5Gと4Gの違いについて解説
5Gの世界が動画コンテンツ市場の成長を加速させる
ここ数年で、5Gのネットワークについて世界中で話題になるようになりました。
ここで、5Gについて、今一つ理解できていない人のために、5Gがどのようなものなのかについて、整理し、解説していこうと思います。
5Gの登場により、第 5 世代のネットワーキングがついに登場しました。
超高速の通信技術である5Gは、モバイル ネットワーキングに革命をもたらし、新たな経済的機会を生み出すと期待されています。
では、5Gの通信技術とは、4Gと比較して、どのような違いが生じることになるのでしょうか?
5Gとして知られる待望の第5世代のモバイル通信技術は、モバイル ネットワーキングの大きな変化として宣伝されています。
5Gは、指数関数的に高速なダウンロード速度を実現することができ、リアルタイムでのデータ共有が可能です。
また、5Gは、私たちの通信によるネットワークの全体的な容量が増加することを意味するものとなっています。
5Gをめぐって、国とヨーロッパの一部で展開が遅れたり問題が発生したりしていましたが、5Gを実装することができるようになりました。
現在では、韓国、米国、中国が約80~90%の人が、5Gを使用し、スイスでも90%の人が5Gを使用するようになっています。
世界規模での展開には課題が残っていますが、モバイルネットワークのオペレーター(移動用通信事業者)や、テクノロジープロバイダー(最新技術者達)は、5G の将来については、問題なく、世界に浸透していくことを語っています。
スウェーデンの大手通信機器メーカーであるエリクソンの2021年のレポートによると、5Gが2027年までにすべてのモバイル加入契約のほぼ半分を占めるようになり、5Gの利用者数は、世界で44人億に達すると予測されています。
2020年の時点で、4Gを使用する割合は、世界の80%の人口が、4Gを使用するようになりました。
NTTの基地局ベンダー(携帯会社の指示に従い、カスタマイズされた製品や設備を提供する、というビジネスモデル)は、現在、NECと富士通が担っています。
この、基地局ベンダーによると、5Gの実装には、まだ多くの課題が残っているということもあり、4Gほどの進歩を5Gが遂げる可能性について、意見が分かれています。
今回の記事では、以下の項目について解説していきます。
・5Gとはどのように機能するものなのか?
・5Gと4Gとの違いについて
・5G は、帯域幅、遅延、スペクトルについて、どのように機能しますか?
・5Gの実際の速度はどの程度なのか?
・5G によって、企業ではどのような活動が可能になりますか?
・5Gの安全性は?
・5Gが全世界に実装されるのは、いつのことなの?
・進行中である5Gの課題について
※スペクトル:光や信号などの波を成分に分解し、成分ごとの大小(強度)を見やすく配列したものです。
次の章から、5Gに関する具体的な情報について、解説していきます。
5Gとはどのように機能するものなのか?
5Gとは、バイト (データ単位) を無線で変換するための新しいデジタルシステムのことを言います。
5G は、New Radioインターフェイス(無線インターフェイス)を他の新しいテクノロジーと共に使用し、はるかに高い無線周波数(28 GHz)) を利用して、指数関数的に多くのデータを無線で転送し、高速化、輻輳(ふくそう)(周波数帯域の混雑)の軽減、遅延の低減を実現します。
ちなみに、周波数の割り当てとして、地上波の場合は700MHZ、4Gの場合は、2500MHZとなっています。
これは、ここで、データの遅延とは、データ転送の指示がされたあとで、データの転送が開始されるまでの遅延のことをいいます。
5Gでは、ミリ波スペクトルを使用するこの新しい周波数帯域によって、同じ帯域内で、より多くのデバイスを使用できます。
4Gでは、 1平方キロメートルあたり約4,000台のデバイスをサポートできますが、5Gになると、約 100万台のデバイスへのサポートが実現可能となります。
これは、より多くの動画データ、例えば、Netflix、ストリーミング再生、音声通話、You Tubeなどが、限られた空間で途切れることなく、利用することが可能になることを意味します。
