湘南投資勉強会にていただいた質疑応答の公開
こんにちは。
うるる(3979)のIR担当です。
街中が強い風、花粉も舞う今日この頃ですがいかがお過ごしでしょうか。
2/18に参加した、kenmo様が主催する「第47回 湘南投資勉強会」での質疑応答を公開いたします。
雨男としてその名を馳せている弊社取締役Co-CFO近藤ですが、なんと今回は傘要らずでした。ご一緒した株式会社セルムの春名様が晴れ男だそうで、そのパワーの恩恵にあやかることが出来ました。次回も是非またセットで登壇させてください…!
■Q1:
2Q時に「2025年3月期以降の方針」が発表されましたが、それ以降の投資家の声について経営陣はどう捉えていますか?
またそれを受けて今後どう活かしていくつもりでしょうか?
■A1:
「2025年3月期以降の方針」を発表し、様々なお声をいただきましたが、今期EBITDA15億円を業績予想としている中で2025年3月期ではEBITDA10億円を下限値とした為、減益となる可能性が高いことへの反応が特に多くありました。
経営陣としては、まだ売上高60億円を目指す程度の小さな会社であり、ここから100億円、1000億円…と目指していきたいと思っております。その規模になるための最善策を都度検討しており、現時点での結論が同方針となります。
2Q時の反応を受け、今回の決算説明資料では「一人当たり粗利益の推移」等、現中期経営計画前後を振り返って整理したスライドや、「中長期的な成長イメージ」を示すスライドを新たに追加いたしました。2025年3月期は減益となる可能性は高いですが、そこから成長角度を向上させるよう努めてまいります。
■Q2:
NJSSの伸びが今四半期(=3Q)で一旦鈍化したようにも見えます。前四半期の反省点と翌四半期からの改善点が具体的にあれば教えてください。
■A2:
おっしゃる通り、当3QではNJSS売上高の伸びが弱く着地いたしました。
2023年11月、既存事業の周辺領域での展開の一つとしてNJSSでは入札BPOをリリースいたしました。マーケット分析、入札案件選定、入札参加、落札後の案件履行、という入札プロセスの中で、NJSSでは入札案件情報の提供をしておりますが、それ以外のプロセスでの顧客ニーズに応えるサービスが入札BPOです。
リリース後の反響が大きく、NJSSの営業リソースを一時的に入札BPOに充てる等の対応を行ったため、NJSSの売上高の伸びが一時的に鈍化いたしました。この状況は4Qでは改善される予定です。
また、4Qではこの入札BPOの伸長が予想され、通期では概ね期初予想通りの着地を見込んでおります。
■Q3:
BPOの第4四半期に大型の受注という記載がありましたが、これはスキャンですか?それとも入力ですか?また継続的な性質のものでしょうか?もう少し解像度高く教えてください。
■A3:
顧客との契約上、案件内容の詳細なご説明はできかねますが、顧客企業の文書保管場所に伺いその場でスキャン業務を行う案件であり、継続ではなく今回限りの単発の売上となります。
■Q4:
世の中値上げをする流れがある中で、NJSSはいまだに単価を下げていますが、値下げをしないと契約が取れないフェーズに来ているのでしょうか?単価が下がり続けている(少なくとも上げられていない)要因を教えてください。
■A4:
NJSSでは単価(利用料金)をWebページ上に掲載しておらず商談の際に提示しており、状況に応じて値下げも実施しているため顧客によって単価が異なります。単価の安い競合サービスである「nSearch」との価格競争もありましたが、2023年1月に「nSearch」を運営するブレインフィード社を子会社化したことで、競争環境は緩和されました。現在は、単価の下限値は維持しつつ、契約件数を伸長させることにより売上高の拡大を目指す戦略をとっております。
利用料金の値上げは顧客の利用状況を見つつ継続的に検討しております。
■Q5:
直近の決算説明資料P46「人的資本投資と生産性」にて「FY25/3においても増員による(正社員一人当たり粗利益の)一時的な落ち込みが予想されるものの、以降の年度で回復・向上していく想定(※)」と記載があります。これは来期通期予想の数字の見栄えにおいて、あまりポジティブではない可能性があるということでしょうか。それとも例年発生している採用費等が同様にかかるだけという意味でしょうか。FY25/3においての特別なものか否かという質問主旨です。
<※補足>
現中期経営計画期間において一人当たり粗利益を継続的に向上してきた推移のグラフを用いて説明しています。
■A5:
