな年をとっていくのに、どう変化していくのか、知らないですよね。
どこかで「おじいちゃん・おばあちゃん」は別の人間で、自分の延長戦とは考えにくいです。
不自由なことがあったとしても、それも人生の旅の道すがら。旅行するように、その状況も楽しんでいきたいと思いました。
生活の工夫でできることは、意外と多いです。
そのお手伝いをできる手段を考え中です。
本の、残りの五感のトラブル・時間や空間認識のトラブル・注意や手続きのトラブルについては、またいつか書きます。
『スタンフォード式人生デザイン講座』の後編も書きたいという気持ちはあります….。