また、5G はMassive MIMO(マッシブ マイモ) と呼ばれる新しいデジタル技術を使用します。
Massive MIMOとは、Multiple Input, Multiple Output (マルチ入力、マルチ出力)の略で、無線通信を高速化する技術の一つです。
MIMOは、送信側と受信側がそれぞれ複数のアンテナを用意し、同時刻に同じ周波数で複数の異なる信号を送受信できるようにするものとなります。
MIMOは主に、無線LAN(Wi-Fi)などで実用化されています。
5Gを実装するためには、4GのIT環境のすべてのモバイルネットワーク基地局に、Massive MIMO と5G New Radioをインストールする必要があります。
5Gと4Gとの違いについて
第3世代のモバイルネットワークサービス(いわゆる携帯電話のこと)と比較して、4Gでは、それまで不可能だった、外出先における、高品質のビデオ通話を外出先でのを通話を可能にしました。
また、外出先で、動画配信サービスにより、ストリーミング再生で動画視聴が可能になりました。
※ストリーミングとは、インターネットに接続した状態で映像、音声データが楽しめる再生方式です。
4Gの導入により、You tube動画などが、日常的に見られるようになりました。
ただし、ただし、動画の再生が増えると、ネットワークの輻輳(ふくそう)(周波数帯域の混雑)が増加します。
イタリアの大手通信企業であるTutela社の業界分析責任者である Chris Mills(クリス・ミルズ)氏によると、「4G は、波長のブロック間で迅速に転送できるデータ量の技術的限界に達しています。」とのことである。
また、同氏は次のようにも述べている。
「5Gと4Gの大きな違いは、この混雑が解消されることです。」
データ通信量の限界は、Web ブラウザーにアクセスできないことを意味します。
4Gに対する5Gの最大の差別化となる利点は、インターネットの接続環境を世界的に劇的に良くするといったことになります。
5Gの環境は、今後の私たちのデジタル産業や、スマートシティ、ITの情報サービス関連の情報管理者にとって、革命的なものになると予想されます。
なぜなら、同じ周波数エリアで、より多くのデバイスを確実に、安全に、接続を中断させることなく、安定的に動作させることが可能になるからです。
5Gが使用する新しい技術、スペクトル、および周波数により、5Gは4Gよりもいくつかの利点があります。
5Gの接続環境では、4Gより高速で、伝達の遅延が少なく、多くのデバイスを一度に接続させることができます。
また5Gでは、相互の干渉が少ない環境が保たれ、情報の伝達効率が優れています。
5G は、帯域幅、遅延、波長について、どのように機能しますか?
各オペレーターは、それぞれの国によって、音声、データ、および動画を送信するために使用される電磁無線周波数の範囲で、それぞれのスペクトルの領域を所有しています。
このスペクトルが合計されて、データ転送速度を決定する合計ネットワーク容量が作成されます。
5Gでは、データ転送をするための、スペクトルの合計値が、100mhzから1000mhzに増加します。
この変化こそが、5Gにおける、真のメリットとなります。
このように、スペクトルの送信料の改善により、データ送信の遅延などが大幅に改善し、大容量のデータがリアルタイムで送信できるようになります。
スウェーデンの通信機器メーカーである、Ericsson Research(エリクソン・リサーチ)社の、5Gの情報処理のプログラムマネージャーであるMats Norin(マツ・ノリン)氏によると、「4Gの遅延時間は約20~30ミリ秒ですが、5Gの場合は10ミリ秒をはるかに下回り、最高で、約1ミリ秒の遅延時間になります。」とのことです。
また同氏によると、次のようにも述べています。
「消費者にとって、情報の遅延時間は、それほど重要ではありませんが、感覚的に、動画などの情報が、より速く見えるようになると思います。
しかし、産業などにとっては、例えば、重機を長距離の遠隔操作で行う場合など、情報の遅延時間は特に重要になります。」
5Gの実際の速度はどの程度なのか?
では、5Gの実際の速度はどの程度なのでしょうか?