FY25/3において一時的に一人当たり粗利益が落ち込む要因としては、人的資本に大きく投資するものの新規採用した従業員が戦力化するまでには一定の時間を要するので、すぐに売上高成長に貢献できないためです。採用費は販管費なので粗利益には影響しません。
■Q6:
エアークローゼットさんとのコラボはどのように決まったのでしょうか。正直うるるさんには+αが期待できると思いますが、エアクロさんからみたらOurPhoto利用した人が会員になる事はイメージつきにくいので、経緯が気になりました。
■A6:
「airCloset」とのコラボキャンペーンは、OurPhotoが単体で実施している春フォトキャンペーンで出張撮影を予約された方は「airCloset」の初回月額料金が55%OFFになる、また「airCloset」の新規月額会員登録をされた方にはAmazonギフト券3,000円分をプレゼントするという内容です。エアークローゼット社には新規会員を獲得できる可能性があるためメリットがあります。
<プレスリリース>https://ssl4.eir-parts.net/doc/3979/tdnet/2400641/00.pdf
■Q7:
書類のデータ化作業の需要について疑問を感じています。例えばアンケートだとQRコードでGoogle Forms等の入力フォームに誘導しWeb上で完結することが一般化すると思われます。データは解析しないと意味がないものだと思いますが、今後は集計だけではなくフリーテキストの入力内容の分析まで手を伸ばす等の進出をする考えはありますか?それとも、解析は顧客独自の知見が必要なため難しいものなのでしょうか?
■A7:
おっしゃる通りアンケート等で紙を使用する場面は減少しております。また、過去には食品パッケージについているシールを集めてハガキ応募するキャンペーンの裏側で、私書箱設置、ハガキ回収、個人情報のデータ化等の一連の業務を担う案件もございましたが、最近ではそういったキャンペーンもデジタル化が進んでおります。
うるるのBPO事業はデータ入力業務が発祥ですが、現在はスキャン業務での成長に勢いがあります。デジタル化が進む中で、例えば契約書をクラウド上で締結・管理できるサービスがございますが、過去に紙で管理していた契約書もまとめてデータ管理したいというニーズがありり、契約書の電子化の依頼が増えております。あるいは、請求書受領Webサービスの裏側で、紙で届く請求書のスキャン・アップロード業務も担っております。
しかしながら、このトレンドも長期で継続するとは限りませんので、変わり続けるニーズに対して柔軟にできるような体制で成長を続けてまいります。
■Q8:
人的資本投資の考え方としては、単純に人を採用するという考え方と、今いる人材に中長期的にラーニングを行いその成果として利益を出すという考え方とありますが、御社の場合は前者なのでしょうか?後者の場合は投資の中身について詳しく教えてください。
■A8:
生産年齢人口が減少する中で、採用活動が難しくなっております。人材を採用できなくなればその会社の成長が止まってしまうため人的資本経営が重要であると言われており、それをベースに今回の「2025年3月期以降の方針」を出しております。
人を採用し、生産性が上がるよう教育を行い、採用した人材が会社に定着するよう投資を行ってまいります。
■Q9:
NJSSでAIを活用しているという話があったが、他の事業においてのChatGPTを含めたAI活用について何かあれば教えてください。
■A9:
まずNJSSでは、Webクローラーでは収集できず人力で収集している情報の一部をAIで代替する取り組みを行っており、これによりNJSSの原価率が改善します。
BPOでは、書類のデータ化においてスキャンデータのテキストの一部をAI-OCRでデータ化する等の活用をしております。
今後も既存事業においてAIを活用した新規周辺サービスの創出や、それにより原価率を改善し生産性を上げることを検討・実施してまいります。
また、AI活用への投資としては、AIベンチャー企業であるライトブルー社へマイノリティ出資を行っており、同社との連携も進めております。
■Q10:
NJSSの粗利率は高く、利用ユーザーが増えてもデータベースへの情報収集量は増えないので売上高が伸びれば粗利率も上がると思います。
一方で、ondeskやえんフォト、BPOはコスト構造が違い、利用される方が高ければそれなりの労働力が必要になると思います。そのうえで、それぞれのサービスにおいてもう少しスケールが大きくなってきた時に目指されている粗利率や限界利益率の具体的な数字はありますか?
