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【読書 x 人生観&子育て】『ボクはやっと認知症のことがわかった 自らも認知症になった専門医が、日本人に伝えたい遺言』を読んで


知人が「認知症についてとっても分かりやすく買いてある本があって、私の推しなの!」と
目をキラキラさせながらと言うので読んでみました。

認知症について医師、研究者、当事者の視点で、とても読みやすく書かれていたので感想をのせたいと思います。

私にとって身体や脳の変化である認知症はとても関心が高いです。
というのも、人生のテーマのひとつである、
「いかに心地よく人生を終える場所=終の住処を見つけるか」を考えるにあたり、
認知症はみんなが付き合っていく身体の変化だと思っているからです。

●歳をとること、産まれること

常々、歳をとるというのは、だんだん産まれた時に戻っていくようだなぁと感じていました。

というのも、
・正確な作業ができず、うまくいかないことがある。歯痒さを感じたりする。
・こだわりが強い部分があることがある。
・他の人が話している内容についていけないことがある。
・食事の準備ができない、食事をこぼしてしまう、ひとりで食べられない。
・やわらかいものを、注意して食べる。水をストローで飲む。
・お風呂にひとりで入れない。
・トイレを失敗することがある、オムツが必要。
・うまく歩けず転ぶことがある、歩けない。
・視覚や聴覚がぼんやりしている。

などなど、
上を見るだけでは赤ちゃんのことなのか、認知症の方のことなのか、分からないですよね。

もちろん身体の大きさが違う、
いままで接した記憶とのギャップがあるので
支援者は辛いときもあります。

ただ、そうやってだんだん産まれた状態に近づいて、眠っていく、というような考え方もありかなぁなんて思う今日この頃です。


本を読んで印象に残った部分を抜粋します。

●認知症と子育てと

「公園を歩いていた小さな子が転んで泣き出しました。すると、四歳くらいの女の子が駆け寄ってきました。小さな子を助け起こすのかと思って見ていたら、女の子は、小さな子の傍らに自分も腹ばいになって横たわり、にっこりと、その小さな子に笑いかけたのです。泣いていた小さな子も、つられてにっこりとしました。しばらくして、女の子が「起きようね」というと、小さな子は「うん」といって起き上がり、二人は手をつないで歩いていきました。」
「下手に手を貸さず、しかも貸しすぎない。時間をかけて十分に待つ。自主性を尊重しつつ、さあ、前に向かって進んでみようと誘ってみる。この女の子が見せてくれたような、こうしたケアが日本中に広まったらいいなと願ってきました。」

下手に手を貸さず、ただそばで待つ。誘ってみる。

これは子育てでも大切にしたいな、と思います。

●認知症になるとどこへ行くのか

「認知機能は脳表面にあって、親の躾や学校の教育、社会から受けた教育など長年にわたるインプットの集大成です。この「認知脳」の下には喜怒哀楽の「感情脳」があります。そして、さらにその下には人間の核になる、その人らしさが詰まった脳があります。アルツハイマー病ではいちばん上の「認知脳」の機能が失われ、次に「感情脳」が壊れていくのです。」  

感情も壊れてしまったらどこへ行くのか…

「自分らしさだけの脳になって「私は最も私らしい私に戻る旅に出るのだ」と思い直した。」

そうか、認知脳や感情脳が削ぎ落とされて、自分らしく旅に出るのか、
なんて素敵な表現だろうと思いました。


 いつか自分も出る旅、自分もなんとなく旅支度しつつ、旅に出る人のお手伝いをできたらいいな、と思います。

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