イギリスにあるVodafone(ボーダフォン)社によると、5Gは4Gの約10倍のデバイス速度となると発表しています。
これは、高品質で超高解像度である4Kの動画配信 (商用デジタル動画や映画で使用される標準) を意味し、スマートフォンやタブレットへのダウンロードが、これまで以上に高速でできるようになります。
5G では、20ミリ秒未満のデータ転送が標準装備されていることになります。
ただし、Chris Mills(クリス・ミルズ)氏によると、5Gの速度について、消費者に対して公表されていることの多くは、誇大広告であると警告しています。
また、Chris Mills(クリス・ミルズ)氏は、次のようにも述べています。
「ギガバイトなどの大容量の速度通信は、5Gネットワークを介した8KなどのVR動画のライブ動画配信など、少数のアプリケーションには確かに役には立つと思います。
しかし、平均的なユーザーにとって、モバイルデバイスでそのような速度が必要と感じる場面はあまりないと思います。」
「また5Gでの動画配信やHD(高精細度ビデオ)のダウンロードは、4Gネットワークを使用して5Gに置き換えていくことも実現可能です。」
また、Chris Mills(クリス・ミルズ)氏は、次のことも言及しています。
「人々は、有線による家庭内ブロードバンド契約をする代わりに、5G WIFIルーターに置き換えて使用することが可能になります。
これは、物件ごとに工事をしなければ使用することができなかった有線契約をしない、賃貸契約の場所でも5G環境が使用できるようになること意味します。」
5G によって、企業ではどのような活動が可能になりますか?
現在、世界で使用されている5G対応または対応アプリケーションの大部分は、一般消費者における使用がほとんどを占めています。
これらには、スマホ動画配信、拡張現実 (AR)、仮想現実 (VR)、ゲーム、およびパブリック・ネットワークの容量の増加が含まれます。
※パブリック・ネットワークとは、インターネットや知らない他人のコンピュータに直に接続可能なネットワークのことです。
しかし、5Gの真価が発揮されるのは、企業向けだと言われています。
KPMGによると、5Gの市場価値は、B2B(企業対企業)間での商業価値として、645兆円相当の成長規模があると予測しています。
※KPMGは、1870年にイギリスで設立されたWilliam Barclay Peat&Co.をはじめに、世界154カ国に約20万人の専門家を持ち、会計監査や税務、経営コンサルティングを主力とする多国籍企業です。
5Gの環境下である、第5世代ネットワークでは、データ通信の遅延が少なくなり、帯域幅の増加、および高速化が実現されるようになります。
また、医療などの専門家が、4GまたはこれまでのWIFI環境では効率が低く、より困難であるいった企業の応用ソフトウェアなどに活用することができるようになります。
これらには、生産工程の自動化を図るシステムや、大規模なビデオ監視も実現可能になります。
また、医療の専門家における、遠隔手術を含むハプティクス・アプリケーション(人に振動や動きを与えることにより、触感のフィードバックを得られるようにする技術)にも応用できます。
さらに、自動運転車などのコネクテッド・スマート・シティ(エリア内を自動走行する車などが配置された町)などにも使用されたりします。
最近では、これらの、いくつか革新的な事例が出始めています。
イギリスで最近行われた実験では、患者が錠剤サイズのカメラを飲み込むことで、自宅で結腸カプセル内視鏡検査を行うことができました。
そして、この内視鏡検査で5G技術を使って撮影した画像は、リアルタイムで病院に送信されることができました。
スウェーデンにあるBoliden(ボリデン)社によると、鉱山を掘削したり爆破したりするときに、5G対応における、自動運転化を採用しており、コストを1%削減し、年間250万ユーロ(約3億5400万円)を節約しています。
スペインのフォード社の工場は、エリクソン社(スウェーデン)と協力して、生産ラインの効率を改善するための5Gを使ったシステムを採用。
これは、同社の工場内では、自律型無人搬送車を、人間のジェスチャーによる認識機能を備え、VRアプリケーションを使用して、試験運用しています。
ドイツの通信コンサルタント会社Altman Solon(アルトマン・ソロン)のパートナーである Fred Huet(フレッド・ヒューエ)氏によると、次のように述べています。
「Ford プロジェクトはエッジ・コンピューティング(端末の近くにサーバを分散配置する)を利用しており、5Gと組み合わせることで、世界企業の関心を集めている。」
※エッジ・コンピューティング(端末の近くにサーバを分散配置する)とは、中央データベースとは対照的に、データ・ストレージを生成場所に近づける技術のこと。
※データ・ストレージとは、進行中または将来の運用のために、デジタル情報を記録し保存する、磁気的、光学的、機械的なメディアを指します。