■A10:
まず、NJSSの粗利率は直近(FY24/3Q)で92.8%であり、利益効率の良いサービスです。情報収集による作成したデータベース提供に対するコストは基本的には一定のため、有料契約件数の増加によって売上高が増加し、高い限界利益率を維持できております。
全社の粗利率は直近で72.1%であり、数字は非開示ですがfondeskとえんフォトの粗利率もNJSSほどではないものの高い水準で推移しております。
fondeskにおいては、クラウドワーカーが電話の一次受けをする為ある程度の変動費がかかるものの、サービスの付加価値により現在の水準の粗利率を継続できており、将来的にさらに付加価値を乗せられる新サービスの開始や値上げができれば粗利率も向上していくと考えております。
BPOは他のSaaSとは違い、全社の粗利率よりは低いものの同業他社よりは高い水準です。
全社の売上高推移を見ると、SaaS売上高が成長のドライバーとなり、SaaSの売上高比率が高くなっております。中長期ではSaaS事業に優先的に投資していくことを考えておりますので、粗利率もさらに良化する可能性が高いと考えます。
■Q11-①:
今回の決算(FY24/3)では60億円の売上高に対してEBITDA15億円で営業利益13億円という計画を出しているが、この実現における最大の要因は販管費の削減という考え方でよろしいでしょうか?
■A11-①:
販管費の抑制と、売上高の成長による粗利益の増加により、計画値を目指しております。
■Q11-②:
「2025年3月期以降の方針」として2026年3月期以降は20%以上成長を継続していきたいとの記載考がありますが、今期(2024年3月期I)では販管費を抑えていても前期比+23%成長ができるので、それでいいのではと思います。来期(2025年3月期)はEBITDA10億円が下限値とのことで、今期EBITDAから5億円も減らして投資をしなくてもいいのではないでしょうか。
そして、EBITDAを5億円を減らすのであれば、成長率はもっと伸びてもいいのではと思います。
■A11-②:
直近1年間だと従業員は15名しか増やしていないのに対し売上高成長は20%以上の計画なので、1人当たりの業務量に負荷がかかっている状態であり、継続的な成長のためには負荷を解消する必要があると考えております。
また、投資を抑制したままですと来期以降の継続的な成長率が維持できなくなる可能性のございます。今期は投資を抑えてもこれまでの中期経営計画の中での投資によって成長できましたが、今後も継続成長を続けられるとは限りません。
よって、2025年3月期では人的資本投資を中心とした成長投資を実施することといたしました。
■Q11-③:
投資をして売上高が伸び、利益率も高いので利益も同様に伸びると思います。それにより、人件費くらいはペイできるのではと思うのですが、それ以上に投資が必要なのでしょうか?
■A11-③:
投資をどの程度行うかはコントローラブルであり、利益成長の範囲内に抑えることもできますが、2025年3月期においてはそれを上回って投資を行うことで、中長期で継続的に売上高成長と利益成長の両立を目指す方針といたしました。
■Q12:
2025年3月期においての投資は人的資本投資がメインとのことで、採用、教育、定着、賃金ベースアップなどへの投資が想定でき、また、M&Aについても触れておりますが、優先度や予算配分について可能な範囲で教えてください。
■A12:
現時点では決定事項はないのであくまでイメージとしてですが、人員の採用・教育・定着、組織の構築、カルチャーの醸成等の人的資本投資と、マーケティング投資の2つが中心となります。賃金のベースアップも継続的に検討・実施していく予定です。M&Aについては蓋然性が低いので予算には入れていませんが、成長を加速させていくためにもチャレンジしてきいたいと考えております。
■Q13:
来期(2025年3月期)は人員はどれくらい増えますか?
■A13:
まだ開示できませんので、本決算でのご説明をお待ちください。
■Q14:
シュフティが黒字化するまでには時間がかかるので、クラウドワーカーを活用するサービスを創出(=CGS事業)したとのことですが、今後は創出したサービスで稼ぎながらもシュフティを黒字化させていくのでしょうか?