この技術は、データのスループット(生産性)を向上させ、AI 処理と組み合わせて使用する画像やビデオ配信の大容量出力を管理することができるようになります。
Fred Huet(フレッド・ヒューエ)氏によると、次のようにも述べています。
「5G とエッジは、ノンストップのビデオ監視に、高性能で優れた結果を得ることが可能になります。
このことで、作業の効率化と安全性が確保できるようになりますが、生成された大容量のデータを近くで保存する必要性が生じることになります。
ここで、5Gが導入されることにより、高速なAI技術を処理するための施設を作ることも可能になります。」
さらにFred Huet(フレッド・ヒューエ)氏は、次のように述べています。
「このことは、郊外での病院施設などでも、5Gを使った高速配信設備を使用することができるようになり、そのような施設では、特に有益な技術になります。」
ほとんどの専門家は、5G を今日の革新的な、成功・目的達成を可能にする手段だと見ています。
世界では、5G が展開されたところでさえ、そのアプリケーション(ソフトウェア)への投資はまだ始まったばかりです。
4Gの環境下では、これまでのWIFIサービスでは、絶対的な遠隔機器への通信障害への信頼が保証できなかったことがあります。
5Gが展開されるようになると、絶対的な遠隔機器への通信障害への信頼が確保できるようになり、企業における、現場への5Gの積極的な導入に拍車がかかると言われてます。
イギリスのDigital Catapult(デジタル・カタパルト)社の5Gテクノロジ担当責任者であるDritan Kaleshi (ドリタン・カレシ)氏は、次のように述べています。
「5Gの導入により、WIFI では提供されない追加のセキュリティ要素が提供できるようになるという可能性があります。
これは、4Gでは、スペクトル上の他のユーザーと共有されるため、干渉されやすく、実現できなかったセキュリティ機能が、5Gでは追加することができるようになる。」
また、Chris Mills(クリス・ミルズ)氏は、次のことを述べています。
「これまでは、企業において、特に機密性の高いデータを持っている場合、プライバシーを保護するためにネットワークが根本的に異なるチャンネルを利用することでデータ送信をしているという現状があった。
しかし、5Gの導入により、ネットワークを仮想的に分割することができるようになり、これまで以上に機密データのやり取りを行うことが可能になります。」
5Gが全世界に実装されるのは、いつのことなの?
5Gは、世界中のすべての人に対して使用されているとはいえませんが、多くの人に使用されるようになりました。
5Gは、4Gのネットワークによって実装されていく予定で、本質的に両方の組み合わせである配線型の5Gネットワークが最初に展開されます。
これから5Gのコア・ネットワークに移行するには、ソフトウェアの更新が必要だと イギリスのOdenhammar (オデンハマー)氏は言います。
また、イギリスのOdenhammar (オデンハマー)氏は、5Gの実装が、今年にも世界のどこかで実装が進んでいくと予想しています。
ただ、米国のT-Mobile(ティー・モバイル)社など、配線無しで、5G配信サービスを商業的に開始したのは、今のところ、世界的にも、ごくわずかな企業にとどまっています。
日本では、au、ドコモ、ソフトバンク、楽天モバイルの4社で5Gの基地局の開設が進められています。
ドコモでは、2024年3月までに、5Gエリアを全国に拡大し、人口カバー率90%以上を実現することを目指していると発表しています。
ソフトバンクは2022年4月に、5Gの人口カバー率が90%を突破したと発表しました。
楽天モバイルは、2022年4月の段階で、“4G”の人口カバー率が96%に到達したと発表がありました。
auも2022年2月の時点で、東京の山手線や大阪環状線札幌大通や新宿など、全国80の商業地域の5Gエリア化が完了していますと発表しています。
進行中である5Gの課題について
現在、世界的に、5Gの展開はさまざまな問題を抱えています。
5Gは、現段階では設置コストが高額なことや、保守・運用の業務が必要となる点などが課題として考えられます。
また、5Gを使用するためには、5Gの高速通信に対応できる機器を整えなければいけないということがあります。
5Gの実装については、企業において、改革推進や大きな効率化につなげるためには、5Gを使う側の機器も更新が必要になります。
このように、5Gに対する課題はまだまだあるものの、5Gで実現できることは、これまでの4Kによる動画配信だけでなく、企業におけるメリットがかなり大きなものであることが言えます。
私たちは常に、最新のプラットフォームがどのようなものなのであるのかを理解し、その特性を知ることで、最新技術を有効活用することができるようになります。
皆さんの取り組みの中で、5Gを使った取り組みで解決できる問題などがあれば、大いに活用していただきたいと思います。
今回の記事は以上になります。
ここまで読み進めていただき、ありがとうございました。