■A14:
現在はシュフティ事業への投資はほとんど実施しておらず、黒字化目途も立てていない状況です。その分、NJSS、fondesk、えんフォトといった付加価値の高いSaaSに投資することでシュフティの赤字を賄っております。
■Q15:
BPOにおいては、様々な業務を代行するようないわゆるBPOのデパートみたいなモデルを目指しているのでしょうか?
■A15:
BPO事業においては現在はスキャン業務がベースとなっており、顧客ニーズがあればそれ以外の業務をお受けしております。
例えば、紙面のアンケートを電子化・データ化したあとに、そのデータを基にしたDM発送業務や架電業務も依頼されることがあります。その場合は国内外の協力会社に発注し、当社ではディレクションを行い業務完了まで対応いたします。顧客ニーズに合わせた業務提供は行いますが、それらの自社内での対応は行っておりません。
■Q16:
fondeskは、オフィスにいれば、在席しているか、いつ返答できるか、が読めるが、いつコールバックしますということも含めて、リアクションをくれるような状況になっているのでしょうか?フリーアドレスであれば他社の座席管理システムと連動させて在席状況や執務状況に応じてコールバックを円滑にできるようなことができる気がしますが、そのあたりのサービスの提供状況はいかがでしょうか?
■A16:
現在fondeskが提供しているサービスは、チャットを送ることのみです。
設定した電話番号宛の受電メモがslackやLINE等のチャットに届きます。そのチャットを見て折り返しの電話をするかしないかは企業の担当者の判断となります。当社の場合ですと、1日の受電のうち8割程度が折り返す必要のない営業電話なので、折り返し連絡が必要な2割のためにすべての電話を受ける必要がなくなります。
受電メモのチャットを送ること以外の付加価値は付けていないものの、チャットにメンションを付ける等の顧客の生産性を上げるための機能開発・改善は継続して行っております。
■Q17:
NJSSの周辺サービスにおいて、行政側のニーズに応えるようなサービスはありますか?
■A17:
自治体・官公庁向けの調達インフォというサービスがございます。昨年、ジチタイワークス社およおびチェンジHD社と業務提携し、有料版の提供を開始しております。こちらは、NJSSと同じデータベースを自治体・官公庁にも提供するサービスであり、自治体や官公庁の調達担当者は他の自治体等の入札情報を閲覧し、仕様書や落札価格等の情報を収集できます。
今までは無料で提供しておりましたが、今期から有料化をスタートさせ、来期には本格的に展開していく予定です。
この調達インフォを皮切りに行政のニーズを拾い、派生サービスの展開もできればと考えております。
■Q18:
全国の自治体数は約1,700、公共調達を行っている機関数全体では8,300程度だと聞いていますが、調達インフォのターゲットは自治体となるのでしょうか?
■A18:
調達インフォの主なターゲットは自治体ですが、独立行政法人や官庁の外郭団体等の発注機関も顧客となります。
■Q19:
来期(2025年3月期)は投資で減益になるというお話しでしたが、増益を続けながら少しずつ投資する方法もあると思いますが、一度に投資をする意図はそちらの方が効果的だということでしょうか?
■A19:
おっしゃる通りで、中長期の成長を考えるうえで、早く規模の大きな会社に近づくために早く投資を進め、成長スピードを上げていきたいと考えております。
また、当社はストック型のビジネスを展開しているので、早いうちにストックを積み上げる方が早く成長できると考えます。
■Q20:
また、クラウドワーカーを確保できる余裕はまだあるのでしょうか?また、最低賃金が上がる中で費用の増加の懸念はあるのでしょうか?
■A20:
当社ではクラウドワーカーを安く活用することは考えておりません。シュフティ上には様々な仕事が掲載されておりますが、当社が掲載するNJSSやfondesk等の仕事の発注単価は時給換算しても他の仕事と比較して割高であり人気があるので、当社で活用するクラウドワーカーの調達については今は困っていない状況です。
最低賃金が上がる中では当社が活用するクラウドワーカーの発注単価も少しずつ上げており、それを織り込んだ価格設定や、付加価値つける等での価格転嫁等で対応できると考えております。
当日のアーカイブ動画も湘南投資勉強会オンラインのYouTubeにアップされておりますので、そちらも是非ご視聴ください!
今回のオチ
以上です。
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